生活保護に関する考察

生活保護費とパソナ「新卒未就労者支援」給与の比較

パソナが新卒未就労者支援として、日本創生大学校ギャップイヤープログラムを発表しました。コロナ禍にあり、就職に苦しむ新卒1000人を、職歴のブランクを作らせないために働く場を提供する、加えて職業訓練も行い、2年後に同世代と比べて能力的に劣らないよう、経験を積ませるというものです。

パソナ ギャップイヤープログラム

一見、いい話に見えるものの、竹中平蔵氏率いるパソナの募集であることから反発は大きく
将来の低賃金労働者の確保を目的としているのでは?
生活保護の方がマシなのでは?
という懐疑的な意見もあります。
本当に生活保護の方がマシなくらいの就労条件なのか比較してみましょう。

生活保護とパソナにおける収入比較

東京都で生活保護を受給する場合、住宅事情や年齢によっても異なりますが、毎月13万円程受け取れます。また、生活保護を受給しながら多少の労働をしている方は、就労控除により給料が多少手元に残るため、毎月14万円程になる場合もあります。そこから住宅費を引いて、月当たり7~9万円が自由に使い道を決められる金額です。

そしてパソナの新卒未就労者支援、日本創生大学校ギャップイヤープログラムの給与は
大学院卒・大卒 166,000円 ※土日祝日勤務あり
短大・専門卒 161,000円
高卒 156,000円
です。

因みに、このプログラムでは、週の労働時間を30時間と設定しています。高いとは言えない給与ですが、週30時間と考えるとそんなもんかという気もしますね。

一応はパソナで働いた方がお金になりますね。

と思った方は税金や社会保険のシステムをもう一度確認してみましょう。上記の給料はあくまで額面であり、健康保険料や年金、所得税、2年目からは住民税も引かれます。その結果、大卒で14万円、高卒では13万円程度手元に残ることになります。生活保護費からは健康保険料や年金、所得税が引かれることは無く、もし引かれても就労にかかった経費として返還されます。

と考えると、大卒であれば生活保護とトントン、高卒であれば生活保護の方がマシになります。

さて、おそらくですが淡路島で働くとなると、寮に入る以外の選択肢はないのではないでしょうか。これがなかなかお金がかかる仕様で、寮、食費については次の金額になります。

寮費26,000円相当を予定 ※水道光熱費込み
食費54,000円

合わせて8万円です。

つまり、高卒で 新卒未就労者支援に参加し、寮で食事もお世話になる場合、13万円から8万円を引いた5万円で、2年後に向けた就職活動費用や、携帯電話などの通信費、娯楽費を捻出しなければなりません。大卒であっても自由に使えるお金は1万円程度しか変わりません。

寮費が安く、水道光熱費込みなのが救いですが食費の高さが全てを吹っ飛ばしています。

生活保護受給者も、住宅費以外の生活保護費は6~7万円(就労控除も入れれば+1~2万円になります。)水道光熱費がかかったとしても、食費は2~3万円で済むことを考えると、生活保護受給者の生活とパソナの新卒未就労者支援による給与での生活は大差ありません。

さらに、「日本創生大学校」で講座を受講したいなら、費用が掛かります。月2万8000円と、5万円、6万円から捻出するにはなかなか厳しい金額です。月に自由に使えるお金が2、3万円になります。一応、これは任意受講となっています。

パソナの新卒未就労者支援は、お金を得るための手段としての仕事ではなく、あくまで大学生活の延長と捉えた方が良いかと思います。

これでも将来のことを考えるなら、パソナで働いた方が経験を積める分良いと思います。ですが、肝心の新卒未就労者支援プログラム終了後に必ず必要となる、就職活動費用を貯める手段がありません。これはどうすべきかしっかり考えないと、後々必ず足かせになります。

選択肢が無いからとりあえずパソナの新卒未就労者支援に乗っかるのは、問題の先送りにしかならないと思います。その点をしっかり認識し、納得したうえで乗っかりましょう。

以上、パソナの新卒未就労者支援と生活保護を比較してみました。金額だけで見れば生活保護の方がマシ、というのはあながち間違ってはいませんが、金額だけの問題でもないですね。

そしてもし、新卒でこちらをお読みの方がいらっしゃいましたら…長い人生の中で、新卒カードは一度しか切れません。私は新卒での就職に失敗しましたが、こちらをお読みの方はよく考えて貰えればと思います。

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