生活保護の申請代行とは【生活保護を受給したい人向けの貧困ビジネス】
生活保護申請の承認条件は「生活保護費に満たない収入しかなく、活用できる資産も無い」です。
そんな要件は理解しているものの、生活保護の申請という具体的な行動に踏み出せない方もいらっしゃるかと思います。そうなると、誰か代わりに生活保護の申請をしてくれないかな、と思うのではないでしょうか?
そこで今回は、「生活保護申請代行」というサービスの存在について説明します。
「生活保護申請代行」というサービスは、字の如くそのままと考えてはいけません。
依頼者に代わって生活保護を申請…してくれるわけではありません。生活保護はあくまで本人の申請しか受け付けていません。ですが、書類作成のアドバイスをしてくれたり、必要な提出物をまとめてくれたりと、申請のためのサポートをしてくれます。
正直言って、生活保護を利用した経験のある私から見れば、生活保護の申請というものは、代行を利用するほど大したことは無いと思います。ですが誰かが同行してくれているという安心感と、1人ではないということで申請時に間違った対応をされても指摘しやすくなる点はあります。この効果は誰が同行しても大して変わりないと思うので、代行業者への支払い高いなと思ったら、ついてきてくれる誰かに同行をお願いしましょう。
生活保護申請代行を謳っているのは、次の2タイプに分かれます。
1つめは不動産業界関連者です。
報酬は無料となっている場合をよく見かけます。但し、不動産会社が紹介する生活保護受給者でもOKな住居へ、入居することが条件となっています。
つまり、不動産業界関連者にとってのメリットは、家賃、そのほかの不動産関連手数料が得られることです。不動産業にしてみれば、生活保護の利用申請とは「〇〇さんが住む住宅の家賃の支払いをしてください」と役所と話を付けるビジネスだと言えます。
2つめは行政書士などの法律系事業所です。
適当にネットで見た感じ、3~5万円を報酬として受け取るようです。ですが報酬は無料のケースもあり、その場合は1つ目と同じく、特定住居への入居が条件になっていたりします。おそらく住居を紹介した先の不動産会社から謝礼金が出ることで、利益を得ているかと思います。
正直言って私なら、時給1500円+交通費くらいの成功報酬で、生活保護の申請に同行しても良いかなと思います。1件につき3000~4000円程度でしょうか。私もさすがに無料で行くほどの奉仕精神はありませんが、そのくらい貰えるなら行きます。その感覚から言えば3~5万円は高いと感じますが、おそらくは不動産会社からの謝礼金がその程度出るのだと思います。
他に同様のことをNPOが行っている場合がありますが、「生活保護申請代行」で探してもその情報には行きつかないかもしれません。NPOなどは自分たちに出来ることがあくまで生活保護申請の支援だと理解しているので、「生活保護申請支援」と掲げているかと思います。
NPOとは言え、自らが運営している生活保護利用者向け住宅への入居を促されたり、手数料としていくらか請求されたりします。内実は法律系事業所や不動産業者と変わりありません。
他に、政治家・政治宗教団体・生活保護に関連した書籍を出している人など「売名のために生活保護申請支援を行っている」人もいます。そういった人は金銭的な見返りは求めないので、抵抗が無ければそういう人たちにお願いするのが良いかもしれません。
このように、生活保護申請代行・支援を謳っている立場から見ても、生活保護申請代行・支援をするメリットは十分にあります。
もう理解されているかと思いますが、彼らは善意のみで動いてはいませんし、決して社会正義など考えてはいません。生活保護の申請代行をすれば利益があるからやっているだけです。ですがそんな人たちのおかげで、生活保護を利用できるようになった人が居るのも事実です。
個人的には貧困ビジネスに加担するようで勧める気は起きませんが、どうしても生活保護を申請するために自分から動けない、という方もいらっしゃるかと思います。そんな方は生活保護申請代行という存在があることを頭の片隅にでも入れておいてください。そして、いざという時に自分で申請することがどうしても出来なければ、こんな選択肢もあることを思い出してください。