生活保護に関する考察

単身生活保護受給者の平均的な家計簿からわかることと問題【統計データ】

生活保護受給者はどれくらいの収入、支出で暮らしているのか気になることはないでしょうか?あくまで平均値になりますが、社会保障生計調査という統計がありますので、単身世帯の実情を中心に紹介します。加えて気になった項目を解説し、現在の生活保護費は適正なのかお話しします。

目次
・社会保障生計調査とは
・収入と支出の平均
・食費は都会ほど高くなる
・家賃は都会ほど高くなる
・光熱・水道費は田舎ほど高くなる
・家計簿から見る生活保護費の不適正さ

社会保障生計調査とは

生活保護を受給している1,100世帯に1年間、毎月家計簿を付けて貰う統計調査です。物価や家賃水準が異なる級地ごとに分かれています。今回はこの平成30年度版を紹介します。

平成30年度社会保障生計調査※今回作成したグラフや文章中の数値はこちらのデータをまとめたものです。

級地についても説明しておきます。生活保護費の金額は、住んでいる場所によってきめられています。この住んでいる場所が6つの地域に分けられて、級地として分類されています。一般的に、暮らしていくのにお金がかかるとされる都会の地域ほど、生活保護費も高くなっています。

収入と支出の平均

では、生活保護受給世帯の収入と支出を紹介します。

まずは収入の内訳です。

生活保護受給者も生活保護費だけで生活しているわけではありません。就労による収入や、年金などで得たお金をベースに、生活に不足している金額が生活保護費で補われています。

続いて支出の内訳です。

複数世帯の平均なので、特に尖ったところの無い家計になります。もし生活保護受給者の方で、家計簿を付けてみて何から節約していこうか迷った方は、自分の家計簿の項目で平均とかけ離れた項目を節約していけばよいと思います。

別に生活保護受給者ではない方も、節約を意識するなら、これが生活保護上の最低限度の水準だと把握しておくと、節約の指標として使えます。

さて、この表からは、生活保護受給者が生活保護費以外の勤労収入をそこそこ得ていることに驚かれたかもしれません。そもそも生活保護受給者が働くイメージを持っていない方がいらっしゃるかもしれませんが、生活保護制度とは決して働けない人を対象にした制度ではありません。働けない人や、働いてもなお生活していくうえで十分な収入を得られない方を保護する制度です。ただこの数値はあくまで平均値であり、実態は勤労収入のある方も無い方もいます。

また、少額ながら就労収入があり勤労生活を送っているような生活保護受給者が、当調査に協力的なだけなのかもしれません。※当たり前のことですが、家計簿を付けられない程に日常生活を送ることに支障のある方は、調査に参加していませんからね。

食費は都会ほど高くなる

食費は一番高いエリアと低いエリアで1万円近くの違いが出ています。ただ、東京都23区でも自炊メインで生活すれば、食費2万円程度なら問題なく切れます。実際に自炊メインで生活している方は、なぜ生活保護受給者の食費がここまでかさむか怪訝に思っているのではないでしょうか?もしくは、生活保護受給者はやっぱり贅沢しているんだなと、不満が沸き上がってはいないでしょうか?

生活保護世帯でも外食をある程度取り入れられていることが、調査に反映された結果と考えられます。生活保護受給者が外食なんて…という意見もあるかと思いますが、実際に自分で食事を用意できる能力が不足している方が多いのも事実です。例えばメニューを考えられない、調理の手順が頭に入らない、後片付けが出来ない、食材の消費期限を認識できず管理できないなどです。そういった方は自炊のハードルが高いため、外食をするのもやむを得ないかなとは思います。

食材の価格について、都会と田舎でそこまで差は出ませんが、外食の価格については都会と田舎で結構な差がつくため、この価格差が食費に大きく反映されたのでは?と考えています。

とはいえ、自炊が問題なく出来る方は、この食費の平均値に引きずられる必要はまったくありません。極端な節約はしないとしても、食費2万円を切るくらいを目指しましょう。特に生活保護を抜け出したいと思っている方へは、自炊をして家計に余裕を作ることを強くお勧めします。

家賃は都会ほど高くなる

家賃は都会ほど高くなりますが、実は家賃が多少安くなっても高くなっても、生活保護受給者には何の影響も与えません。なぜなら、家賃は住宅扶助という項目で、上限はあるものの実費が支給されてるシステムだからです。この上限は、東京や大阪などでは高額に、田舎では低額に設定されています。なので都会に住んでいる生活保護受給者の方に対して、「家賃が高くて大変なんだな」と考える必要はまったくありません。

光熱・水道費は田舎ほど高くなる

光熱・水道費は都心程安く、田舎程高くなっています。大きな理由は2つあります。

1つめは、都心の地域ほど水道代をある程度無料にする余裕があることです。東京都23区を代表として、生活保護受給者は1か月あたり10㎥まで無料のような自治体があります。一方で、他の一般家庭は水道料金4000円くらいだけど生活保護世帯は3000円でいいよという、減免方式の自治体もあります。

生活保護受給者に水道料金無料の支援を行う自治体は、都会ほど多くなっている理由も述べます。まず、都会は住宅がまとまっているので、1家庭に水道を届けるためのコストが安くなります。田舎は住宅がばらけているので、1家庭に水道を届けるためだけに水道管を伸ばさなければならないなど、運用コストが割高になります。1本の水道管を、田舎では1家庭で支え、都会では10家庭で支えていると考えてみて下さい。いかに田舎の水道事業が不利な戦いを強いられているかが想像できると思います。

ということで、都会の水道事業は黒字にしやすいですが、田舎ではそう簡単にはいきません。また都会ほど、水道事業に限らず税収基盤がしっかりしているので、生活保護受給者の水道料金を補助する余裕が生まれやすいこともあります。

2つめは、田舎は料金高めのプロパンガスの割合が高いことです。私は都市ガスもプロパンガスも経験していますが、プロパンガスと都市ガスでは、一人暮らしの場合でも月に数千円の違いが出たりします。

ということで、生活保護受給者が都会と田舎で同じような生活(エアコンの使用頻度、入浴頻度)をすると、このようになります。

都会の光熱費7000円:電気代が4000円、ガス代が3000円、水道代が0円

田舎の光熱費1万2000円:電気代が4000円、ガス代が5000円、水道代が3000円

結構な差だと感じないでしょうか?この金額差が、そのまま都会と田舎に住む生活保護受給者の光熱費の差として説明できます。もちろんあくまで一例で、田舎でも都市ガスと水道代無料の地域・物件であれば、都会と同じ光熱費になります。統計の平均としては、田舎程生活保護受給者の光熱費が高くなりがちという話です。

前述のとおり、生活保護費は都会ほど多額で、地方ほど少額になります。それなのに生活保護受給者の光熱費は、上記の事情から都会ほど少額で、地方ほど多額になります。地方にお住いで、光熱費がかさむことを体験している方にとっては、意味がわからない仕組みかもしれませんね。管理人にも正直意味が分かりません。

家計簿から見る生活保護費の不適正さ

ではここで、家計簿上の余裕金額を算出してみましょう。

収入から家賃を除いた金額が、1ヶ月に自由に使えるお金です。そのお金から、家賃を除いた支出額の残りが、1ヶ月ごとの家計の余裕になります。

東京など1級地-1では1万6千円余裕がありますが、3級地ー2では余裕が9千円になっています。結構な格差ではないでしょうか?※9千円といえど生活保護費が余るなら返せばいいのに、という意見も当然出るかと思いますが、生活保護受給者でもいざという時の出費に備え、少額の貯金をする必要はあります。

1級地ー2が1級地ー1より4千円も出費が多い理由は謎です。食費などの物価が高いという都会の悪い要素と、光熱費がかさんでしまう田舎の悪い要素が重なってしまったのでしょうか。それとも、母数がそれほど多くないためにたまたま偏りが出たのでしょうか。 1級地ー2は家計にほとんど余裕がないと言える結果になりました。

そして、都会と地方では生活保護費に差がありますが、実際にそれぞれの地域に住んだ場合の生活コスト差を超えて、都会優遇の金額になっています。食費だけを見ると生活保護費に金額差があることは適切なのですが、光熱費の逆格差まではおそらく考慮されていないのではないかと思います。

東京都23区や大阪市などの1級地ー1は、平均としては削減されてもまだ余裕があります。逆に3級地の家計簿はいっぱいいっぱいの生活をしていることがわかります。家計に余裕がない3級地の地域は、生活保護費を数千円ほど上げるのが適切なのではないかと思います。

と、常々思っていましたが、10月に生活保護費が改定されます。都心部を中心に減額されるものの、地方では生活保護費が増額されるところもあるので、格差の是正になっているかと思います。これから生活保護費がどう運用されていくのかわかりませんが、決して多額ではなくても、生活が破綻しない程度の水準を保証されるべきかと思います。今年の生活保護費の改定が統計結果に反映されるのは3年後くらいなので、3年後に同じ統計を見て、生活保護費の改定が適切だったか見てみたいですね。

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