iDeCoの掛け金は幾らにするのが正解なのか
私は現在、老後に備えてiDeCoを積み立てています。このiDeCoの月々掛け金を、1万円から1万5千円に増額することにしました。
上限の2万3千円掛けたいところですが、生活費との兼ね合いで難しいところです。常々思うのですが、iDeCoの最適な掛け金は幾らなのでしょうか。
iDeCoとは
iDeCoは余裕資金で
iDeCoには結局税金がかかる
iDeCoの掛け金変更は1年に1回可能
iDeCoとは
iDeCoは、任意加入の私的年金の制度です。自分で好きな運用方法を選んで掛金を運用し、年金受取時に掛金とその運用益との合計額を給付として受け取ることができます。
運用方法には投資信託(株式)、投資信託(債権)、預金などがあります。年金の補完的な扱いのため、制約も多くありますが、税制上の優遇措置があります。勤務先や雇用形態により、掛け金の上限が決まっています。
iDeCoは余裕資金で
iDeCoは年金の補完という性質を持つため、積み立てたお金をいつでも引き出すことは出来ないという大きなデメリットがあります。無くても困るお金なんてありませんが、iDeCo受取時まで無くてもなんとかなる金額の範囲内で積み立てたいところです。裏を返せば引き出すことが出来ないため、資産形成には非常に向いています。
そして、今現在最低限の生活さえままならないなら、iDeCoにお金をかけるべきではないです。
それを踏まえると、掛け金を決める前に家計簿を振り返るべきですね。
正直、私の基本的な生活費は生活保護水準に収まっています。手取りも大した金額ありませんが、支出を抑えられているのでなんとかなっています。
こんな感じの家計簿で、奨学金返済、iDeCo、養老保険の掛け金を含めて16万円です。この出費を除けば12万円を切ることになり、生活保護になってもこれまで通りの生活を続けていけます。仮に手取りが月に12万円を切るようなことがあれば、iDeCoに回す余裕などなくなるので、掛け金を一旦0円にします。
嘘でした。もし生活保護になれば、ふるさと納税や株主優待で食費を下げる技が使えなくなるので、月々数千円出費は増えると見てます。
そして現在、月々16万円に加えて3万円程は家計に余裕があります。今のiDeCo掛け金1万円から、iDeCoの会社員上限(条件により変わります)2万3千円に増額しても問題なさそうです。
ただ余裕があると言っても、奨学金の繰り上げ返済をしたり、個別株で面白そうな銘柄を買いたいと思うこともあります。やっぱり自由に使えるお金が減ってしまうのは不便です。そう考えて、5千円の増額にとどめ、掛け金を1万5千円に変更しました。
誰だって自由に使えるお金は減らしたくはないですね。手取りがもっと増えるか、大きな節約ができれば、掛け金を上限いっぱいまでかけようと思います。
もちろん余裕資金が潤沢にある方なら、素直にiDeCoの掛け金上限を掛ければいいです。
iDeCoには結局税金がかかる
iDeCoの掛け金は所得控除により、非課税扱いになります。しかしiDeCoで運用したお金を受け取る際には、しっかりと税金がかかります。iDeCoの受け取り方法によってかかる税金は変わってきますが、一定の控除額(退職所得控除)を超えた金額については、所得税が課せられます。
非常に極端な例ですが、現在職に就いておらず、所得税がかかっていない状況だとします。しかしその後に就職し、60歳や65歳で受け取る退職金は3000万円など、控除の範囲を超える高額になったとします。ここでiDeCoにお金をかけていれば、退職所得としてiDeCoを受取る場合に税金が課せられます。元々所得税が課せられていない時期の掛け金で、節税効果は無かったにも関わらずです。
個人事業主として、高くない所得からiDeCoを積み立て、のちに就職し多額の退職金を受け取る場合も同じことが言えます。
iDeCoは節税、節税と言われることもありますが、正しくは課税時期を現在から60歳、65歳などにずらすだけです。課税時期をずらして退職金とすることで、現役時代の給与所得などと比べて、税率が下がるのは事実です。95%以上の人は、実際にiDeCoで節税になるでしょう。ですが、iDeCoに突っ込んだお金は、無条件で非課税になるわけでもありません。
とはいえ、一時金として受け取る場合の退職所得控除は、会社勤めで得られる給与所得に対する控除などよりも、かなり恵まれています。
退職所得控除は、勤続年数によって計算されます。勤続年数が20年未満であれば、40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)です。勤続年数が20年超であれば、800万円+70万円×(勤続年数-20年)です。
例えば35年間同じ企業に勤めていれば、1,750万円の退職所得控除があります。このご時世、大企業勤めでなければ、退職控除所得枠を退職金だけで使い切ることはまず無いでしょう。将来税率が変更されるかどうかは分かりませんが。
しかし、企業の退職金だけで2000万円になるのであれば、控除枠を使い切っているので、iDeCo受取時に税金が課せられます。
私が勤めているところの退職金額は、例えiDeCoを1000万円積むことができても、合わせて退職所得控除の範囲に収まる程度の退職金になりそうです。少額でも退職金があるなら、まだ恵まれていると言えるかもしれませんね。それ以前に仕事のできない私が定年まで今の会社で働いている未来は見えないので、20年以上先にある定年を心配するだけ無駄かもしれません。
という感じなので、私にとってiDeCoの積みすぎは別に考慮する必要もなさそうでした。ただ、iDeCoは誰にとっても無条件で節税になるというのは、誤っているという話です。
iDeCoの掛け金変更は1年に1回可能
ここまで言って身も蓋もありませんが、iDeCoの掛け金は1年に1回限り変更することが出来ます。手続きはちょっと面倒くさいですが、設定した掛け金でずっと続けるわけではありません。
仮に失業・色々な理由でお金が無ければ、月々の掛け金を0円にすることもできますし、余裕が出来れば増額もできます。
正直、その時その時で余裕資金なんて変わってきます。将来の見通しも変わってきます。iDeCoの掛け金も、その時々の都合に合わせて、良いように変更していきたいところです。