【就労指導】生活保護が働けと言われるのは何歳まで?65歳までとは限らない理由
2020年現在の生活保護制度では、64歳までの方がいわゆる『就労指導』により、働くように促されます。逆に65歳を過ぎれば、特に言われることはありません。15歳から64歳が、生活保護上の稼働年齢(働ける年齢)と定義されているからです。
タイトルに対する答えは以上で終わりですが、この状況はずっと続くのでしょうか?私は稼働年齢の定義が69歳まで伸びるのではないかと考えています。高齢者の就業率の推移を見て、思ったことを述べます。
高齢者の就業率の推移
当事者となる60代の就業状況は、現在どうなっているのでしょうか?最近のデータを見ていきましょう。
総務省統計局の労働力調査(基本集計) 2019年(令和元年)平均結果
2020年1月31日公表
2019年(令和元年)平均結果の概要(PDF:455KB)
より、データを引用しています。
60~64歳の就業率は70.3%
65~69歳の就業率は48.4%
どちらも男女の平均値です。
結構高めな数値ではないでしょうか?
因みに、2014年のデータでは
60~64歳の就業率は60.7%
65~69歳の就業率は40.1%
となっています。いかにこの数年で、高齢者が働くように社会が大きく変化したかがよくわかります。
話がそれますが個人的には、70~74歳になっても、3割が働いていることに驚きました。私が子供の頃、20年ほど前では70代前半で働く方は珍しかったと思います。このままいけば、病気になるか死ぬまで働く社会も遠くなさそうですね。そもそもあと10年たったら高齢者の定義も変わり、70歳以降が高齢者と言われているかもしれません。
69歳までが就労指導の対象になる可能性
このまま、高齢者の労働力化が進み、65から69歳までの男女合わせて6割以上が働く社会になると、働く方が多数派になり、当たり前になります。そうなると、生活保護上での稼働年齢(働ける年齢)を64歳までにする根拠が無くなります。 2012年に自民党政権になってからの、生活保護費の削減(地域によっては増額)が行われたことと同じです。世の中の実情に合わせて生活保護制度の運用も変わります。現状でも、非正規ではあるものの69歳までの求人もありますし、働けている人も多くいます。世の中の実情に合わせて、稼働年齢も69歳までに伸びるのではないでしょうか。そうならない場合は、『70歳になっていないのに働かない生活保護は怠けている』と言われる憎悪溢れる社会になる可能性もあります。
生活保護を受給中、若しくは老後に受給する見込みの方もいらっしゃるかと思います。その中でまだ50歳になっていない方は、65歳になればゆっくり生活保護で働かずに生きていけるという青写真を描くのは止めた方が良いかと思います。10年以上も先のことは、どうなっているかわかりません。そもそも生活保護は非常に地域差の大きい制度なので、一部の地方自治体で65歳以降の就労指導が始まる可能性もあります。
逆に高齢生活保護でも働けばよい
現在、65歳以降の生活保護受給者の方は、働くように促されはしません。しかし、65歳を過ぎたら働いてはダメということでも全然ありません。働けば、控除により手元に残るお金も少しですが増えます。別にフルタイムで働かなくてはならないことはなく、アルバイトやシルバー人材センターでの短時間労働で十分です。働く事にはメリットも大きいので、65歳を過ぎたからと選択肢からはずすのは勿体ないです。