生活保護に関する考察

【検証】生活保護費の少ない地域で生きられるか?

私は現在の生活保護費について「決して高くはないけど最低限のことはできる金額」だと認識しています。しかし生活保護費は、住んでいる地域や年齢によっても変わってきます。ちょっとの違いではなく1万円の差が付くほどに大きく変わってきます。

そこで私が当サイトを通して主張している「生活保護でも月に1万円貯金できる」について振り返り考察します。この主張をしていた私は、生活保護費が最も多い地域である東京都23区で生活保護を受給していました。

でも生活保護費が最も低い地域で月に1万円の貯金など出来るでしょうか?そもそも最も生活保護費の多い地域に比べて、1万円以上も生活保護費が少ない地域で生活は成り立つのでしょうか?ふと思ってしまったので、実現可能性を検証します。

結論と言いたいこと
生活保護費が最も低い地域でも
生きてはいけますが、余裕は無くなります。
そして、仮に月に1万円貯金を目標にすると
同じ生活保護受給者でも
都市部の方は楽勝で達成でき
地方では身を削る思いでやっと達成できる
という実態があるかと思います。
生活保護受給者同士も平等ではありません。
事情も全然違う生活保護受給者を
一緒くたにしては現実が見えなくなります。

目次
〇生活保護費が少ない地域の生活保護費
〇どこに住んでも出費はたいして変わらない
〇家計簿はこうなりそう
〇生活保護費が少ない地域で生きるには
〇老後が生活保護なら、引っ越しも選択肢
〇まとめ

生活保護費が少ない地域の生活保護費

生活保護の制度上、各市町村は物価などを考慮したよくわからない基準によってランク付けがされています。このランクによって生活保護費が決定されます。ランクは1級地-1から3級地-2まで、6段階あります。生活保護制度上、この3級地-2とは、最低賃金が低く、物価、土地代も安いため生きていくのにお金がかからない「はず」の地域です。

では実際に貰える生活保護費を見てみましょう。

単身、40代という前提で
東京都、都内の生活保護費(生活扶助)は
78600円です(住宅扶助:家賃を除く)
群馬県邑楽町の生活保護費(生活扶助)は
65000円前後です(住宅扶助:家賃を除く)
※この地域を選んだ意味は特にありません。
なんとなく目について、都内からも行けそうだなと思った場所なだけです。

1万円から1万5千円の差になります。割合に例えて言い直すと、東京都にお住いの方に「生活保護費の生活扶助、こんどから2割カットね。そういうことでよろしく。」と実行されたのが3級地-2にお住いの方の生活扶助費です。正直エグイですね。因みに生活保護費は年齢でも変わります。70歳を超えると、生活保護費は少なくなり3級地-2では6万円とちょっとになります。
年金なんてどこに住んでいても金額は変わらないのに、生活保護費が住む地域によって変わるのはちょっとおかしいと思いませんか?この感覚は私だけでしょうか?

どこも最低出費はたいして変わらない

私は一時期田舎と言える地域で1人暮らししていましたが、都会と比べて確かにトータルでの出費は少なくなります。しかし、食費、光熱費、日用品、通信費などの、毎日を生きるために必要な出費は都会でも田舎でも変わりません。美容室や飲食店が安い点は認めますが、恩恵を感じる機会は少ないでしょう。むしろ、物流網から外れ、小売店同士の競合も少ないので食費や日用品の物価は高止まりすることもあります。

そして田舎で出費が少ない理由、お金を節約できる最大の理由とは家賃、土地代の安さです。でも生活保護においては、家賃は住宅扶助費というカテゴリーになります。この住宅扶助費は家賃に応じて支払われ、家賃の高い地域は住宅扶助費の上限も高くなっています。ようは、都市部と地方の物価の違いは、住宅扶助費で解決していると言えます。
ですので、家賃が安くても高くても生活保護の生活扶助費として支給される「生活費」には関係ありません。都会に住んでいようが地方に住んでいようが大差のない出費である「生活費」に使える金額は、都会に住んでいるか地方に住んでいるかで意味不明なほど変わります。都会と田舎の生活保護費の差は、そのまま家計の余裕の差になります。

家計簿はこうなりそう

まず、東京都で生活保護を受給していた
私の家計簿から支出の抜粋です。

家賃  47000円(共益費4000円含む)
食費  25000円
通信費 12000円
光熱費 10000円
服・散髪 5000円
日用品  5000円
娯楽費  5000円

支出合計 109000円

家賃を除いた金額は6万2千円です。特に意識しなくても3級地-2で生きていくことは出来ます。東京都なら1万円以上余裕で貯金に回すこともできます。しかし収支トントンなので、このままでは1万円の貯金は困難ですね。あと、光熱費もお住いによってはもう少しかかるかもしれません。

家賃は別物と考えて、頑張ってこのように改善します。(光熱費は逆に少し加算しました。)

食費  17000円
通信費 7000円
光熱費 12000円
服・散髪 5000円
日用品  5000円
娯楽費  4000円

支出合計 50000円

これで合計5万円になります。私が生活保護を受給した時より食費と通信費を減らします。通信費はスマホを格安SIMにするなりで達成できます。食費は私が節約を頑張った場合が1万5千円なので、1万7千円は達成可能な水準だと思います。これを「毎月」となると厳しいかもしれません。一応これで月に1万円貯金できますが、もし同じことを東京都内でやるなら、3万円の貯金だって決して不可能ではありません。加えて私には特にお金のかかる趣味や習慣はありませんでした。飲酒、喫煙、外食の習慣がある方にはとても高いハードルかと思います。

生活保護費が少ない地域で生きるには

・出来る節約をする

例えば月に使えるお金が10万円の方と、月に使えるお金が5万円の方とでは、同じ千円でも千円の価値・重みが全然違います。自由に使える生活費が少ないからこそ、積極的に節約しましょう。まず最も見直し効果の高い節約は、通信費です。これを格安SIMにするなど再検討すれば、大きく減らせます。いちどやればずっと節約できるのもポイントです。しかし契約など面倒くさいのも事実で、出来ない方もいると思います。次にチェックすべきは食費ですので、もし自炊していなければまずは自炊から始めましょう。

・勤労控除で少しでもお金を残す

生活保護受給者が労働した場合の収入の扱いについてお話しします。月当たり15,200円までは全額手元に残り、月当たり15,200円を超えた分はその1割だけが手元に残ります。これはどんな地域に暮らしていても関係ありません。別に無理して正社員で働かなくても、フルタイムのパートで働かなくても良いです。そもそも生活保護を受給している時点で、労働に難ありかもしれません。でも月に数千円でも稼ぐ当てがあるなら、やってみるべきだと思います。

老後が生活保護なら、引っ越しも選択肢

現在のご年齢が40代後半以降で、このサイトをご覧になっている方もいらっしゃるかと思います。現実問題として老後は年金だけで暮らせるか、生活保護のお世話になるか検討していると思います。モラル的にどうかとは思いますが、老後の生活保護を見据えて東京都区内や大阪市など、生活保護上での1級地-1に引っ越すという人生設計があります。特に住まいに思い入れが無い方は検討して良いと思います。この選択は、現在お住いの地域で生活保護を受給するより、間違いなく人としての矜持を無くすでしょう。でも生存がかかっているなら背に腹は代えられません。矜持などでご飯は食べられませんので。

まとめ

生活保護は不平等な部分も多くある制度だと、改めて思いました。特に3級地-2で生活保護を受給して生活している方は、かなり苦労されていると思います。おそらくこの苦労は、都市部の生活保護受給者の多数が理解できないと思います。もし苦境に立たされているなら、こういう事例もあると情報発信するしかありません。逆に都市部の生活保護受給者はかなり恵まれていると言えます。
そして私も反省する所ですが、生活保護について語るときは、地域ごとの違いを考慮しないとダメだとよくわかりました。今後も注意して記事を書きます。

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