【生活保護世帯から大学進学し、生活も安定させるためには】寮付き国立大学への進学
生活保護の当事者として、中学生、高校生の方はまず大学に進学して、良い給料を貰える会社に入ったり起業したいという方も多いでしょう。
そう考えた生活保護世帯の方が大学に進学し、過労で身体を壊すというこの記事を読んで、思うところが多くありました。
「親ガチャ」が腑に落ちた コロナ禍で弟の学費も稼ぎたくて 政治に期待できない21歳
今回は、この記事に対する感想と、記事の内容を踏まえてこの方は結局どうすれば救われたのかを説明します。
お断りとして、高校卒業後に大学進学をしたい前提で話を進めていますが、さっさと働きたいと言うならそれも一つの正解です。
答えとしては、国公立大学への進学に加えて学生寮に入ることを勧めます。加えて、大学進学をきっかけとして生活の基盤を作ったら、問題のある親とはひとまず縁を切る、距離を置くことを強く勧めます。一応、生活保護世帯向けとはしていますが、困窮家庭の中学生、高校生の方にとっても、国公立大学への進学に加えて学生寮に入るというのは、生活基盤が安定するためお勧めです。
目次
記事の問題点
寮のある国立大学への進学
親のことは助けない
奨学金振り込み口座はさっさと変える
まとめに代えて
記事の問題点
まずは問題提起元の記事のまとめと問題点を洗い出します。
記事の内容をざっくりと説明しますと
・元々生活保護家庭で母、娘(当事者)、弟の3人家庭だった
・当事者は高校で、学費が免除される特待生に選ばれた
・大学進学を機に生活保護を世帯分離して抜け出す
・月額6万7000円ほどの給付型奨学金を受けながら県外の国立大学に通っていた
・高校生の弟の学費も合わせて月数万円の実家への仕送り
・コロナ禍でバイトが全然見つからず、キャバクラ店へ
・過労で身体を壊す、1年休学
・という状況を踏まえ「生活保護世帯が大学進学するには世帯抜けないとダメなの、この世のバグなんよな」とツイート
なんというか、結構高い基礎スペックの持ち主で、親が足を引っ張らないなら例え生活保護でもコロナ禍でも人生躓くこと無かっただろうなという印象です。
そして記事から読み取れる問題点としては
問題点1「高校生の弟の学費も合わせて月数万円の実家への仕送りが重荷」
経済的に問題が無い大学生が親に仕送りするならまだ分かりますが、何でこんなことしてたんでしょうか。
大学進学してから、親に仕送りをする義務はありません。
世帯分離した以上、弟の学費は弟と母親がなんとかすべき問題です。
世帯抜けたにも関わらず、仕送りという生活保護実家への搾取をさせられていることこそ、この世のバグだと言えるでしょう。
また、この世帯を担当していたケースワーカー様であれば、この状況を理解していたかもしれません。
生活保護世帯への仕送りのため、大学生の当事者が過労になるほど働いてお金を作っていた事実を見逃していたとすれば、これこそ生活保護制度のおかしい点です。
1つの生活保護世帯への仕送りのために、生活保護予備軍世帯をもう一つ作って何がしたいのかと、甚だ疑問です。
問題点2「生活保護費は世帯の人数で決まるため、家族が受け取る総額は1人分減った。母は「大学進学さえしなかったら、このままでいられたのに」と繰り返した。」
生活保護費は世帯の人数で決まるというのは、生活保護費は基本的に家族それぞれに対して必要と判断された金額が出ているからです。
家族が受け取れる総額が減っても、生活保護費を必要とする家族も減っているのなら別に困ることはありません。こんな愚痴が出ることもありません。世帯分離したわけでもなく、当事者はアパートの家賃を払っていることから別に暮らしているようですし。
ならどうして母は「大学進学さえしなかったら、このままでいられたのに」と繰り返したのか。
恐らくこの母親は、こどもの分として支給されていた生活保護費も自分のために使っています。
例えば、生活保護費が21万円支給され、内訳は家賃6万、母親5万、姉5万、弟5万が本来の内訳だったとします。
この通りに使っていれば、娘が生活保護を抜けて生活保護費が5万円減っても困りませんよね。
そうではなく、母親が自分に充てられた生活保護費では満足できず、娘の分まで自分のために手を付けているとします。
生活保護費21万円の内訳を家賃6万、母親7万、姉4万、弟4万と言った具合にするということですね。
このように、娘の分の生活保護費まで自分のために使っていれば、姉が生活保護から抜けて姉の分の生活保護費が減った時、娘から搾取していた分の1万円が無くなるため困ることになります。
逆に、生活保護費21万円の内訳を家賃6万、母親3万、姉6万、弟6万と母親が身を切って配分していれば、姉が抜けた場合に生活は楽になりますよね。
こう考えると、子供が世帯から抜けると生活が逆に苦しくなる親というのは、親が子供から生活保護費を搾取しているという意味で、子供にとっては親ガチャのハズレだと言えます。
当事者は「親ガチャが腑に落ちた」と言っていますが、その通りです。
生活保護の仕組みを理解していれば、生活保護費は全て自分の物ではなく、子供の生活費も一部預かっているものだと理解できます。そこを理解し、理性があれば子供の生活費分まで手は付けません。親の口座にまとめて入金されると全て親のものだと勘違いするかもしれませんが、親は生活保護費を代わりに受け取ったにすぎないのです。
問題点3「知らないうちに奨学金の振込口座からお金が引き出されていたこともあった。」
この親、奨学金を勝手に引き出しています。
このことから、明らかに金銭管理能力に問題がありますが、それ以前に人間としてどうかと思う部分がありますね。
問題点をまとめますと
・問題のある母親
・この家庭に介入しなかったケースワーカー
この2点が大きな問題だったと言えます。
ケースワーカーについては制度的な欠点かもしれませんが、今回は問題のある母親に対してどう向き合うかと言う視点で進めていきます。
寮のある国立大学への進学
そもそもですが、今の世の中には大学進学しながら衣食住を満たせる選択肢があります。
その方法の一つが、『大学進学とともに大学の寮に入って生活する』です。
国立大学であれば、大学の寮費は、光熱費を入れて1万円から3万円ほどのもので、さらに食事が出る場合は、食費2~3万円といったところです。
つまり、月に5~6万円あれば、少なくとも飢えることは無いということが約束されています。
そして、生活保護世帯が進学する場合、給付型奨学金の対象となり、授業料免除に加えて月7万円程の給付型奨学金を受け取れます。
つまり、仮にアルバイトをしなくても7万円程の給付型奨学金だけで生活が維持できます。
私も貧困家庭出身者なので予想できますが、大学進学したらがっつりアルバイトをするでしょう。
ただ、アルバイトをすると時間もがっつり取られます。
就職活動、卒業論文、車の免許取得、留学など、アルバイトをする時間を他のことに割きたいほど忙しくなることがどこかであります。
事情があってアルバイトを減らしたい時、アルバイトを全くしなくても生活していけるというのは、心の余裕が持てます。
では大学の学生寮のなかでも、いくつか安めのところを挙げてみます。
水産大学校
食費込みで3万5千円と電気代の実費で生活できます。
厳密には大学ではありませんが、大学と同等の扱いになります。
静岡大学
寄宿料の安さを背景に、食費込みで2万~2万5千円で生活できます。
給付型奨学金7万円程の範囲でも余裕で黒字生活できます。
埼玉大学
食費はありませんが、月2万3千円の家賃です。
ここまで上げたものに比べて高めですが、部屋が綺麗で設備は恵まれています。
就職の段階になれば、都内にも出やすいという立地の良さが生きてきます。
新宿まで1時間以内で行けます。
上記を例として挙げましたが、国公立の学生寮はどこも金額的にこんなものです。
もしアルバイトをしようものなら、大学卒業時には200万円以上の貯金も作れるでしょう。
もっとも、大学2年生くらいの段階で実際に100万円作れてしまうと、中古車を買ったり寮からアパートに引っ越すこともできてしまうため、自分の欲求と戦うことになるかもしれませんね。
もちろん寄宿料の安さは寮の設備に見合っているのですが、そうは言ってもこの安さは見逃せないでしょう。
ただ、設備の悪さというものはありますので、必ず見学やオープンキャンパスの段階で下見しておきましょう。
また、学生寮は基本的に共同生活になりますので、どこまで共同なら大丈夫か、自分の許容範囲もしっかり考えておきましょう。風呂トイレ共同から、1部屋に1つユニットバスがある学生寮まで色々あります。
※設備面、プライベート面での不安から、やっぱり寮で生活するのが嫌になって、アパートを借りて予定外の費用を必要としてしまう可能性があります。
国公立の学生寮であれば、寮費が5000円以下のところは設備面も不満を抱く可能性が高いですが、1万円を超えていればそれなりに快適に暮らせる設備になります。
国公立の学生寮は大体、周囲の一般的な物件の2万円から3万円引きくらいの家賃で暮らせると思ってください。
寮費2万円であれば、普通に借りれば家賃4~5万円相当の物件で、快適に暮らせると思っていいです。
寮費700円であれば、普通に借りても家賃2~3万円相当の物件で、快適に暮らせるかどうかは何とも言えません。調べれば国公立大学の寮はYoutubeなどでも出てきますが、正直これは設備的に…となる寮もあります。
勿論、希望する進学先の寮費がいくらかと、設備についてはしっかりと確認しましょう。
とは言え、生活保護世帯などの底辺層出身者は、散らかっていようが部屋が狭かろうが、実家に比べるとマシと思えるかもしれませんね。
多少の悪環境でも気にせず暮らしていける方も多いでしょう。
一応、寮についても定員がありますので、誰でも寮で暮らせるとは限りません。
これは別に抽選ではなく、経済的困窮度の高い順に入寮が通ります。
生活保護世帯と言うか住民税非課税世帯であれば、経済困窮度の一番高いグループとして扱われるので、入寮はまず通ります。
寮の人気にもよりますが、給付型奨学金をギリギリ貰えるかどうか、そのあたりが入寮できるかどうかの微妙ラインです。
国公立の大学に進学して、さらに寮で暮らすのはハードルが高いという声もあるかもしれませんね。
それでも、いざという時に困窮する可能性を減らしたければこれくらいはやりましょう。
国公立大学に進学し、大学の学生寮で暮らせば、コロナのようなことがあっても生活基盤は揺らぎません。
寮にもよりますが、費用が安いので寮に入りたいと希望しても、入れない人がいることも忘れないでください。
ほぼ確実に大学の学生寮で暮らせるというのは、低収入層の特権でもあります。
他にも、「新聞奨学生」と言う選択肢もありますが、私自身が新聞配達のアルバイトをすぐに投げ出した経験があるのと、最後まで続く方は5割な厳しい世界のため、個人的にはお勧めしません。
朝と夕方に新聞配達、集金などを行って、勉強する時間が残るのかははなはだ疑問です。
ただ、検討する価値はあります。
新聞奨学生を続ける事に比べれば、国立大学に進学し寮で暮らす方がまだ楽です。
あとは難易度を度外視するなら、気象大学校というものがあります。
気象庁の職員扱いで、月14万円程の給料を貰いながら気象に関して学びます。
そのため学費に加えて寮費も無料、食費や生活費は給料の範囲で余裕で賄えるでしょう。
大学卒業時点で、給料を受け取っている分同世代と差がつきます。
難易度的には、東大合格の方が簡単かもと言う感じなので、あくまでこんな選択肢もあるという話です。
こんな感じで、親の援助なしで大学での勉強と生活が両立出来る手段があるということは頭に入れておきましょう。
親のことは助けない
はっきり言いますが、私が当事者様と同じ状況(生活保護世帯から大学進学する)でも、上手く立ち回れるだろうなと思っています。
理由はただ一つで、親や弟のために大学生の身でありながら働いて仕送りをしようなどと、私は絶対に考えないからです。
奨学金を受け取っている、つまり自分自身が支援されている状況で、親を支援しようなどとは考えなくて良いです。
私も実家は住民税非課税世帯で、生活は苦しいのですが、大学時代に親への仕送りは全くしませんでした。
だって自分の生活でいっぱいいっぱいでしたし。周りにも仕送りしている人なんていませんでしたし。
そういうことは、就職して手取りが20万円超えてから考えましょう。
言ってしまえば、介護が必要な年になったら、余裕があれば気に掛ける程度で良いんじゃないですかね。
そもそも親だって、自分の親に援助したのかどうか何とも言えないところでしょう。
自分の人生は自分で、それがダメなら生活保護に頼れば良いです。親を自分が助けないといけないというのは、ただの思い込みです。
と言うのは簡単ですが、親や兄弟への思い、親を支えないといけないという義務感、ダメな親を見て自分がなんとかしないと兄弟が困る未来が見えるなど、そうもいかない事情があったのかもしれないですね。
「生活保護世帯が大学進学するには世帯抜けないとダメなの、この世のバグなんよな」
という当事者様の呟きに対して、逆に思ったことを言います。
「世帯を抜けて、親とは別世帯になったので、親を助ける義務が無くなります。むしろ世帯を同じままにして、親と関係を絶てない方が、この先ずっと厳しくなります。」
奨学金振り込み口座はさっさと変える
いわゆる底辺層で育った当事者ならご理解いただけると思いますが、大学進学あたりで親子の保護者関係が逆転することも珍しくありません。
40~60歳くらいの親を20歳前後の子供が気に掛けるという、大人とは何なのかと思わされる構図です。
親は誰しも年齢を重ねて、実年齢の40~60歳相当にふさわしい精神性を持ち合わせているかと言えば、そんなことはありません。
仕事が続かなかったり、家事をする習慣が身につかなかったり、精神の成長が中学生のままである親も底辺界隈には珍しくありません。
そんな中身中学生の親が、子供への奨学金が振り込まれる口座を知って、引き出し手段を持っていれば、お金に困った時に引き下ろしてしまうのは想像できるでしょう。
ライオンと同じ場所でウサギを飼育するようなものです。我慢の出来ない猛獣に、自分を餌として差し出してはいけません。
奨学金の振込口座は変更することが出来るので、親と距離を置けたらさっさと変更してしまいましょう。
そういう対策をしておかないと、実際に必要なお金を使い込まれてからでは遅いです。
推測になりますが、仕送りをしていたという事情から、通帳でも引き出しができるゆうちょ銀行を利用し、通帳とカードをそれぞれ持ってお金のやり取りをしていたのかと思います。
そこに奨学金も振り込まれて、本人より先に親が引き出したのではないかと見ています。
親を信用できないのもやってられませんが、親に問題があると思うなら、奨学金振込口座に限らず、親の手が届く場所にお金や大切なものが残らないようにしておきましょう。
そもそもですが、「親に問題がある」ということをしっかり認識し、「問題のある人」として対応することが大事だったと言えます。
まとめに代えて
このように、今の日本においては、給付型奨学金を貰いながら国立大学に行き、さらに寮に入ることで生活費を抑え、勉強と生活の両立が出来るようになっています。
身も蓋も無いことを言えば、生活保護と同様に最低限の生活が保障された状態で、大学卒業を目指すことが出来ます。
難易度は高めかもしれませんが、少なくとも紹介した記事の当事者であれば国立大学に通っており、生活保護世帯である以上、寮で暮らすことにも問題なく通るでしょう。当事者様のTwitterから当事者様の進学した大学は予想付きましたが、寮もあるようでしたし、寮で暮らしていれば月数万円は生活費が抑えられたでしょう。
ただ、これは知らないとどうしようもないですし、大学進学については準備期間も必要です。
生活保護世帯で中学生、高校生の方は、国公立大学を目指すと言うだけでなく、寮で生活するということも検討してみて下さい。