生活保護で夏季加算が実施されない理由
この酷暑続きの日本列島、エアコンを利用しないなら命に係わるのではないでしょうか
「どうして生活保護では冬は冬季加算の金額加算があるのに夏季加算がないんだ」
そう憤っている方もいらっしゃるかもしれませんね
今回はその理由を解説します
目次
夏季加算についての国や地方公共団体の見解
夏季の光熱費
実際に夏季加算が設立されるとどうなるか
まとめ
夏季加算についての国や地方公共団体の見解
まずは当件について、行政機関がどう思っているかを取り上げてみましょう
生活保護に置いて、夏季加算が実施されないのはおかしいという主張は、行政機関に対しても行われています。
その回答として「生活保護費の夏季加算については、夏季の電気代が他の季節と比較して高くなっているという結果は出ていない」ために実施しないというのが標準回答になっています
荒川区議会 質問 健康で文化的な最低限度の生活を保障するために
夏季の光熱費
本当に夏季の電気代は他の季節と比較して高いということは無いのか、実際に見てみましょうか
電気代は冬季、夏季、それぞれにピークがあります
ガス代は、冬季がピークで、夏季が最低になっています
電気代が高くない、他の季節と比較して高くなっているという結果は出ていない、という見解には疑問を呈したいところではあります。
しかし光熱費というくくりで見ると、夏季は春季や秋季と比べてもそこまで高くならないという主張は正しい気もします。
2人世帯の場合、光熱費は
冬季は16000円くらい
春季は11000円くらい
夏季は12000円くらい
秋季は11500円くらい
て感じでしょうか
年によって気象も基準となる光熱費の単価も変わりますが
傾向はこんな感じと言えそうです。
視点を変えると、最近の気候の変動のせいで
エアコン付けないのなんて5,6,10月くらいしかない
だから別に、夏が突出して光熱費高くなるわけでもない
という話なのかもしれません。
実際に家計簿をつけている方なら、夏は他の季節と比べ電気代が高いけどガス代安くて、トータルで見れば少し光熱費は高いかな、という結果に納得されるのではないでしょうか
実際に夏季加算が設立されるとどうなるか
とは言っても、誤差程度か誤差の範囲を超えているかというところで意見は分かれると思いますが、夏季の光熱費が多少高いこともまた事実です。
ということで、仮に夏季加算が設立された場合の生活保護費について考えてみましょう。
夏季加算を訴える人が思い描く夏季加算実施後の生活保護費は
例えば今の生活保護費が、家賃を除いて月7万円であれば
夏季は夏季加算によって月7万2千円になる
秋季や春季は据え置きで月7万円
という素敵な想像をしているかと思います。
残念ですが仮に夏季加算が実施されても
そんな生活保護利用者にとってお花畑に彩られた未来は来ません。
夏季は夏季加算によって月7万2千円になるのであれば
秋季や春季は減額で月6万9千円
のような形になります。
なぜそうなるのか
生活保護費を決める際に、そもそも夏季の電気代についても考慮されているからです。
現在は夏季加算を実施しないことで、今の生活保護費は逆説的に夏季の電気代も考慮した数字になっています。
例えば月々の光熱費を
5月 5000円
6月 5000円
7月 8000円
8月 8000円
9月 6000円
10月 6000円
だと仮定しましょうか
これを平均すると
生活保護相当分の光熱費は
月々 6333円
ですね
仮に7、8月を、夏季加算の実施とすると
夏季加算がある月は計算の対象外とするでしょうから
5月 5000円
6月 5000円
9月 6000円
10月 6000円
これを平均すると
生活保護相当分の光熱費は
月々 5500円
ですね
ここに夏季加算があることで
7,8月の光熱費は8000円
という形になります
夏季加算を設けないことで春~秋の電気代を平均化している以上
仮に値が高いかもしれない夏を抜いてしまうと、平均が下がり
これくらいが妥当だなという光熱費も下がります
まとめ
ということで、生活保護制度において夏季加算が設立されないのは、ガス代が最も安い季節であるために光熱費が他の季節と比べてそこまで多いわけでもないから、です。
また、仮に夏季の光熱費が高いからと夏季加算が設立されても、年間で見た場合の生活保護費増額には繋がりません。
それを納得したうえでも、夏季加算が設立されれば、エアコンを使うのに躊躇していた層がエアコンを使うようになるというメリットはあると思います。
といったことを動画にもしてみました。よろしければご視聴ください。