生活保護に関する考察

所得毎の自炊率と自炊をするには【貧困層程自炊をしない理由は何なのか】

普通の感覚をお持ちの方なら、月々の出費を減らしたいと思っていらっしゃるでしょう。
そのテーマとして、自炊についてはよく語られてますね。

自炊メインの方は食費平均月2万円
外食メインの方は食費平均月5万円

これは極端な例ですし、最近は物価高でどちらも増えていますが、自炊をすれば生活費が抑えられるというのは、結構認知されているかと思います。

生活費を抑えたいならもちろん自炊、となります。
ですが実際は、貧困と自炊には明確な逆相関関係があり、生活費を抑えたいであろう低所得になるほど、自炊の頻度が減ります。

所得と自炊率の関係はこのようになっています。

1日に1回以上の自炊の有無
※所得階層 1-5で5分割し、所得の上位20%を1、次の20%を2…とします。
所得階層5は、所得の下位20%でもあります。

所得階層1(~上位20%) 95.6%
所得階層2(~上位40%) 94.2%
所得階層3(~上位60%) 91.6%
所得階層4(~上位80%) 89.6%
所得階層5(~上位100%) 85.1%
所得階層 (生活保護)  86.1%

引用 家庭の生活実態及び生活意識に関する調査 / 平成28年家庭の生活実態及び生活意識に関する調査 一般世帯
引用 家庭の生活実態及び生活意識に関する調査 / 平成28年家庭の生活実態及び生活意識に関する調査 生活保護受給世帯

所得が低くなるにつれ、自炊をする割合も減っていくのが分かります。

また質問の仕方から察せると思いますが、この質問、1日2~3食のうち1回でも自炊をすれば自炊をしていることになります。

ですが、自炊をしている人でも、1日に1回なのか、2回以上なのかで、差があるでしょう。
実態は、低所得程、1日2回以上の自炊頻度も低く、所得が多いほど1日2回自炊すると見ています。

今回は、なぜ低所得層ほど自炊をしないのか、その理由解説と自炊が出来ない方向けの対策です。

自炊には初期投資が必要
自炊には一定以上の気力と時間、体力の余裕が必要
雑に作れるレシピを用意する
まとめて作り置きする
東京都の米1万円分配布について
まとめ

自炊には初期投資が必要

そもそも、自炊をするためには初期投資としてのお金が必要です。
例え、自炊の方が割安だと分かっていても、金銭的な理由から自炊を出来ない方がいます。

例えば、パックご飯が5個500円で売っていたとします。
1食当たり100円とします。

それに対して、お米は5kg1500円前後で買えます。
1食1合(160g)で計算しても、31食で1500円。
1食当たり50円になります。

パックご飯ではなくお米を買うと、半額で食べられるのが分かりますね。
経済合理的に考えるなら、お米を買います。

ただ、お米を炊くには炊飯器が必要になります。
炊飯器が5000~1万円と見ても、100円に一喜一憂している層には決して安くはなく、他に優先したいものもあるでしょう。

経済的余裕が無くて炊飯器を買えない層、使えるお金が数千円しかない層にとっては、

「割安かどうかはおいておいて、パックご飯を買うしか選択肢が無い」

というのは想像できるのではないでしょうか。

他にも、調理器具、調味料、極端な方は電子レンジ、冷蔵庫も持っていないかもしれません。
いつでも自炊できる環境を整えるお金が無ければ、自炊ははじめられないのです。

とはいえ、ずっと自炊をしないというのは、長い目で見ればとんでもない損失になります。
本気で家計を改善させたいなら、少しずつでも揃えていきましょう。

調理器具全部が全部必要というわけでもなく、まずは電子レンジでもHIコンロでも何か一つ加熱器具があれば、工夫次第でなんとかできます。

自炊には一定以上の気力と余裕が必要

自炊は誰でも出来るかと言われると、そうとも言い切れません。
体力、気力、そして時間的余裕が必要です。

そもそも自炊は調理をして終わりでしょうか。

いえ

・材料を用意する
・メニューを考える
・後片付けをする

が、必要になりますね。

材料を用意するために買い物したり、ネットスーパーで注文したり、後片付けをする、もちろん調理もする。

どんなに少なくても10分、通常20~30分、もっとかける方もいるでしょう。

不慣れな方は、メニューを考えるのに時間を使ってしまうかもしれませんね。
加えて栄養のバランスを考えるとなると、なおさら頭を使います。

生活保護を利用する方、低所得の方には、そもそもフルタイムの仕事をするほど体力・気力が無い方がいます。
全く働けない、働けるけど短時間が限界、などですね。
そんな条件の方が、体力・気力を要する自炊をするというのは、難しいと納得いただけるのではないでしょうか。

そんな方も、カップ麺やコンビニなどの弁当を用意するのであれば、材料の用意、後片付けという作業が不要になります。
たまに貧困層がカップ麺を利用することに否定的な意見、袋麺を使わないのは贅沢という意見を見ることがありますね。
ですが、気力などを踏まえると、その方にとってはカップ麺を利用するのが最適解なのです。
怠けていると言えばそれまでですが、そもそもまともに調理できる気力体力があるなら、仕事をもっと頑張ってるという話です。

自分が雑に作れるレシピを用意する

それでは、どうすれば自炊に取り組めるのか。
考え方として、自炊のハードルを徹底的に下げましょう。

まず、自炊と言っても言い方一つです。

時間をかけ、丁寧に下ごしらえし、じっくり煮込んだ煮込みハンバーグは自炊と言えますが

うどんと肉と雑に選んだ野菜と調味料入れて、適当に煮込む

これも自炊と言えます。

なんなら肉を焼いて焼肉のたれを雑にかける、これも自炊ですね。

他には、野菜なんかも冷凍のブロッコリーなどを電子レンジで温めるなどでしょうか

自炊は頑張ればいくらでも頑張れる世界ですが、手抜きをとことん追求する余地もある世界です。

出来栄えなどはさておき、とりあえず作れる程度のものでも作れるようになると、生活の幅が広がります。

まとめて作り置きする

まとめて作ることで、自炊の手間を減らします。

例えば私の場合、みそ汁、スープものは鍋で作れるだけの量を作ってしまいます。

夕食と次の日のお弁当や昼食をまとめて作ることもあります。

何も作らないのと1食分を作ることは、かかる手間や時間が大きく変わりますが、1食分作るのと2食分作るのは、手間も時間も大して変わりません。
もちろん1食分と3食分も大して変わりません。

他にも冷凍に向くもの、ネギなどは何本もまとめて切って冷凍しています。

まとめて作り置きし、自炊にかける1食当たりの時間を減らせば、全体として負担も減らせます。
少しなら自炊できると言う方は、この方法を勧めます。

東京都の米1万円分配布について

数日前、東京都が低所得世帯にお米を配給するというニュースを目にしました。

東京都、米1万円分を低所得世帯に配給へ…物価高対策、野菜や飲料の選択肢も検討

話は微妙にそれますが、このニュースを見て、自炊頻度の低い層にお米を配給する政策はいかがなものかと首をかしげました。

野菜や飲み物も選べるようにするとのことですが、選択肢が飲み物しか残らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ただ、米1万円分は、自炊できる方にとってはありがたい支援なのは間違いないです。
また、炊飯器が無くても、電子レンジや鍋で炊飯できなくはないので、チャレンジするのもありかと思います。

他に選択肢にある飲み物なんて、水道水飲んだりお茶くらいは作る層から見れば、タダ同然のものですし、やはりお米が一番金銭的価値はあります。

まとめ

そもそも自炊は最終目標でも何でもありません。
自炊できれば食費が浮きやすいよねと言うだけの話です。
無理にするものでもありません。

生活保護の当事者の方は、先ほどの理由のように、自炊など出来ないという方もいらっしゃるでしょう。
それでも、簡単な出来ることからはじめていくと、余計な出費を抑えられます。
自炊をしていなくて、それでも節約したいという方は、ぜひ検討してみて下さい。

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