生活保護に関する考察

生活保護で夢を追う?【J・K・ローリング氏と生活保護】

「生活保護を利用しながら、作家や漫画家、俳優など、夢のある仕事で成功を目指す」という考え方、目にしたことは無いでしょうか。

そしてその成功事例として、ハリーポッターシリーズの作家であるJ・K・ローリングさんが、引き合いに出されているのを見かけることがあります。

『生活保護を利用しながらハリーポッターを執筆』

これだけ聞くと、生活保護を利用しながら全く働かずにハリーポッターを執筆したように聞こえます。

しかし日本の生活保護の例でも、働けない方がいる一方で働きながら生活保護を利用したり、病気でどうしようも無く苦しんでいるなど、個人個人それぞれの事情があります。J・K・ローリングさんも本当のところはどうだったのか調べてみました。

J・K・ローリングさんが生活保護を利用した経緯

J・K・ローリングさんがイギリスの生活保護制度を利用していたのは1993年の12月からということです。当時は生後間もない子供を抱え、離婚していました。

そして心労によるうつ病になり、自殺も考えたということから、生活保護利用開始時は働ける状態ではなかったと思います。

その後、1994年暮れに秘書の仕事を見つけ、生活保護を利用していながら仕事をしています。

同じタイミングで、公立学校教員免許状取得のための勉強を行っています。

日本の生活保護制度に例えるなら、職業訓練校に通うようなものでしょうか。

この期間中にも、時間を見つけてハリーポッターの執筆活動を行っています。

このように、J・K・ローリングさんが生活保護を利用していたことは事実ですが、何もせず創作活動に全力を注いでいたわけではなく、所得向上に向けて現実的に出来ることをやっています。

つまり「生活保護を利用しながら働かずに創作活動に専念する」という考え方とは真逆になります。

日本の生活保護制度に当てはめると、稼働能力を活用し、出来る範囲で仕事をしつつも時間を見つけ、執筆活動をする感じです。

実際にJ・K・ローリングさんは実習を重ね、1996年の7月に公立学校教員免許状取得のための勉強を終了しました。
結果だけ見れば、この時点で作家として成功する道筋が見えたので勉強には意味がないように思えますが、作家として成功しない時の計画もしっかり練っています。

そして、1995年にはハリーポッターの契約金を受け取りました。

以上、J・K・ローリングさんが生活保護を利用していたのは2~3年になります。

J・K・ローリングさんの生活保護への向き合い方

J・K・ローリングさんの経緯を調べてみた結果、夢のある仕事を目指している感じは全くなく、食べていくために自分の体調・能力と相談して、出来ることをやっていたように見えます。

もしハリーポッターが生活保護を利用している間にヒットしなかったとしても、教員などの仕事をして生活保護を抜け出したのではないでしょうか。そして生活保護を廃止した後も、時間を見つけて創作活動に励んだのではないかと思いました。

なので少なくとも「生活保護を利用して夢を追い、夢をかなえた人」として、J・K・ローリングさんを引き合いに出すのは失礼にあたると思います。

生活保護を利用して夢を追うという考え方は、もし自立する能力があったとしても、自分の都合を優先して、成功するまで生活保護を利用し続けることを良しとする考え方です。もっと掘り下げると、やりたいことしかやらずに生きるために生活保護を利用したいということになります。

漫画家や作家など、夢のある仕事だけでは食べて行けずに生活保護を利用するというのは一見合理的です。ですが別の見方として、稼働能力を利用できているかどうか、自立するつもりは全くなくただ生活保護に甘えたいだけではないかという、人としてどうなのかという見られ方もあると思いました。

ですが、生活保護を利用しながら、少なくとも自立するために就労活動をしつつ、余暇と言える時間で夢を追うことは否定できません。夢を追うためには、自分に出来る範囲で自立に向けた活動をしていることが前提だと言えます。

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