生活保護に関する考察

お前も生活保護費で暮らしてみろ

お前も生活保護で暮らしてみろ

こんな意味の言葉を福祉事務所などで聞いたことのある生活保護利用者の方
もしくは口にした事のある生活保護利用者の方もいらっしゃるかもしれません

私も、生活保護費が少ないと憤っていた生活保護利用者の方によって
福祉事務所で何度かこの言葉を聞いたことがあるのですが
その度になんだかなあという違和感を抱えていました

生活保護で暮らしてみろと言ったその相手は
生活保護とかけ離れたレベルの裕福な生活を送っているのかなあと…

その感想を動画にもしてみまして、正直こちらの方がメインです


視聴いただけると嬉しいです

そもそも一般人の生活は生活保護水準とあまり変わらない

お前も生活保護で暮らしてみろ
この言葉を口にする背景には「生活保護は一般世帯より苦しい生活をしている」という前提があります
しかし現実を総務省の提供する統計調査で見てみましょう

これは、収入を5段階
収入の上位20%、20~40%、40~60%、60~80%、80%~(下位20%)に分け
その収入ごとに、幾らの出費で生活しているかをまとめたものです

データをちゃんと見たい方はこちら(政府統計 家計調査)からどうぞ
データの消費支出についての個所を画像にしています

まず大雑把に言いますと、1人暮らしする一般人の月平均消費支出は16万7千円です
そして、下位20%は月11万円で生活しています、これはほぼ生活保護と変わりません
20~40%は月14万2千円で生活していますが、生活保護の医療費無料やNHK受信料無料
これらを考慮すると生活保護と生活水準が大して変わりません

中位グループは月16万6千円で暮らしています
さすがに生活保護と比べれば、お金を使っています
ただ当事者の背景を見ると、忙しくて時間が無くて
食費や外食にお金をかけるしかないという事情があり、言い換えれば
「生活保護程度に労働時間を減らせばもっとお金少なくても生活できるだろう」
「仕事の時間減らせばもっと少ないお金で生活できるよ」
「生活保護は仕事の付き合いにお金かけること少ないじゃん」
という認識があります

次のグループ、収入の上位20~40%のグループの月平均消費支出は18万千円
中位グループとあまり差がありません
中位グループと考えてることも同じでしょう
支出が多いとはいえ、忙しさゆえのやりたくない出費もそれなりにあります
なのでここまでは、現実的に生活保護で暮らせるかというと
実際生活水準を落とさずに暮らせてしまう人達です

そして収入の上位20%は、月23万7千円で生活しています
一つ下のグループとの開きが5万円以上です
他のグループは1万、2万程度の差でしたが、格差ってこういうものです、残酷ですね
この収入上位20%グループに関しては、生活保護の生活水準とは離れていると言っていいです

こうしてみると、収入上位20%のグループを除き、一般人の生活水準は生活保護と大差ありません
なので、そもそも生活保護水準とあまり変わらない生活水準の一般人に、生活が苦しいという意味で「お前も生活保護で暮らしてみろ」と言ったところで、大変でもないことを大げさに言っているようにしか聞こえず、理解も共感も得られることは無いのです

生活保護に至った原因は何なのか

一般人の多くは、生活保護水準と大差ない生活を送っています
しかし、生活保護に至った方々にとっては
生活保護に至った個別の事情、家族や病気などがあるはずです
一般人の多くはそこまでの事情は抱えていないのではないでしょうか

なのでもし「自分の気持ちを分かれ」「自分と同じ立場になってみろ」という気持ちであれば
「これだけのお金で暮らしてみろ」ではなく
そもそもの生活保護に至っている原因である家庭事情や病気など
どれだけ身体がしんどいか、どれだけ問題のある家族を抱えているか
そこを正直に言った方が理解も共感も得られる筈なので、その方面で主張した方がよろしいのではないかと思います

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