生活保護に関する考察

生活保護の冬季加算を解説【冬は生活保護費が多くなる】

11月になりだんだんと寒い季節になってきました、今年はまだ寒さを感じませんけれども。
生活保護では「冬季加算」と言って、寒い時期になれば生活保護費が増額されます。
今回は生活保護の冬季加算について解説をします。
動画はこちらとなります。併せてご視聴いただけると嬉しい限りです。

目次
生活保護の冬季加算とはどういうものか
冬季加算額は地域、県単位によってきまる
生活保護ばかり冬季加算で優遇されるのか
現行制度「県ごとの区分による冬季加算」の限界
冬が終われば冬季加算も終わる
まとめ

生活保護の冬季加算とはどういうものか

冬場は他の季節と比べ、光熱費が上がります。

他の季節と同じ生活保護費では、他の季節と同じ水準の生活を送れません

つまり、最低限の暮らしをするために必要な金額というのも上がるので、生活保護としてはそのギャップを埋めなければなりません。そのために、生活保護では冬季加算という名前で生活保護費を増額します。

因みに冬季の定義は、地域によって変わってきまして、10月から4月であったり、11月から3月であったりします。冬季加算を貰える条件に、季節以外の条件はありません。生活保護利用者全世帯が対象です。

冬季加算額は地域、県単位によってきまる

この冬季加算の金額はどうやって決まるのかと言いますと、住んでいる地域によって決まります。

暖房代がかさむ寒い地域は金額が多く、暖かい金額は金額が少なく設定されています。
後は世帯人数によっても決まります。

地域の分け方は次のようになっています

1区 北海道 青森県 秋田県
2区 岩手県 山形県 新潟県
3区 宮城県 福島県 富山県 長野県
4区 石川県 福井県
5区 栃木県 群馬県 山梨県 岐阜県 鳥取県 島根県
6区はこれまで名前の挙がらなかった都府県です

そして、冬季加算の具体的な金額です。
単身世帯(1人暮らし)で比較しておきます。

1区 12780円
2区 9030円
3区 7460円
4区 6790円
5区 4630円
6区 2630円

が、生活保護費に加算されます

2人暮らしになれば1.2倍ほどに、その後は人数が増えるごとに1割増える感じです。
2023年10月時点の話になります。

また、この区分けによって冬季の定義も変わります。

1区2区は:10月から4月の7か月
3区4区は:11月から4月の6か月
5区6区は:11月から3月の5か月

を冬季とみなされ、冬季加算の対象月となります。

生活保護ばかり冬季加算で優遇されるのか

ここまでのお話を聞は、生活保護と縁のない方にとってみれば「生活保護ばっかりずるい」「普通に働いている人や年金暮らしは、冬でも収入変わらないんだぞ」と不公平感を煽っているように聞こえるかもしれません。

冬は冬季加算の分だけ、生活保護の基準が上がります。

つまり、同じ収入、同じ状況の人で夏では生活保護の申請が通らないけど、冬になれば生活保護の申請が通るというパターンがあります。

実際に寒さの厳しい北海道にはそういう運用例が多くあります。

例えばとある地域で暮らす、年金が月に10万円で生活している75歳の高齢者が居るとします。

その地域の夏場の生活保護の基準額は9万5千円で、収入が基準額を超えているため、この時期に生活保護の申請は通りません。

ですが冬場は冬季加算があり、その地域の生活保護の基準額は11万円となり、収入が10万円なら生活保護基準以下となり生活保護の対象となる、といった運用がなされています。

冬になったら、そのタイミングで生活保護でない人も、冬季加算も加えた金額で生活保護の可否が決まりますので、当てはまりそうな基準ギリギリで生活しているという方は、生活保護の申請に行けばいいという話になります。

現行制度「県ごとの区分による冬季加算」の限界

冬季加算の金額は県ごとに決まっているので、地域ごとの寒さの違いをある程度はカバーできますが、万能ではありません。県単位というのは大雑把過ぎて実情には見合っていないところもあります。具体例をいくつか挙げます。

まずは兵庫県です。兵庫県には暖かい瀬戸内海に面した冬場も気候が穏やかな神戸市や姫路市、そして冬場は30センチの積雪も珍しくない、日本海に面した豊岡市があります。同じ兵庫県なのでどちらも冬季加算の金額は同じです。

豊岡市に似た気候の島根、鳥取は2番目に基準の低い地域で、神戸や姫路に似た岡山はもっとも基準の低い地域です。その鳥取と岡山では、冬季加算が2000円違います。豊岡市と神戸市でも、暖房費はそれくらいの差があるのでは?と推測できます。兵庫県だからとひとくくりにするのは適切ではなく、北と南で基準を分けるべきだったのではないかと思います。

福島県も見てみましょう。
福島県には、比較的冬も暖かい太平洋に面し、雪なんてそう降らないいわき市や、内陸に進んだところにある会津若松市、さらに山奥に進み、大内宿という観光名所があり、冬は雪に閉ざされる下郷町などがあります。どの地域も冬季加算の金額は同じです。

これらの地域がどちらも同じくらい寒いかと問われると、そんなことはなく寒さなんて全然違います。
いわき市は特に何の指定もされていませんが、下郷町は特別豪雪地帯です。1メートル普通に積もります。

下郷町は冬季加算が2番目に多い豪雪地帯新潟にも近く、いわき市は最も冬季加算の少ない茨城に近いです。茨城県と新潟県では、冬季加算は6500円違います。下郷町といわき市ではそのくらい暖房費に差があるのでは?と考えると、その差を無視して同じ福島県だからと一括りにするのは乱暴かと思います。

都道府県の中を重箱の隅をつつくように精査すれば、こんな事例は幾らでも出てきます。とは言っても、市町村で考慮するとなるとややこしくなるので今の県単位で考慮するのが限界なんだろうなと思います。
市町村ですら、合併で大きくなっているところでは、一括りにするのがもはや不適切では?という気もします。何なら岐阜県高山市は香川県より大きいですし。

冬が終われば冬季加算も終わる

冬季加算は季節限定のものなので春になれば、冬季加算分の生活保護費が減額されます。という当たり前の話なのですが、例年その時期になると、冬季加算分の生活保護費が減額されたことを、福祉事務所に抗議する人が風物詩のように現れています。

特に、生活保護が冬季から始まった生活保護1年目の人は、冬季加算分の加わった金額がはじめて貰う生活保護費になります。なので冬季加算という存在と、冬季加算で生活保護費が増えていたことを知らずに何故減額するんだと抗議してしまうかもしれませんね。

私も福祉事務所に行った時にそんな現場に遭遇したことがあります。
同じ説明を繰り返す福祉事務所のケースワーカーと、何度も説明を求める生活保護利用者の図は、ちょっと見ていられないものがありました。

まとめ

ということで、生活保護には冬季加算という制度があるという話でした。
この冬季加算のおかげで、生活保護利用者の生活は冬でも安定します。
とともに、冬季とそれ以外では生活保護の条件も変わってくるので、困窮した際にはこのお話を思い出して下さい。

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