生活保護に関する考察

日本では生活保護を利用できる割合が20%と言われる理由

昨今の日本、生活保護の申請者は増えているようですね。
ここで、生活保護の捕捉率という指標をご存じでしょうか。

生活保護を必要としている人のうち、実際に利用できている人の割合です。

生活保護 捕捉率

で検索すると、19%、20%、5人に一人しか生活保護を利用できないという結果が出ます。

さすがに低いと思うのが、普通の感覚ではないでしょうか?

日本の生活保護制度は、これでも安心なのでしょうか?

今回は、どうしてそんなことになっているのか、理由を解説します。

・よく言われている理由
・実際の生活保護の捕捉率
・生活保護の捕捉率が2割である本当の理由
・まとめ

よく言われている理由

日本の生活保護の利用率が低い理由として

生活保護を利用する恥ずかしさ

水際対策の結果

これが、生活保護の捕捉率が2割に抑えられている原因であるとよく言われています。

何となく気持ちはわかりますね。

ですが、本当にこんな理由で生活保護の利用をためらえるものでしょうか?

生きるか死ぬかぎりぎりになっても、生活保護を利用しない方が8割だなんて、皆そんなに周りに迷惑をかけたくないという殊勝な気持ちで生きているのでしょうか?

生きたいという気持ちや飢えたくないという気持ちが勝つ方が大半ではないでしょうか?

このせいで、生活保護の捕捉率が2割に抑えられているとは、私にはどうも理解できませんでした。

私が生活保護を利用した2割の側に入っているのがそんなにすごいことだとは、どうしても思えなかったからです。

実際の生活保護の捕捉率

ということで実際に、生活保護の捕捉率を適当に計算してみます

まず、世帯の収入額と、世帯の貯蓄額、世帯数の統計、生活保護世帯数を持ってきます

世帯の収入額と貯蓄額から、生活保護が利用できる世帯の割合を求めて

これを実際の世帯数にかければ生活保護の対象になりそうな世帯数が浮かび上がりますので

そのうち生活保護世帯数は現実に何世帯いるよねという計算で求めていきます

まずは、生活保護費以下の所得で生活する人の割合を求めていきます。データは平成30年の国民生活基礎調査から引用です。

所得が同じでも地域や世帯員の年齢によって、生活保護の対象になったりならなかったりします

この所得なら東京23区だったら生活保護だけど、高知だったら生活保護にはならないよね、とかですね

この調査からは読めるのは所得で、地域や年齢までは読み取れません

そのため、微妙なラインの所得額については、該当する人が例えば10人いたら、5人くらいは生活保護の要件満たしてるんじゃないか?という仮定で計算しました

黄色はほぼ生活保護対象、オレンジ部分は年齢や居住地を見ないと生活保護対象と判断するかは微妙な部分です。今回はオレンジ部分の人数に50%をかけています。例えば2人世帯で所得が200~250万円なら、150人のうち50%の75人が生活保護水準の所得だろうという計算をしました。

すると、単身世帯の35%、2人以上世帯の14%が生活保護の要件を満たす「所得」だとわかります

次に貯蓄率、貯金がないもしくは50万円以下の割合を求めていきます。データは平成30年の国民生活基礎調査から引用です。

ただ、生活保護の要件としては、貯金が生活保護費の半月分以下、というものがあるので

貯金50万円以下の人が全員生活保護対象として計算するのも間違った結果になります

なので貯金についても、貯金が50万円以下の人が10人いたら、5人くらいは生活保護の要件満たしてるんじゃないか?という仮定で計算しました

例えば所得50万円未満に該当するのは120人、そのうち不詳と記載した7人は計算から除外して、分母は113人です。そのうち貯蓄が無いのは42人、貯蓄が50万未満は20人なので、これは50%で計算し、合わせて42+20*50%の52人が生活保護対象の貯蓄額だとします。すると、所得50万円未満において、52/113つまり46%が生活保護水準の貯蓄額だと言えます。

これを全所得階層分計算します、46~16%という数字が出ました。

それをそれぞれの所得層数に掛け合わせると全単身世帯の12.7%、全2人以上世帯の4%が所得的にも貯蓄的にも生活保護を利用できる世帯となります。

実際の日本の世帯数は、単身2116万世帯、2人以上が3453万世帯です。これは2020年の国勢調査から引用です。

なので、単身世帯の12.7%の270万世帯、2人以上世帯の4%の140万世帯、合わせて410万世帯が生活保護を利用できる条件を満たしている世帯です。

そのうち、実際に利用しているのは2022年時点で165万世帯程なので

生活保護を利用できるのに実際に利用している世帯の割合は165/410の、40%になります。

推測交じりなところもありますけど、大きく外してはないんじゃないかと考えます。

ちなみに本来は、持ち家があるかどうかも考慮する必要があります。

持ち家があると、その分生活保護費が少なくなるから、つまり所得が〇円未満なら生活保護の対象だよねという〇円の条件が厳しくなるからです。

例えば単身で年収120万円で都内賃貸なら生活保護ですが、年収100万円で持ち家なら生活保護の対象にはなりません。さらに少ない70万円なら生活保護対象です。

ですが、地域、持ち家の有無を統計上から考慮できなかったため

今回は、低所得、低貯蓄層はどうせ家を持ってないという前提で、乱暴な計算をしました

持ち家率を考慮すると、生活保護の対象となる世帯はもう少し減り、捕捉率はその分上がるはずです。

ちなみに、某政党さんが公開記事で、生活保護の捕捉率は23%という記事を出していますが
貯蓄額を考慮した捕捉率は43%であると、私と似たような結果を出しています。

生活保護の捕捉率が2割である本当の理由

生活保護の捕捉率が2割であるといわれる理由は

まず、貧困問題に取り組む大手機関が
「生活保護の捕捉率は所得で見ると2割、貯金も考慮すると4割」という

読解力の無い人が見ると誤解を招く可能性のある見解を出し

生活保護についての情報発信をする
「自称」弁護士や「自称」行政書士、「自称」ファイナンシャルプランナーの方が
検証もせずに2割という数字を自身のサイトで引用し

その数字をさらに別の人が引用して…が繰り返された

という、情弱自称専門家による思い込みの具現化で

いつの間にかそういうことになったというものです。

これ以上でも以下でもありません。

まとめ

ということで、日本の生活保護の捕捉率は4割です。

4割も、決して誇れるほど高い数字ではありませんが、2割というのは事実と全然違いますよね。

ネット上では生活保護は必要としている人の2割しか利用できていない、それはこういう理由だからだって意見を見ることができますが、実際に生活保護を利用している人が特段特別なわけでもないですし、生活保護の申請は断れませんし、要件満たしていれば通ります。

言われるほど生活保護を取り巻く環境はひどくもありません。

生きるために必要なら生活保護を利用しましょう。

大丈夫です、なんだかんだで多くの方が生活保護を申請・利用してます。

動画にもしてみました

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