大学生に生活保護を認めることの効果と是非と毒親問題
最近たまに「大学生に生活保護を」という主張、記事を見かけることはないでしょうか。
私は反対の考えです。
「大学生に生活保護を」という提言を目にするその際、その必要性を訴え、困窮している当事者の声がだいたいセットになっているのですが
「親に虐待されて育ち、その経験を授業で思い出し、大学通えなくなった」
「生活保護世帯で育ち、国立大に進学、親への仕送りのため働きすぎて体調崩した」
「親に奨学金を使い込まれた」
などなど、彼ら彼女らの物語には、揃いも揃って、子どもを虐待し、子どもが借りた奨学金すら使い込む、なろう小説のようにテンプレでもあるのかと思うほどの「毒親」と言う正式名称「犯罪者」が登場します。
虐待とか奨学金の使い込みとか可愛く言いますが、毒親のやっていることは「暴行」「窃盗」です。
虐待家庭で育った女子大生が生活保護を求める理由 「親ガチャ失敗なら通えないの?」
「大学はぜいたく品」と門前払い…生活保護を受けられない“貧困学生”の過酷すぎる現実
毎度毎度、読んでいてこれが令和の家庭環境なのかと頭が痛くなります。
そして自身が困窮している原因は、明らかに毒親にあるのにそこはひとまず置いておき、生活保護が適用されれば自分と似た境遇の方が救えると思っています。
毒親と距離を置いた方なら特に納得いただけると思ってますが、無理がありますよね。
それを踏まえて、何も考えずに大学生に生活保護を適用すると
「多額のお金を使った結果、裕福な家庭が益々裕福になり、一般家庭も、貧困気味の家庭も大きく助かる反面、声を上げている毒親持ち貧困大学生当事者は大して救われない」
という結果を想像しているので、私は大学生の生活保護適用に手放しで賛同できません。
その考えを語っていきます。
目次
○ただ「貧困なだけ」の学生は既に救える
○大学生に生活保護を適用した世界
○大学生に生活保護を認めた場合の効果
○それでも毒親持ち貧困学生は幸せになれません
○毒親によるメンタル破壊を甘く見るな
○まとめ
○今、毒親持ち大学生が出来る事
○ただ「貧困なだけ」の学生は既に救える
まずは、毒親持ちではないただの貧困学生の話をしましょう。
実は彼ら彼女らは、既に現行の奨学金制度でなんとかなります。
例えば生活保護世帯から大学等に進学すれば給付型奨学金+授業料免除を手に出来ます。
そこに月50~60時間程のバイトか、月5万円くらいの貸与奨学金を足して暮らせます。
もちろん両方を組み合わせることも可能です。
給付型奨学金月に6万+
バイト代月に5万+
貸与奨学金月に3万
合わせて月14万円になります
親の助けが無いながら、こんな感じで生活するわけですが
この状況、生活保護で救う必要あるように感じるでしょうか?
ちなみにこれは既に生活保護と同程度の生活水準になります。
そして言うまでも無いですが、もう少しバイトすれば生活保護よりも多くお金を使えます。
大前提として、親は援助はしないが、子どもにたかることも無いとお考え下さい。
「大学生に生活保護を」と声を上げている方々は、先ほどの月14万円の使えるお金から、「親へ月3万円仕送りする」などの悪条件を食らい、生活費が足りないのでさらに無理してアルバイトをして補填するような方です。
一昔前、給付型奨学金が存在しない時代なら、ここに生活保護を入れる必要もあったと言えます。貸与型の奨学金で大部分を賄うとなると、借り入れが高額になり、年2~3万円以上の返済を20年のような返済計画になるなど、さすがに将来への負担が大きいからです。
でも今となっては、十分とは言えないながらも給付型奨学金が大きな助けになっています。
返済不要なのが何より大きいです。
○大学生に生活保護を適用した世界
と言う前提で、じゃあ大学生に生活保護を適用するとどうなるか。
困窮している方々が、経済的に安心して大学に通えるようになりますね。教育機会格差の是正として良いことだと思います。
合わせて、生活保護レベルに困窮していない一般家庭の大学生も、親子で別世帯になることで、何の問題もなく生活保護を利用します。
え?そうはならないだろ?と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、何もおかしくありません。生活保護歴3年半の私は生活保護の制度設計上そうなると断言します。もしそうならないなら、困窮大学生の取りこぼしと言うまた別の問題が発生するからです。
現在の生活保護の利用要件は「持てる能力を活用し、それでも収入や資産が無い」ことです。
ですが、大学生に生活保護を認めるということは、「本人の稼働能力、働けるかどうかを問わない」ことになります。
現在、大学生に生活保護が認められないのは「そもそも働けるなら働け」という理由故ですね。
そこを変えて「勉強したいからアルバイト等で暮らせるほど働かない、普通に働けるけど」という主張が通るなら、「敢えて働かない」と言う選択肢も生まれます。
つまり、大学生に生活保護を認めるかどうかは、純粋に「収入や資産が無い」ことだけになります。
ここで残る大学生にとっての収入は、親からの仕送りになりますね。
こんなものは親にとって義務ではありません。辞められます。
親が子供に対して「仕送りをしない」
子どもが「勉強優先しアルバイトをしない」
これで、大学生の収入も無くなるわけです。生活保護の要件的にはこれでOKです。
親に資産があれば?親にも収入があるのでは?
だから親と子供を別世帯にすることで、親の資産、収入は問われなくなります。
生活保護はあくまで世帯単位、つまり大学生当人が金銭的に困窮している(ことになる)なら、それでいいのです。
大学生だけの単身世帯、もしくは大学生同士の夫婦世帯が認められ、もし収入資産が無いなら、アルバイトや休学などせずに即生活保護になっても何の問題も無くなるのです。
これで生活保護の要件を満たした、働けるけど収入の少ない大学生が生まれました。
というか高校を卒業したばかりの(社会人経験が無く、資産が無い)大学生なら、ほぼ全員がこのやり方で生活保護を認められることになります。
○大学生に生活保護を認めた場合の効果
大学生に生活保護を認められると、どれほどの経済的利益が受けられるでしょうか。
まず生活保護なら、現状の生活保護世帯出身者に対するように、大学の授業料は免除になるでしょう。
国公立4年で授業料240万円とします。私立ならもっと免除されるでしょう。
現在、親が生活保護水準にある家庭であれば、給付型奨学金とセットで、授業料も全額免除になります。
そして生活保護費、仮に月10万円計算でも、4年で480万円
医療費免除なども足し、30万円くらい余計にもらえるでしょう
ということで、大学生時代を生活保護を利用して過ごすことにより、得られるその差額は750万円
もう一度言います
750万円
二人分なら1500万円、つまり老後2000万円問題がほぼ解決します。
これを見逃さない一般家庭は無いでしょう。
私も仮に結婚して子供ができたとしたら、間違いなくこの方法で大学に行ってもらいます。
偽装離婚などとは訳が違って、子どもに仕送りを拒否するだけでOKな条件ですし、違法でもなんでもありません。
そうなると、大学生、専門学校生の多数、ざっくりと見て200万人ほどが生活保護になります。
生活保護利用者が今の2倍になりますが、そこは大した問題ではありません。
何ならそれに加えて、多くの資産形成、キャリア形成に失敗した氷河期世代や高齢者まで、生活保護目当てで大学生になるかもしれないですね。
やり直しが認められる社会として、良いのではないかと思います。
こうなると、生活保護制度とはいったい?となりそうですが、ある意味大学進学が平等になり、めでたしめでたし
因みに、この事業にかかるお金は、年間でざっくりと
(750万円÷4年)×200万人=3.75兆円
です
仮に大勢の氷河期世代が人生のやり直しを図り、生活保護を利用しつつ大学に通うようになると、出費は青天井になります。
その結果、困窮している大学生も大学卒業まで出来る一方で
一般家庭の大学生の親の手元には、大学を卒業した時点で浮いた大学費用分の全てとは言わないにしても、200、300万円があります。
これを親から結婚式費用や車の費用として貰って社会人生活をスタートさせます。
貧困に喘ぐ方から見ると、差がついてずるいと思うかもしれませんが、そういう制度設計だよとしか言えません。
じゃあ本当に困っている方に限定して認めるのはどうなのか?
逆に言えば厄介な線引きラインを設定することになりますよね。
何を持って「本当に困っている」とすればいいのでしょうか。
親の収入を基準にする?別世帯なので援助しないと言えばそれまでです。
そして、もし高収入の親から仕送りされずに困っている大学生がいたら?
高収入の親に「芸術系なんてクソみたいな勉強辞めて帰ってこい」なんて言われたら?
高収入の親に「女は大学に行かなくていい、結婚しろ」なんて時代錯誤なことを言われたら?
もしくは、「客観的に働けないほど追いつめられている方に限定する」のか?
そもそもですが、別に現行の生活保護制度も「働けない」ことを条件にはしていません。働けるけど結果としてお金を稼げていない方もいるわけです。それを大学生にあてはめると、もっとバイトすれば?となってしまいますが、じゃあ学業に支障が出るよねと言われたらどうするのでしょうか。
精神科で就労不可とされた方に限定するという基準もありますが、就労不可なのに学校に通うのを認めるのは客観的に娯楽にしか見えません。経済的に困窮している優秀な学生を支援しよう!といって大学生の生活保護適用に賛同している方は、同意しかねるものがあるでしょう。
などなど、徹底的に困っている大学生に限定して生活保護で援助することが、いかに現実味が無いかが分かるかと思います。
○それでも毒親持ち貧困学生は幸せになれません
さて、肝心なお話です。3.75兆円ものお金を使った結果、大学生にも生活保護をと声を上げた毒親持ち貧困大学生の方は幸せになれるでしょうか。
断言します、ここまで壮大にお金をつぎ込みお膳立てをしても、それでも声を上げた彼ら彼女らのような方はこのやり方で幸せになりません。
なぜなら、直接の原因である「毒親」という問題を解消、解決されていないからです。
毒親は、子どもが生活保護で月に数万円の余裕が生まれるようになれば、その数万円をたかりに来ます。なんなら言われるがままに毒親に仕送りなどをします。
統一教会のようなカルトと同じですね、お金を取れるだけ取られます。
因みに統一教会は、生活保護受給者に対しても、生活保護費の10分の1を寄付することを推奨してます。
毒親と統一教会は親和性が高すぎますね。似たもの同士です。
ということで、必要なのは生活保護にはじまる金銭的支援ではなく、毒親と距離を置くことです。
決して毒親が欲しがっているお金ではありません。
お分かりかと思いますがここで、大学生への生活保護について怪訝な理由を一つ述べます。
結局その生活保護費が毒親に流れる、もしくは毒親がこれまで好き勝手した埋め合わせになるから、つまり一番助かるのは貧困学生ではなく彼ら彼女らを苦しめた毒親だからです。
毒親自身にも責を問うのが筋ではないでしょうか。
○毒親によるメンタル破壊を甘く見るな
また、気になるのが、この界隈の主張で
「親と離れて生活保護を利用し、大学に進学する」
こちら、18歳になったらという考え、視点で言っている点がものすごく気になります。
「毒親と引き離すのに18歳まで待つ」
という発想の裏返しでは?という疑念を抱いています。
18歳まで待つのははっきり言って遅いのです。
事実「大学生にも生活保護を」と声を上げてる当事者の方々、もう毒親に大分やられてて、大学で勉強した成果を今後発揮する足枷になるほどメンタルぶっ壊れてるじゃないですか。
逆にメンタル壊れてなければ、数百万程度の奨学金などを抱えても人生なんとでもなります。
1000万円の借金を背負うけど、何にも負けない強いメンタルになるのと、メンタル壊して1000万円貰うのと、どちらが良いか
この2択なら私は間違いなく前者が良いです。
メンタル壊してなければ1000万円だって取り返せますし、メンタル壊していれば1000万円でも足りないからです。
求めていくべきは、「毒親によってメンタルを壊されない社会制度」ではないでしょうか。
そして、無事に大学を卒業できたとして、この問題に声を上げた方々が、毒親にボロボロにされたメンタルで、今後どこまでやれるのか?という疑問が残るわけです。
言ってはあれなんですけど、メンタルの限界が来る時期を、社会人生活後に先延ばししているだけでは無いかと
出来ないとは言いませんけど、揃って大学で挫折するようなメンタルにされてしまっている以上、大学さえ出れば明るい未来を拓けるというのは儚い希望にしか見えません。
それでも挑戦すること自体は良いことです。ただ、挑戦するならメンタルがボロボロになる前に挑戦する方が、どう考えても良い結果出ますよね。
この問題の解決方法としては、小中学の時点での家庭への介入、全寮制の公立小中高を作り毒親と隔離する、子どものお金を使い込む親への厳罰化などを考えます。
また、親の同意をいちいち求める社会制度の見直しも併せて必要です。例えば未成年の銀行口座の開設、今はマイナンバーカードと口座の紐づけをしてますよね。そのマイナンバーカード紐づけ口座に関しては、15歳から親権者の同意なしに作れるようにしても良いのではないでしょうか。
15歳の権利を制限した方が良い、危険だという意見も勿論あるかと思います。それでも毒親世帯のような家庭にとって、親権者の同意と言うのは足枷にしかなりません。一般家庭には想像できないかもしれませんが、毒親世帯の毒親と15歳のこどもとでは、15歳のこどもの方が色々な意味で大人だったりもします。毒親の能力が低く、大人にならざるを得ないからです。
要は毒親自身に目を向けた対策をする方が掛ける費用や人手に対してよっぽど効果が高く、根本的な解決につながるのではないでしょうか。
冒頭に立ち返り、過激なことを述べると、大学で限界が来るような状況を作り出した毒親自身がこどもに対して、損害賠償としてお金を支払うべき、その仕組みを明確に作るべきとも思っています。どうせ毒親に返済能力は無いのでしょうけど。
要するに、毒親を親として扱うのではなく、犯罪者という前提で扱わないとダメだと言っています。
他には当事者への金融教育、生活保護や支援制度についての仕組み的な教育です。
もっとピンポイントで挙げるなら「生活保護費はどうやって支給額が決まるのか」などのテーマです。例えば毒親が、子どもが世帯分離して大学に行くと「生活保護費が減る」なんて言います。ですが生活保護費は、親や子ども一人一人が必要とされる金額を、まとめて世帯主に渡しているにすぎません。こどもが世帯分離して生活保護費額そのものは減ったとしても、必要とする人も出費も減るはずなので、子どもに渡るべき生活保護費を自分のために使い込んでいる親でなければ困らないはずなのです。こどもが別居するようになるなら猶更です。
という仕組みを教えれば、そんなことを言ううちの親はさすがにおかしいのでは?となる方も出てくるのではないでしょうか。
また、高校卒業後の進学は贅沢だと言い生活保護世帯への進学を諦めさせる福祉事務所、ケースワーカー様、さすがに改めていただきたいです。むしろ進学するにはどうすれば良いか、奨学金制度や進学後の家計シミュレーションなどで、現実的な道にして紹介いただきたいです。予算、人員的に難しいのでしょうが、高校生以下の方の支援に特化した担当者が配置されていればいいなと思います。ヤングケアラー問題も含めてこの世代には特に支援が必要ではないでしょうか。
脱線しましたが、素朴に疑問なんです。
そもそも「大学に進学すればこの家から離れられる」と考えている方々、中学、高校時点で、「こんな家1日でも早く出ていきたい」と思うほど追いつめられていたじゃないかと。
大学進学まで待つという思想で本当にそれで良いのかと。
叶うことら、大学進学など待たずにもう逃げて頂きたい。
そもそも、大学や専門学校に進学できるのはまだマシで、中学から家族の世話をしたり、高校で長時間バイトして肝心肝要の学力が基準に届かない、勉強の習慣すら身についていないという悲惨なケースもあり、これもなんとか救われてほしいと思います。
これを踏まえても、焦点を当てるべきは大学や専門学校への進学後ではなく、進学前です。
○まとめ
以上、大学生への生活保護実施は
「年に3.7兆円をつぎ込んだ結果、裕福な家庭が益々裕福になり、一般家庭も、貧困気味の家庭も大きく助かる反面、肝心の毒親持ち貧困大学生当事者が大して救われない」
という残念な結果、もしくは
「大学生が生活保護を利用する要件を厳しくすることで、不公平さが生まれ、支援から取りこぼされる人が出る。勿論毒親持ち貧困大学生当事者は大して救われない」
のどちらかになるかを想像しているので、手放しで賛同できません
ただ、大学生への生活保護実施というのは裏を返すと
「氷河期世代が生活保護を利用しながら大学に進学する」
「一般世帯が多額の授業料に気兼ねすることなく大学に進学する」
という、再チャレンジ可能で平等な素晴らしい結果につながるとも言えるので
ありか無しかで言えば、ありです。
再チャレンジ可能な社会、教育機会の平等という観点からは、大学生の生活保護適用は賛成です。
ただ、毒親から逃げる手段としての効果は怪訝に思っています。
○今、毒親持ち大学生が出来る事
親が勝手に奨学金を口座から引き出し使い込む
そんな毒親を抱えて悩んでる方は
奨学金の受取口座は、親に関係なく変更することができますので
親に対して不信感があればさっさと変更すると良いです。
因みに、18歳になっていれば銀行の口座は自分だけで開設することができます。
奨学金に限らず、親に口座を握られているとたまったものではないですね。
他に、ネット銀行では、キャッシュカードが存在しないものもあります。
口座を作ると家にキャッシュカードが来て、誰かが対面で受け取ることになるため親に口座がバレる可能性がありますが、その可能性を減らせます。
このように、経済的に親との距離を置いていくことを勧めます。