貧困問題と対策

親が喫煙者の場合の喫煙率は高い&生活保護受給者の喫煙率

不景気の続く日本において、お金のかかる喫煙は一般庶民にとって苦しい趣味になっています。もしかしたら喫煙を辞めたいと思う方もいらっしゃるかもしれません。

そんな喫煙のきっかけは様々ですが、親が喫煙者の場合、子供の喫煙率が有意に高くなるというデータがあります。今回は、そういったデータと生活保護受給者の喫煙率に関する話です。

親の喫煙と子供の喫煙率

まずは親の喫煙率と子供の喫煙に関する調査をご紹介します。

家庭内に広がる喫煙の世代間連鎖

一昔前の調査ではありますが、親の喫煙と子の喫煙の因果関係を調べたものです。結論を抜粋すると、家族に喫煙者がいるほど、子供の喫煙率も高くなるという結果となっています。

なおこの調査では、タバコの入手元についても調査されていますが、現在は自販機の入れ替えにより、未成年がタバコに手を出すハードルは上がりました。ですので、現在同様の調査を行うと、結果はかなり異なるものになると思います。

ですが、家にタバコがあると、タバコに対して簡単に手を出せてしまることは変わりません。特に中学生では、タバコの入手元の25%が「自分の家」です。未成年がタバコを買いにくくなった現在、自分の家にタバコがあるというのは、余計に喫煙のきかっけを作ることになります。

そして、親が喫煙していれば、タバコの煙に対する許容度も変わってきます。ある程度煙に慣れてしまっているので、タバコの煙に対する不快感も少なくなります。

もし家にタバコが無ければ、親が喫煙者でなければ、喫煙者にはならなかった方も一定数居るのではないでしょうか。

生活保護世帯の喫煙率

なぜ喫煙率の問題に生活保護が関わってくるのかと言えば、生活保護世帯の喫煙率も、非生活保護世帯と比べて高くなっているからです。

2015年の限られた地域で生活保護受給者を対象とした調査では、生活保護受給者の喫煙率は、男性喫煙率54.5%、女性喫煙率22.6%でした。

N市における生活保護受給者の喫煙に関する実態と禁煙治療に対する認識

そして2015年の、生活保護かどうかは問わない成人喫煙率(厚生労働省国民健康・栄養調査)では、男性喫煙率30.1%、女性喫煙率7.9%です。

成人喫煙率(厚生労働省国民健康・栄養調査)

生活保護受給者の喫煙率は有意に高いという結果になっています。ここからは、生活保護受給者の喫煙率が高い理由を述べていきます。

タバコは純粋に高い

タバコは決して安くはないので、手を出すと手痛い出費になります。タバコに手を出していなければ得られたはずの貯蓄を失うことになります。

例えば、2000年から20年、1日1箱、メビウス(マイルドセブン)を吸い続けたとします。タバコは年々値上がりしていますが、2000年時点でもそれなりに高いものです。

タバコの価格です。
98年   250円
03年   270円
06年   300円
10年10月 410円
14年4月  430円
16年4月 440円
18年10月 480円
19年10月 490円

タバコの価格はこちらを参考にしました。
「昔は、たばこが安かった」←いったい、どのくらい?たばこの歴史と社会情勢を探る

20年間でタバコにかかった費用は、大雑把に計算して240万円となります。1年で考えても、10万円かかります。

もし240万円のお金があれば、株式運用などで年間5万円~10万円の配当金を狙えます。そして、240万円あれば何かがあっても最低限の生活を1年は続けられます。全く貯金が無ければ、何かあった時に即生活保護を検討することにもなりますね。

つまり、タバコを吸うこと自体がお金のかかる行為であり、生活保護の利用要件である「資産が無い」にもつながっています。生活保護だからタバコを吸うのではなく、タバコを吸う方は吸わない方と比べてお金がかかるため、何かのきっかけで生活保護につながる可能性が高いと言う話です。

安いと言われる電子タバコであれば、年あたりの出費は5万円前後になりますが、それでも10年で考えると50万円の出費になります。紙巻きたばこより安いものの、金銭的な負担になり、生活保護につながる可能性は否めません。

精神疾患等が多い

生活保護を利用するに至るまで、個々人には事情があります。そのうち、精神疾患を理由に生活保護に至った方に関して、精神疾患の方が禁煙治療に成功しない理由を紹介します。

精神疾患と喫煙の関連性ははっきりとしませんが、精神疾患が原因で外出のハードルが高くなるという事情はあります。何が問題となるかと言うと、外出できないと禁煙治療を利用するハードルが上がることです。仮に喫煙していても、禁煙外来を利用して辞められるならあまり問題もありません。

外出のハードルが高い>禁煙外来に行けない>禁煙できないということになります。そういった事情が、精神疾患の禁煙を阻んでいると考察されています。

禁煙継続が困難な傾向にある人は 済生会病院の川井部長ら追跡調査

禁煙外来の認知度

先ほど紹介した『N市における生活保護受給者の喫煙に関する実態と禁煙治療に対する認識』からの引用です。
・禁煙治療を知っていると回答した者は全体の70.9%で、喫煙者の78.4%
・一方で、禁煙治療に保険が適用となることを知っていると回答した者は全体の27.9%のみで、喫煙者の37.8%

つまり、生活保護制度下において、禁煙治療の周知と理解が進んでいないと言えます。

保険適用されている治療であれば、生活保護下では無料で利用できますね。なので、タバコを辞めようという気持ちになれば、サポートされるのが生活保護です。

ですが、そもそも禁煙治療や保険適用について知らなければ利用も何もありません。禁煙治療の保険適用について、もっと周知が進めばと思います。

このように、タバコによってお金がかかることはもちろん、切っ掛けとして親の喫煙があるという話でした。そして、生活保護受給者と言う条件で見ると、喫煙率が高い事実があります。禁煙治療と言う方法はありますが、そもそもの段階でタバコには手を出さないことが賢明だと言えます。もしお子さんを抱えて喫煙をしているのであれば、こんなデータがあることは頭に入れておくべきです。

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