生活保護受給者が車を持てる条件【車は処分しなければならないのか】
原則、生活保護受給者は自動車の保有を認められていません。ですが、特に田舎であれば『自動車が無ければ生活していけない』のも事実です。しかし生活保護受給者が自動車を保有するには、他人を納得させるだけの理由が必要です。生活保護受給者が自動車を保有できるそんな理由を見て行きましょう。
目次
・自動車の保有は原則としては容認されていない理由
・事業に用いることが出来るなら自動車の保有・利用を認める
・生活の必需品なら自動車の保有・利用を認める
・運転は認めないが、自動車の処分は保留される場合
・まとめ
自動車の保有は原則としては容認されていない理由
大前提として、自動車の保有は原則として認められていないものの、事情を鑑みて認められることもあります。自動車の処分価値や購入費用が大きいこと、維持費や駐車場、保険にかかる費用が大きいことが、生活保護受給者の自動車保有を認められない理由です。自動車を売ればお金になりますし、例え駐車場代が安い田舎でもガソリン代と自動車保険だけで結構なお金がかかります。ただし原則なだけで、自動車の保有を認められる例外があります。
事業に用いることが出来るなら自動車の保有・利用を認める
自動車の保有を認められる事例です。
Aさんが個人で運送の請負を行っているとします。自動車を維持・使用するために月に5万円かかるものの、事業によって月に18万円を得られています。5人家族のAさんはこれだけでは生活保護受給額の基準額も稼げないため、生活保護を受給しています。
このように、自動車を事業に用いながら、生活保護を受給することが認められるケースもあります。
ですが自動車を保有したいために、適当な事業をやって適当な収入を得る行為は認められません。例えば自動車を維持・使用するために月に3万円かけ、事業によって月に5万円を得ているBさんがいます。この程度の収入を得るために自動車は必要なのか?という話になり、自動車を処分して他の仕事をしてくださいと言われる可能性は非常に高いです。自動車を処分して自動車を必要としない職に就く方が、トータルの収入が多くなると判断されたなら、自動車の処分と転職を指導されます。
以上、自動車を活用して自動車の維持にかかわる経費を大きく超える収入を得られている・得られる見込みがあるなら、自動車の保有は認められます。
生活の必需品なら自動車の保有・利用を認める
生活保護受給者の生活に自動車が必須と判断された場合、自動車の保有と使用が認められます。
理由の1つめは、障碍者の通勤・通所・通学用です。最も認められやすい条件です。
理由の2つめは、通勤用です。公共交通機関との兼ね合いになります。駅やバス停までの距離、電車やバスの運行本数を考えて、自動車で通勤することが妥当か判断されます。自転車で通勤1時間程度の距離では認められない場合もあり、判断基準は厳しいです。加えて、自宅からなるべく近くで働くよう、転職を指導される可能性もあります。
因みに、具体的に職場まで○○キロ、通勤○○分という基準を地方自治体が出しているかは確認できませんでした。通勤のために自動車を保有したいというのは、各地方自治体の主観に依存することになります。職場まで20キロ、通勤片道2時間であっても、自動車の保有を認めないという判断をされる可能性もあります。通勤で自動車の利用を認められるのは基本的に厳しいと思ってください。※これより緩い条件で認められる場合も勿論あります。
特に田舎であれば、『生活保護を受けるか自動車を持つか』という大変な選択を強いられるかもしれません。
運転は認めないが、自動車の売却・処分は保留される場合
生活保護を受給する期間が短期で済むと見込まれる場合は、自動車を処分しなくて良い場合もあります。東京都の指針になりますが、生活保護を6ヶ月以内に脱却する見込みがある場合になります。また、自動車の処分価値が小さい場合になります。但し認められるのは自動車の保有だけで、運転は認められません。運転が出来るようになるのは生活保護を脱却してからになります。そして6か月経過後も直ちに自動車を売却しなければならないことはありませんが、いつまでも生活保護の脱却の目途が立たなければ、自動車は売却することになります。
上記は新型コロナウィルスに関係ない平常時の運用です。2020年8月現在では、新型コロナウィルスによる経済状況を鑑みて、将来就労の見込みが高い人には自動車の処分を保留するように指針が通知されています。新型コロナウィルスによって、一時的に生活保護の受給をせざるを得ない方が急増する見込みの為です。東京都に限らず、全国的な指針です。
まとめ
以上、生活保護受給者でも事情により自動車の保有と利用が認められます。なお、自動車の保有が認められた場合でも、生活保護費は変わりません。因みに生活保護費をやりくりして、生活に必要な自動車の買い替えを行うことは認められています。ですので車の維持・運用費用を捻出するために、他の生活保護受給者と比較して、何かを我慢しなければならない点には注意です。