
生活保護は現物支給すべきかどうか
現在の生活保護制度と言うのは、家賃を含め、単身者であれば月10から12万円程で生活を送れるように、現金を支給されています。
時折、生活保護は現金を渡すのではなく、現物支給すべきと言う意見に出会います。
感情論と現実論、色々な意見を見てきましたが、事実だけを述べれば、現物支給の方が費用も手間もかかります。
それでも、生活保護制度として、現物支給の方が良いのではないかと言う意見は尽きることはありません。
生活保護利用者の大前提
さて、大前提として今さら言うまでもありませんが、生活保護利用者には現金支給の方が幸せになれる人と、現物支給の方が幸せになれる人がいます。
ざっくり言えば金銭を管理できる人と管理できない人です。
噓か本当か、生活保護費を落としたと言って前借りさせてくれとお願いする人
受け取った生活保護費を月の前半でほぼ使い切る人
と言う方々は例え月々の生活保護費が3倍になったところで
行動パターンが変わらないので幸せにはなれません。
まったくもって現金支給には向いていません。
という極端な方ではなくとも
生活保護を利用する方の一部にとっては、買い物っていうお金を使う作業は疲れるんですよ、普通に
明日はこの肉とこの野菜を買って○○作ろう…
トイレットペーパーがそろそろ切れそうだから買い足さないと…
こんな日々のめんどくさい作業、外注できるなら現物支給と言う形で外注した方が楽だなと思う生活保護利用者は少なくはないです。
というなんとなく現物支給側の方が楽なのではと思える方々の中に混ざって、家賃含めて月10から12万円程度で暮らす現在の生活保護制度に満足している人もいます。
そもそも生活保護を利用するに至る人と言うのは、お金を稼げない人です。
今の日本においては、週5日、1日8時間、標準月170時間労働をすれば生活保護のお世話になることはありません。
ひと昔前はフルタイムのアルバイト代が生活保護費に満たないという事例もありましたが
近年の最低賃金上昇によってそんな事例は消えました。
生活保護を利用するに至っている方と言うのは
標準月170時間労働が身体的、精神的、何らかの理由で出来ないからこそ生活保護に至っているのです。
身体的な制約や精神的な不安定がある生活保護利用者が
金銭管理能力についても大なり小なり難があることに、今更語る部分も無いでしょう。
ですが、この170時間働けないと言うくくりの中には、月150時間働ける人と、月1時間も働けない人が混ざっています。
この能力差を鑑みることなく一緒くたにして、現金渡してあとは何とかしてねと言う現在の生活保護制度設計と言うのは
さすがに雑過ぎて無理のあるものではないでしょうか。
生活保護は現物支給するべきだ、やはり現金支給の方が良い、色々考えがありますが
多様な生活保護利用者を一括りに扱うのがそもそも間違っているのであって
生活保護のあるべき姿は現物支給と現金支給の共存なのです。
選択制現物支給
現在の生活保護制度は、現金支給となっていますが
月14万円相当の現物支給
月12万円位の現金支給(地域による、現行通り)
この2択を選択できるシステムであればどうでしょうか
基本的には現物支給をデフォルトにして
どうしても現金を使ってやりたいことがある、現金支給の方が上手くやりくりできるなど
現金支給の方が良いと申し出た希望者には現状の現金支給と言う形にするのが
一番の落としどころだと考えます。
現物支給制度の設計として
・1日3食分を提供する
・半年に1回くらいはうなぎのような季節に合った贅沢な食事を1食2000円程度の想定で提供する
・タバコ、飲酒、ギャンブル費用は考慮しない
・ペットの飼育費用も考慮しない、ペットの餌など出さない
・光熱費は夏場で26度のエアコン、冬場で20度の暖房設定が出来る程度を
・大きな贅沢は出来ないが、死ぬわけはない水準
お金が無い無い言いながら
1日1食だ、エアコン付けてないと言われる生活保護利用者の方は
だいたい家計簿の何かしらがおかしいので
使い道をきっちり指定してしまえば
月14万円あれば十分な生活を送れます。
その制度設計であれば
生活保護利用者でもたまにはうなぎが食べたいぞ
⇒現物支給を選んでください
生活保護は1日1食、エアコンも使えない
⇒現物支給を選んでください
現物支給なら借金返済できないじゃないか
⇒自己破産してもう借金するな
どうしてもパチスロしたい
⇒現金支給で少ない生活保護費をやりくりしてパチスロへどうぞ
ペットを飼いたい
⇒現金支給で少ない生活保護費をやりくりして可愛がってください
生活保護は飲酒、パチスロできてずるい
⇒少ない生活保護費で何かできているならそれは本人の努力だろ
生活保護でも海外旅行したい
⇒中間層だって海外旅行は出来ない、さすがに生活保護でなんとかする範囲じゃない
どうしても行きたいなら少ない生活保護費で…
のように、様々な意見にも対応できます。
なお生活保護制度において現物支給を行うには、現物支給をするための費用、現物支給にかかわる人員をどう確保するか、現物支給する具体的な物品はどうやって決めるか、などの課題がいくつもあります。
実現できるかについては一切考えておりません。非常に困難だと思います。
