引きこもり・ニート脱出

氷河期支援サイトゆきどけ荘とは【政府作の丸投げリンク集】

就職氷河期世代は2020年現在で、一番割を食っている世代だと思います。最近は政府もようやく問題を認識し、この世代が大量の生活保護受給者になることを危惧したようです。その対策の一環として就職氷河期世代への支援組織や制度をまとめたポータルサイト『ゆきどけ荘』というものが作成され、2020年7月28日に公開されました。私にとっても役に立つ情報はあるのかと気になり、ゆきどけ荘を覗いてみました。 ゆきどけ荘についての概要、思ったこと、感じたこと、問題だなと考える点、評価をつらつらと述べます。

次がゆきどけ荘へのリンクです
就職氷河期世代支援ポータルサイトゆきどけ荘

目次
・ゆきどけ荘とは
・具体的な解決案はすべて丸投げ
・適当感のあるモデルケース
・ゆきどけ荘という名前について
・素直にハローワークに行った方が良い
・総括

ゆきどけ荘とは

氷河期支援ポータルサイト(リンク集)です。ハローワークやひとり親家庭への支援制度、引きこもり相談など、悩みを抱えた方にとって有用と思われる(と作成者が判断した)サイトへのリンクがまとめられています。あくまでリンク集なので、ゆきどけ荘自体に悩みを解決するための情報は特に掲載されていません。結構期待したのですが… とはいえ、情報がまとまっているだけでも評価すべきではあります。

ゆきどけ荘の独自コンテンツとしては、「氷河期世代の○○さんのストーリー」という1分ほどの動画が2本あります。加えて声優を務めた方の応援メッセージがあります。

具体的な解決案はすべて丸投げ

再述しますが、ゆきどけ荘とは基本的にポータルサイト(リンク集)です。 実際にご覧になるのが早いのですが 、ゆきどけ荘のページは次のような構成になっています。

支援施設、支援制度を知りたい。

○○という制度があります。

詳細はこちらです。

という流れで、公的機関のwebページへ案内するのが定型パターンです。ゆきどけ荘自体に特に具体的な解決案が掲載されているわけではありません。リンク先を見て自分でこうすれば解決できるかも、と考えることになります。またリンク先1発で具体的な情報まで到達できるとも限りません。リンク先のリンク先のリンク先…まで確認することも普通です。

そして、リンクがあるのはまだマシなパターンです。詳しくは以下に電話してください、と電話番号のみが記載されているパターンもあります。ページを見た正直な感想は???となりました。

民間事業者が安定就職をサポートというページを例にします。興味のある方はご覧ください。私もどういう情報があるんだろうと期待して覗いてみました。結果は、『詳細は以下の担当までお問合せください』ということで『厚生労働省 職業安定局総務課 首席職業指導官室』の電話番号が表示されているのみです。※私が該当ページを確認したのは2020年8月2日時点ですので、もし更新されて間違った評価をしているようであれば謝罪いたします。

電話案内のみという点も怪訝に思うところですが、電話先が『厚生労働省 職業安定局総務課 首席職業指導官室』という仰々しい名前である点に、なんとなく委縮してしまいませんか?こんなところに電話する気になる方がどれだけいるのでしょうか。私が当事者なら、こうした部署への連絡は敬遠すると思います。親しみやすさ、取っつきやすさの欠片も感じません。

これが政府の考える『サポートの案内』なのかと、読んでて頭が痛くなりました。とはいえ、ゆきどけ荘は2020年7月末に開設された、まだ開設して日の浅いサイトです。これから使いやすいサイトになることを期待しています。

因みにゆきどけ荘掲載のリンクは、次のお問い合わせ一覧というページにすべてまとめられています。このページを直接見た方が、何をすべきか分かりやすいかもしれません。
ゆきどけ荘お問い合わせ一覧

適当感のあるモデルケース

ゆきどけ荘のTOPページでは、氷河期世代の○○さんのストーリー、としてモデルケースが紹介されています。氷河期世代で苦境に晒されているモデルケースの方を紹介します。このモデルケースも思うところがありました。

1、非正規雇用を転々としている34歳女性
2、6年間働いていない40歳男性
3、44歳の長期引きこもりの息子を抱える年金受給者夫婦

氷河期初期世代の方は、既に40後半になっています。40歳や34歳のモデルケースを見て、果たして共感できるのでしょうか。就職市場には新卒、25歳、28歳、30歳、35歳、40歳…と、いくつもの年齢の壁が存在します。事実私も、29歳の時に就職エージェントを利用して、28歳までならなんとかなったのに…もっと求人を紹介できたんだけど…と言われたことがあります。年齢は就職市場において非常に大きな問題です。2020年時点で45歳以上の方をモデルケースにして、こうすれば希望が見える!ということを提示できないなら、氷河期支援サイトとしての価値はありません。

モデルケース3については、ケースとして取り上げるのも納得できるものがあります。しかし、モデルケース1の方には突っ込みどころを感じます。2020年時点で34歳であれば、私と同世代です。この方は、そもそも氷河期世代なんでしょうか?大卒、専門卒であれば、むしろ売り手市場だった時代に卒業したことになります。おそらく2005年に高校卒業してフリーターということですね。特に説明はありませんでしたがそうなんでしょう。

言っちゃああれですが、34歳という条件だけでなんとかなりそうだと思ってしまいました。こんな条件に恵まれた方をモデルケースにしても仕方ありません。モデルケースは、恵まれない条件をもっと盛り込んだ方が、『自分より厳しい人でもなんとかなりそうなら自分にもなんとかなりそう』という希望を持てます。

『非正規雇用を転々としている34歳女性』も本来は苦境に立たされていると思いましたが、氷河期初期世代よりはかなりマシです。(相対的にマシ、なだけで恵まれているとは思いませんが)年齢条件を35歳以下、40歳以下、としている求人に応募できる権利があるからです。年齢を重ねてしまった氷河期初期世代にはもう権利がありません。年齢が上がるごとに苦しくなる戦いを強いられる就職市場というものを理解していないのかな?と、私は作成者のセンスを疑いました。

因みにどのモデルケースのストーリーに関しても「支援情報がありそうだということが分かった」「頑張ろうという気持ちになった」というだけで、具体的に何か解決したわけではありません。ゆきどけ荘がリンク集であるため仕方ありませんが、もう少し解決策が見える具体的な展望をストーリーで展開して欲しかったです。信じたくはありませんが、具体的な解決策など無いということでしょうか。

ゆきどけ荘という名前について

本来、このネーミングにコメントする権利があるのは、就職氷河期世代の当事者だけです。氷河期世代には属さない私が、ゆきどけ荘というネーミングに突っ込むのは筋違いであるなと思いつつ、この名前はあんまりじゃないかという思いを抑えられませんでした。この辺りの憤りに関しては、就職氷河期世代の当事者様にお渡しします。ネット上にも多くの否定的な意見が見られたので、概ね肯定的には見られていないんだろうなと思いました。

そもそも、15年以上融けなかった氷河を融かせると思っているのでしょうか。 ゆきどけ荘という名前に関係者がどのような思いを込めたかは分かりませんが、雪を解かす程度の熱量では氷河は融けません。雪が融けても気温が低ければまた凍り、氷河として再生成されます。結局のところ求められているのは、氷河の中でも生存できるシェルター的施設、氷河の中で生き残るサバイバルツールだと思います。現在その役割を果たしそうなのが生活保護ですので、特に対策を立てないなら氷河期世代が老後を迎える20年後は、生活保護受給者がすごい勢いで増えると思います。

なお、当サイトの主張として『困窮したら生活保護を受給しよう』があります。どう頑張っても生活していけなくなれば、素直に生活保護を受給する選択肢もあることだけはお伝えしたいです。氷河期世代の方に限らず、苦境に陥って手詰まりになったら生活保護という選択肢があることを忘れないでください。

素直にハローワークに行った方が良い

ゆきどけ荘では、安定した仕事に就くためのサポートや窓口相談先を紹介しています。これらをリンク先を紹介するという回りくどいことをせずに、自前のサービスとしてしっかり提供している施設が既にあります。皆様もご存じのハローワークです。ゆきどけ荘も結局は、ハローワークで仕事を探そうという流れになっています。私の経験からも、ハローワークを利用するのは正解だと思っていますし、ハローワークには十分利用価値があります。求人情報を集めるだけでなく、面接対策や履歴書の添削など、ハローワークを上手に利用して、人生切り開きましょう。ということで、ゆきどけ荘で情報を集める時間があるなら、ハローワークへ出向いて情報を集めた方が良いと思います。

総括

ゆきどけ荘というサイト全体を通して、政府というか作成者の気概も熱意も感じませんでした。サイトのターゲット層は、非正規雇用やひきこもり層だと思います。長い非正規雇用やひきこもりで主体的に行動する力を削がれた世代に『こういう制度があるよ!頑張ってね!』と励ますだけのスタンスは何の解決にもなりません。リンク集とはいえ、ハローワークや支援制度の効果的な使い方など、自分の言葉で根拠を示して語ってほしいところです。政府のやってる感を演出するためのサイトに見えました。

そもそもですが、氷河期世代の問題は、『就労機会に恵まれなかったことにより、経験の蓄積が出来なかった』ことが大きいと私は考えます。ゆきどけ荘の基本思想は『正規雇用で就職しよう』だと思います。しかし就職市場において、経験という武器も得られず、若さという武器も時間の経過で取り上げられた方が、経験を積んだ同世代や第二新卒世代と戦う現在の無慈悲なシステムに無理があると思います。
例えば現在のトライアル雇用を拡充して『氷河期世代の正社員雇用に月5万円を3年間給付する』という露骨なバラマキくらいしても良いのではないでしょうか。3年あればそれなりの経験が積め、経験という武器を持っている同世代とも労働者として同じ土俵で戦うことができるようになります。事実、3年以上の正社員経験を採用条件の1つにする企業も、ハローワークで一定数確認できます。このバラマキをもし実行すれば1人当たり200万円かかります。しかしこのまま当事者が年齢を重ねて生活保護を受けざるを得なくなるよりは、よっぽど財政負担は少なくなります。氷河期世代ではなく、元生活保護受給者としての意見ですが、働ける場所があるなら働きたいです。

ここまでゆきどけ荘を結構否定的に見ましたが、一部のリンクは役に立つ情報だと思いました。そしてサイトの動画応援メッセージの中で「人に相談する」という正解が示されていた点は評価します。一人で考えて詰まった時は、遠慮なく人や公的機関に相談すれば良いです。支援制度をうまく使って苦境を脱出しましょう。

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