生活保護での生活

生活保護は幾らまで貯金してよいのか、裁判・運用事例から読み解く

生活保護は、健康で文化的な最低限度の
生活が出来るように支援されます。
生きていく上での最低限度の生活以上に
なるような制度設計になっているので
飲酒や喫煙、ペット
映画鑑賞や定期的な服の購入など
消費に興味がない方がきっちり節約すれば
月に1万円以上貯金できてしまうのも事実です。

根拠として私の生活保護受給者時代の
家計簿をこちらで公開しています。

しかし、現在生活保護を受給している方は
生活保護を申請した際に
預貯金がほぼ無いことを確認されましたね?
その経験を踏まえれば
貯金が増えることについてこれでいいのかと
不安に思ってしまうかと思います。

生活保護世帯は
幾らまで貯金しても良いのでしょうか。
裁判事例などを見ながらご紹介します。

忙しい方のために…
結論だけ言えば、特に目的の無い貯金は
最低生活費の6ヶ月分、もしくは50万円までは
認められる可能性はかなり高いです。
自治体によってケースバイケースなので
あくまで1つの事例と覚え置きください。

目次
 裁判事例
 厚生労働省の見解
 どこまで貯金を認めるかは自治体によって違う

裁判事例

まずは裁判事例を紹介します。

秋田・加藤訴訟
福岡中嶋訴訟
生活保護と貯金の事例で有名な
2つの事例紹介です。

秋田・加藤訴訟は80万円

加藤さんは、将来入院した時のために
生活費を切り詰めて、生活保護費と
障害年金の一部を貯蓄していました
(預貯金は1984年12月末で約81万)。
加藤さん夫婦は、生活費を浮かすため
食卓も自分で作り、ポリバケツを簡易便器とし
肉食を控え、散発や入浴も極力控えていた。

福祉事務所はこの預貯金を加藤さんの
収入と認定し、生活保護の廃止を決定
その後、加藤さんの抗議を受けた福祉事務所は
81万円余りのうち約27万円を収入と認定し
その分を以降の生活保護費から差し引く事に
加藤さんは福祉事務所の処分を不服として
訴えを起こしました。

判決の要旨はこうです
「国によって支給された生活保護費は、
国が憲法や生活保護法に基づき、
健康で文化的な最低限度の生活を維持する
ために被保護者に保有を許したものであって
こうしたものを元にした預貯金は
非保護者が最低限度の生活を下回る生活を
することにより蓄えたもの
ということになるから、本来、
被保護者の現在の生活を、
生活保護法により保障される最低限度の
生活水準にまで回復させるためにこそ
使用されるべきものである。
したがって、このような預貯金を収入と
認定して、その分の生活保護費を
減額すべきでない。」

参考:国際社会保障・人口問題研究所
   文教大学・人間科学大辞典

福岡中嶋訴訟は50万円

高校進学の目的で積み立てた
学資保険の満期金を
福祉事務所が収入とみなし
生活保護費を減額したのは違法として
起こされた裁判です。
「高校進学のため費用を蓄えることは
生活保護法の趣旨に反しない」
との判決が出ました。
参考:国際社会保障・人口問題研究所

よく、生活保護の貯金額は幾らまでOKか
の基準として、50万円が良く挙がりますが
この2つの訴訟という前例があることも
理由です。

厚生労働省の見解

厚生労働省の見解ですが
「保護の目的に適う、保護費を原資とした貯金
は、保有を認める」というものです。
その一方「一般的な蓄財はダメ」でもあります

ここで、生活保護の制度目的に
立ち返ってみましょう。
生活保護は、現に生活に困窮している方に
最低生活の保障と自立の助長を図ること
を目的としています。

その目的に照らし合わせれば
・自立のための資金
・子供の大学進学や学費
・冷蔵庫の買い替えなどの必要経費
については、
貯金を認められると言えます。

逆に
・宿泊を伴う遠距離の高額国内旅行
・美容整形
のための貯金が認められるか…
最終判断は各自治体が行うので
もしかしたら優しい自治体は
認めてくれるかもしれませんが
まずNGです。

どこまで貯金を認めるかは自治体によって違う

ここまで述べましたが

明確な基準がない以上
貯金をどこまで認めるかは
最終的には各自治体の裁量になります。

ここで1例として
東京都の指針を紹介します。

出典は「東京都生活保護運用事例集2017」です。
興味がある方は調べてみてください。

「一定額を超える預貯金等の保有が
判明した場合にはまず、以後の自立
(就労自立、日常生活自立、社会生活自立等)
のために充てられるものか確認する。」

「この一定額の基準について
目安としては、累積金のすべてが
目的の無い状態であった場合は
当該世帯の最低生活費の概ね6か月分
相当の額に達した場合と考えられる。」

あくまで東京都の例であり
他の自治体で採用している考え方かは分かりません。
また、東京都自身も
一律に定めることは困難と記載をしており
ケースバイケースであることを覚え置きください。

とはいえ
この最低生活費の概ね6か月分というのも
1つの指標になるかと思います。

因みに、最低生活費の6ヶ月分を超える
預貯金の扱いについて
目的が無く蓄財していても

「一定額を超える預貯金を保有している
ということは、これまで食事や衣料等
の生活必需品を極度に切り詰めて
生活してきた結果と考えられ、その世帯は
どこかに最低限度の生活に欠けるところが
生じていることが多いものである。」

ということで、まずは
服がボロボロだったり、栄養不良だったり
という「最低限度を下回る生活」からの
回復に預貯金が充てられ
さらに余っているお金が多ければ
収入認定や生活保護廃止の検討をする
という指針のようです。

運用の実態がこの指針通りかは
何とも言えないところですが
この通りに運用されているなら
生活保護制度も捨てたもんじゃないなと
個人的にはそれなりに温情を感じます。

まとめ

生活保護は制度上貯金が出来ない
という意見や記事も見かけますが
自立という目的があれば
生活保護の自立を促す趣旨に沿うので
生活保護での貯金は禁止されていません。

各自治体や貯金の目的によって
どこまでの貯金が認められるかは変わるので
ケースワーカー様と報告、相談の上
むしろ積極的に貯金しましょう。

以上、生活保護を脱出した際の貯金は
3万円だった管理人からでした。

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