生活保護に関する考察

生活保護は利用要件を満たした人の内、何%が利用できているのか

日本には、200万人を超える生活保護利用者がいます。
実態として、裏には何人の生活困窮者がいて、困窮した人が生活保護を利用できる割合はどれほどのものなのでしょうか?

ネット上をさらっと見ると、2割と言うのが定説にすらなっていますが、結論から言うと6割くらいだと思っています

動画にもしました、むしろこちらが本編まであります。ご視聴いただければ嬉しい限りです。

生活保護の捕捉率とはそもそも何か

生活保護の利用率について「生活保護を利用する資格のある人のうち現に利用している人の割合(捕捉率)は2割程度にすぎません」

というように生活保護界隈では捕捉率と言う指標が使われています。

ここでこのページをご覧の皆様に考えて欲しいことがあります。

「生活保護を利用する資格のある人」とは何でしょうか?

日本において普通に考えれば、「生活保護費よりも収入が少なく、資産を持っていない人」になりますよね。

ただこの界隈では、生活保護の利用資格と言いつつ、具体的な条件を明かさずに話を進める記事がいくつもあります。

具体的に言えば、この「生活保護の利用資格のある人」の条件を変えることで、捕捉率と言うものは何とでも操作できてしまう数字になります。

例えば生活保護の捕捉率について「おおよそ2割程度でかなり低い状況です」と語っているサイトでは「生活保護の利用資格とは、最低生活費を所得が下回っていることです。」と言ってます。

資産要件どこ行ったって感じで、資産があるから生活保護を利用できない人がある程度はいるだろと言う話になるではないですか…

そういう意味では、捕捉率は「生活保護費よりも収入が少なく、資産を持っていない人の生活保護利用率」として追っていくのが適当なのです

生活保護の捕捉率を考えようと思ったきっかけ

ぶっちゃけますが、生活保護界隈はなんか信用ならない情報・思想であふれてるなと思ったからです

例えば、生活保護の後ろめたさと扶養照会をあげてみますね

「後ろめたさを感じさせてしまうから生活保護の扶養照会はやめろ」
「生活保護に後ろめたさは感じなくていい」

これだけでも言ってる事矛盾してるじゃないですか
後ろめたさを感じなくていいなら扶養照会はすればいいですし、後ろめたさは感じなくていいって言いながら後ろめたさの存在を認めてるじゃないですか。
これを同じ人が平気で言ってます、これはあくまで一例で、こういう破綻した論理が随所に見られるのが生活保護界隈のスタンダートです。

そんな生活保護界隈で言われている「生活保護を利用する資格のある人のうち現に利用している人の割合(捕捉率)は2割程度にすぎない」という定説は、本当に正しいのかなと疑問に思いました。

生活保護の捕捉率は、計算すれば求められる

生活保護の捕捉率は、所得と資産状況を整理すれば、推測レベルで求めることができます

「国民生活基礎調査 世帯数,世帯人員・所得金額階級別」から、単身世帯や2人以上世帯それぞれで、所得状況がどう分布しているかがわかります。
「住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」という調査から、世帯人数、年収ごとの持ち家率が分かります
「国民生活基礎調査」からは所得ごとの貯金額分布状況も調べられます

これらを掛け合わせて、収入が生活保護相当で、持ち家と貯金額を考慮すればどれだけの人が生活保護の要件を満たすかがわかります

計算の流れは動画で計算しているので、そっちに譲っていますが、ざっくりと結論を言いますと

例えば生活保護以下の収入の人が100人いれば
まず家を持っていることにより生活保護以下の収入にならない人が20人
そして、貯金があるために生活保護の利用条件を満たさない人が50人
残った30人が、収入と資産的な要件を踏まえて、生活保護の要件を満たす人になります

つまり、生活保護基準の収入の人が1000万人いると言っても
そのうち実際に生活保護の利用条件を満たしているのは300万人ほどと言えます。

残りの700万人は年金が年に100万円程でも、金融資産が500万円あったり
年収が120万円で、持ち家があるため生活保護の要件を満たさないような方々です
そんな方々でも生活保護の対象に含めるべきでは?という議論はあると思いますが、それはまたの機会に

ただ、今の日本において生活保護の要件を満たさない方々を「生活保護の利用資格のある人」の分母に含めた計算をする限り、生活保護の捕捉率は30%以上には出来ません。
それを理解することなく、生活保護へのバッシングが消え、水際対策が完全になくなれば「生活保護の捕捉率が2割から10割になる」になると思っている人が多く見受けられます。


実にお馬鹿で恐ろしいですね、この界隈

まとめ

生活保護の利用時の条件である「生活保護費よりも収入が少なく、資産を持っていない」という条件を満たした人の内
生活保護を利用している割合は6割
これはもう少し周知されても良いんじゃないかと思います

コメントを残す

間違っている点、疑問に思ったこと、感想、ご意見などお気軽にコメント下さい。疑問点や指摘に関しては可能な限り修正・追記いたします。