生活保護利用者世帯が離婚することはできるのか?
3組に1組の夫婦が離婚する現在、離婚するというのは他人事ではありません。それはお金持ち世帯であっても、生活保護利用者世帯であっても例外ではありません。ということで今回のお話は、生活保護利用者世帯が離婚することについての解説です。
生活保護制度と離婚
まず結論から、生活保護世帯の離婚を禁止する法律や制度はありません。生活保護世帯上の申請など、書類上の面倒事はありますが、当事者が納得さえしていればそれで問題ありません。
また、離婚による引っ越しについても補助があるため、転居費用について心配する必要はありません。※生活保護利用者OKの物件探しなどが大変という問題はあります。
ということで、生活保護利用者だからと言って離婚の足かせになるものはありません。
生活保護利用者世帯の離婚パターン
仮に生活保護利用者世帯が離婚をする場合、次のどちらかのパターンになるかと思います。
1、それぞれが別世帯として生活保護を利用し続けるパターン
どちらかは現在の場所に住み続け、どちらかは新たな生活保護利用者家庭として申請をします。正直ここまで離婚が身近なものである現在、生活保護利用者世帯の離婚なんて珍しくも無いので、普通に対応して貰えます。離婚が夫婦間で決定事項となったらケースワーカー様へ今後のことを相談しましょう。
ただし、偽装離婚か(書類上離婚でも、実態として家計の一部を共有する、定期的にお互いの家に宿泊しているなど夫婦関係があるか)どうかは調べられます。
生活保護のシステム上の問題ですが、例えば2人世帯が1つと1人世帯2つでは、1人世帯2つの方がトータルの生活保護費は多くなります。生活保護費には世帯ごとへ支給する部分と、一人一人に支給する部分があり、世帯が増えるごとに世帯ごとへ支給する部分が増えるためです。
要は、生活保護利用者夫婦が離婚してそれぞれ別の生活保護利用者世帯になると、トータルでは多くの生活保護費が支給されます。地域によりますが、福祉事務所の立場で考えると、離婚によって生活保護利用者世帯が1世帯増えることにより、年間に合計50万円近くの出費が増えるかもしれません。
ちょっとイメージしてみて下さい。「50万円ください」と誰かに言われたら、「いいですよ」と即答する方はまずいませんよね?その50万円はその人にとって絶対に必要なお金かどうか、徹底的に調べるはずです。仕事上の会社のお金であっても、自分の個人的なお金であっても同じです。
ということで、生活保護利用者世帯が離婚した場合、本当に離婚しているのかどうか、手続き時はもちろん将来的にもマークは入ると思ってください。
偽装離婚など考えてもいない方にとっては、そういう目で見られることに抵抗があるかもしれません。離婚した方がお金を貰えて得…と判断してしまう方がいるのも事実である以上、それなりの調査が行われることは仕方が無いことです。割り切ってください。
因みにもし偽装離婚をしてバレた場合、生活保護の廃止、生活保護費の返還などを迫られます。不正受給である以上当然の流れです。決して行わないようにしましょう。
2、どちらか、あるいは両方とも生活保護を抜け出すパターン
片方、あるいは両方とも生活保護を抜け出せるパターンも、無くはありません。片方が自分一人食べていくだけの仕事を見つけられ、もう片方は実家に帰るなどのパターンです。
これは福祉事務所的にも嬉しいことなので、むしろ後押ししてくれるでしょう。
まとめ
ということで、生活保護利用者世帯でも離婚をすることは出来ます。例え離婚した結果、生活保護利用者世帯が1世帯から2世帯になっても法律上の問題はありません。
夫婦関係は夫婦の数だけ形がありますので、円満な夫婦もあれば、一方だけが家計、家事に貢献し一方がひたすら搾取するようないびつな夫婦関係もあります。この人とはもう一緒に居られないと思ったら、そこで思考停止せず、今後の人生をじっくり考えてみましょう。生活保護利用者世帯だから…という考えは捨ててOKです。