未分類,  生活保護に関する考察

日本の生活保護捕捉率は2割と言う嘘について

日本という国には、困窮した時に使える制度として生活保護があります。

この生活保護制度、生活が苦しい、収入も貯金もない、ちょっとこのままだとやばそう、と言う方は素直に使えばいいのでは?と思っています。
そうは言っても、生活保護って困窮してもなかなか利用できないんだよなと、そう思い込んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実際に、生活保護の情報を調べた方なら、「生活保護を必要としている人の内実際に使えている人(捕捉率)は2割、生活保護を使えるはずなのに使えていない人が残り8割いる」と言う情報を目にしたことは無いでしょうか。

検索などしてみても生活保護の捕捉率は2割程度と言う結果が返ってきます

そういった情報を受け取ると

収入も貯金もなくて生活保護を使うしかない人の2割しか生活保護使えてない
残り8割は生活の申請をしても水際作戦で止められるんだな
あとは恥ずかしくて生活保護を使おうなんて思わないんだな
このように解釈してしまいませんか?

事実は全く異なっておりまして
預貯金額を考慮した推計では「預貯金がほとんどない保護基準以下の所得世帯のうち実際の保護利用世帯は43・7%」というデータが出ています

この話は「第196回国会 参議院 厚生労働委員会 第16号 平成30年5月29日」にて上がっています 

まあ低いは低いよねと言う感想となりますね。
ですが、これを超解釈することで「所得が保護基準以下の世帯のうち実際の保護利用世帯は22・9%」というデータが生まれ、本来の「日本において生活保護の要件を満たしているかどうかである捕捉率43・7%」を捻じ曲げ、これが生活保護界隈の常識となりました。
超解釈の方法は、貯金が1000万円あろうが所得が生活保護基準かどうかだけを判定材料にすることです。
貯金が1000万円あって働く気が無い人、貯金が300万円程ありしばらく生活保護程度の収入を稼げばいいやと言う人、貯金が100万円程度で、1年くらいで生活保護を必要とするだろう人、貯金も収入もない人、様々ひっくるめて所得が生活保護基準の人です。

貯金が数百万円ある人を生活保護の対象としてカウントすべきなのかどうか、世間一般的にはNOでしょう。ではなぜそんなことをした結果を捕捉率として出すのか、まあそんなことをするなりのいろいろな想いがあるのでしょう。

しかし、この超解釈の結果が生活保護界隈の本流になると、生活保護を必要とする人が生活保護申請ハードルの高さを非常に高く誤解して諦めてしまうなど、様々な悪影響を生みますね。

このような誤情報がBingAIさんを騙すほど広まったことには原因があります。

まずは大手の記事が「生活保護の捕捉率は22.9%」と記事の見出しで言ったことがはじまりだと言えます。
実際はその前にも、「生活保護の捕捉率は15~18%」と言う画像付きの主張があり、広く知れ渡っていて、ああ生活保護の捕捉率ってそれくらいなんだろうなと信じる土壌が出来ていました。
因みに「生活保護の捕捉率は15~18%」と主張した画像でも捕捉率の計算には所得だけを見ており、貯金のありなしは考慮していません。

その記事を生活保護に関する発信をする人たちは、へーそうなんだと深く考えることはなく、脳死で引用しました。

彼らはネットで拾った情報をコピペして記事を作るだけ、表題だけ拾うだけて中身の精査なんてしませんし、預貯金額を考慮した生活保護捕捉率の推計なんて考えも及びません。

いくらなんでもそこまで馬鹿ばっかりじゃないんじゃないか、と思うかもしれませんが、記事を書きたい人たちは生活保護にびっくりするほど関心を持っていませんし、誤情報や根拠のないことも普通に発信します。

ちょっと考え調べれば正解にたどり着けるはずですが、彼らにとって生活保護なんて自分とは無縁のPV稼ぎのネタでしかないと思っているので、ちょっと考えることなど労力の無駄なのでしません。
そんな無駄なこと考えるくらいならさっさと適当な記事書いてフライドポテトでも食べたいでしょう。

生活保護の情報を正しく知りたい側としては迷惑限りない存在です。

最後にこれは看過し難い理由ですが、敢えて誤解するような情報を発信する方もいます。
「生活保護の捕捉率は22.9%!政府、行政は何をしているんだ!」と言う方が「生活保護の捕捉率は43%!政府、行政は何をしているんだ!」と言うよりインパクトありますからね。
特に活動家インフルエンサーや宗教、知識層が「生活保護の捕捉率は22.9%」と言っているなら、「貯蓄額も考慮した捕捉率は43%である」と理解したうえで敢えて「生活保護の捕捉率は22.9%」と言っている可能性が高いです。

故意にやっていることを踏まえると悪質度は他の比ではありません。

以上が、生活保護の捕捉率は2割!低い低い!というデマをばらまく方々の人物像です。彼らの迷惑な成果で、生活保護は簡単に利用できないと多くの方が思いこまされているかもしれませんが、実際はそこまで捕捉率が低いわけでもないのです。
極端な方は、困窮した方がかなりの割合で生活保護を申請して、水際作戦などでわざと利用できなくされた、残りは恥ずかしさから生活保護を申請しなかった、だから今の生活保護制度はおかしいと認識しています。
事実は所得が少なくてもそもそも貯金があるから申請しても断られるか、そもそも貯金があるから申請しないというのがまず半数なんですね。
なので、水際作戦で生活保護を利用できない人などいない!とまでは言いませんが、生活保護を申請してもまず水際作戦で断られるというのは誤認識が生んだ思い込みです。
生活保護の要件満たすほど困ったら素直に生活保護を申請すればよいのです。

と言うことを動画にもしました、こちらもご覧いただけると嬉しいです。

コメントを残す

間違っている点、疑問に思ったこと、感想、ご意見などお気軽にコメント下さい。疑問点や指摘に関しては可能な限り修正・追記いたします。