貧困問題と対策

10代で妊娠・結婚した場合の離婚率は高い【25歳までに3人に1人が離婚します】

貧困を回避するためには、10代の妊娠を避けることが重要だと、河野太郎氏も発言しました。

河野太郎氏「いかに若い人の妊娠率を下げるか」 日本復帰に関するインタビューで沖縄社会巡り発言

※ニュース記事のタイトルは「若い人の妊娠」となっていますが、実際に河野太郎氏が言及したのは「10代の妊娠」です。

なぜ10代で妊娠することは避けるべきことなのでしょうか?今回は、10代で妊娠し、結婚した女性の離婚率の高さ、そして貧困予備軍となる可能性についてお話しします。

目次
〇10代のできちゃった婚率は非常に高い
〇10代で結婚した女性が25歳までに離婚する割合
〇若年層の離婚率が高い理由
〇若年シングルマザーは貧困の始まり
〇まとめ

10代のできちゃった婚率は非常に高い

妊娠したら、子供を堕ろす、結婚する、結婚せずに子供を育てるという選択肢が出てきますね。ここでは妊娠=結婚という仮定で指標などを見て行きます。

厚生労働省 出生に関する統計 2 出生動向の多面的分析

この統計に記載の図11「母の年齢階級別にみた結婚期間が妊娠期間より短い出生の嫡出第1子出生に占める割合」では、 捻った言い回しをしていますが、 結婚より先に妊娠した割合が分かります。図から見ると、15~19歳で結婚より先に妊娠した割合は80%を超えています。最新のもので2009年のデータなので古い統計と言えますが、傾向に変わりはないでしょう。

つまり、10代で妊娠・出産している方の8割は、結婚して妊娠したのではなく、妊娠して(できちゃったから)結婚していると言えます。結婚しても10代で出産していない方もいるので、結婚した人の8割ができちゃった婚と断じることは出来ませんが、この世代のできちゃった婚率が高いことは疑いようがありません。

できちゃった婚について悪いのは100%避妊をしなかった男性側です。ですが、女性側も避妊と妊娠について意識はしておくべきだと考えます。そして男性側が避妊しないのは後先考えていない、責任を取る気が無いから、というのは頭に入れておいてください。できちゃったというのは、世間知らずだったからということで済ますにはあまりに重い案件です。

10代で結婚した女性が25歳までに離婚する割合

離婚と当事者の年齢に関する統計資料があります。

-人口統計資料集(2020)- 表6-11 性,年齢(5歳階級)別有配偶者に対する離婚率:1930~2015年

この資料から読み取れるのは、1000人のうち〇人がその年に離婚したということです。これを利用し、計算することで、〇歳までにどれくらいの確率で離婚するかを推測することが出来ます。また、資料の読み方に注意は必要ですが、10代、20代前半の離婚件数が他世代に比べて突出して高いのも読み取れます。以降は、この資料の2015年の数値を用いて計算します。

※この統計資料は%ではなく‰(パーミル)で表示されています。配偶者がいる人1,000人当たりに対する当年の離婚者数であり、分母は100ではなく1000です。単純に、19歳以下の離婚率は81.80なんだと誤認識しないように注意してください。

%に直すと8.18%です。

色々なサイトも確認したところ、この表の数値をそのまま載せて10代の離婚率は8割!と言っているサイトが散見されましたが、当然根拠になっていなくて計算方法も示されていません。アフィリエイトおじさんが適当に情報をまとめたものの、女性の知り合いがあまりいなくて、10代の離婚率は8割という実社会と乖離した数字の違和感に気が付けなかったのでしょうか。もしくは ‰(パーミル) という値を見た時に、 ‰(パーミル) って何だろうと気にも留めなかったのでしょうか。誤情報とはこうやって作られるのかと複雑な気持ちになったとともに、当サイトも誤情報を垂れ流さないように注意しようと改めて思いました。

では、10代で結婚した女性が、子育てが大変で苦しいと思われる25歳までに離婚する確率を求めていきます。25歳で区切るのは、10代で結婚、出産した場合に 25歳くらいで子供が小学校入学となるので、その時期までが特に満足に時間が取れない厳しい時期と推測できるためです。

要は、25歳までに離婚するか25歳以降に離婚するかでは、大変さが全く変わってくるため、25歳までに子供を抱えて離婚する可能性を見るべきだと考えているからです。同じ離婚するにしても、25歳で小学生の子供が居るか、22歳で3歳の子供が居るかでは、22歳で3歳の子供がいるほうが大変さは上です。

まずは18歳で結婚したとして、20歳になるまでの離婚率を推測します。

そのためにはちょっと考え方がややこしくなりますが、先に離婚しない確率を求めます。理由は、離婚率というのは数年にわたる累計で、単純に足し算できないからです。反対に離婚しない確率というのは、前の年までに離婚しなかった確率に、当年の離婚しない確率を掛ければ求められるので取っつきやすいと思います。

ということで、特定の年数離婚しない割合を求めて、100%から差し引きする方法で実態を捉えようと思います。

(全体人数ー離婚した人)=離婚しなかった人
という考え方は大丈夫ですね。

この10代で離婚した人というのは1年区切りなので
(1000ー81.8)に、年数をかけます。

(1000ー81.8)の2乗※2年分を計算して

84.2%
の人が、20歳になっても離婚していないことになります。

これを言い換えると
100ー84.2%=15.8%
が、20歳になるまでに離婚します。

同様に20歳の人が25歳になるまでに離婚する割合を求めます。

20歳から25歳までに離婚しない確率は
(1000ー51.2)の5乗※5年分
76.6%

では、18歳から25歳までに離婚しない確率を求めます。

20歳までに離婚しない確率×20歳から25歳までに離婚しない確率
=84.2%×76.6%=64.5%

逆に言うことで、25歳までに離婚する確率は
100ー64.5=35.5%

となります。

※この計算はかなり乱暴な方式なので、詳しい追跡調査をすれば誤差が出るはずです。例えば20~24歳の離婚率について、10代で結婚した人か、20代で結婚した人かは区別されていません。同じ20~24歳という年齢でも、結婚何年目、何歳の時に結婚したかという背景は変わりますので、離婚率が同等になるとは考えにくいです。ここではそう言った差異を無視しています。

計算上、10代女性を大雑把に18歳と仮定しましたが、もし当事者が16歳であれば非常に高い10代離婚率をさらに2年分考慮する必要があります。先ほどの計算部分で(1000ー81.8)の2乗(84.2%)が(1000ー81.8)の4乗(70.8%)となるため、25歳までに離婚する確率も5割になります。

そして当然ですが、結婚生活は25歳以降も継続します。25歳以降は離婚率も低くなりますが、先述した計算方法で40歳までに離婚するかどうかを求めた場合、10代で結婚した5割が40歳までに離婚していることになります。

生涯を通して3人に1人が離婚する時代と言われていますが(実は統計的に3人に1人という高い割合で離婚していませんが)、そんな平均指標を40歳にして余裕で上回っていますね。

若年層の離婚率が高い理由

なぜ若年層の離婚率がここまで高くなるのでしょうか?10代の結婚事情は他世代と比較しても異質で、出来ちゃった婚率が非常に高く、10代の結婚=妊娠と言ってもいいくらいの割合です。

そもそも結婚する理由が子供が出来たからであり、相手と健全な家庭を作れると判断したからではありません。この人となら健全な家庭を作れるという観点も無しに判断しています。当事者も結婚したくてしているわけではないということですね。その結果、結婚による自由度の低下などで嫌気がさし、それぞれの理由によって離婚します。

10代のうちに妊娠して結婚した結果

・家事、仕事ともに経験値が少ない。
・まだ若いため、収入も少ない。
・生活に余裕が無い
・親と同居して生活費を下げざるを得ない。
・相手の親と同居するのはストレスが溜まる。

など、世の中を生きていくためには2人の愛の力でなんともならない現実があります。

社会に出て働けば、良いことだけでなく嫌なこともあります。自分の失敗をリカバリーするために急いで追加の仕事をしたり、お客様へ謝罪に出向いたりすることもあります。言ってしまえば「責任を取る」という経験です。

多少でも仕事をしたことがあればこういう経験はありますよね。そして経験を重ねることで、失敗をリカバリーすること、責任を取ることについて、大したことじゃないと思えるようになります。

逆に、自分の行為に対して責任を取る経験が極端に少ないと、子供を作ったことに対しても、なぜ自分が苦労して養わなければいけないのかという発想を持つようになります。

そもそもこれまでの人生経験の少なさから、子育てや家庭のことが自分の手に負えないため、解決のための行動が出来ず、思考停止することもあります。同世代は誰かを養うでもなく世話をするわけでもなく、自由に仕事や勉強、遊びに時間を費やせる人が大半なので、自分の境遇について不公平感を味わうかもしれません。

結局離婚というのは当事者の問題であり、離婚の理由も人それぞれになりますが、10代の離婚率は他世代と比べて非常に高い事実があります。

〇歳までにどれくらいが離婚しているかという客観的データと、自分に自由が無くなっても耐えられるかというシミュレーションをした上で、それでも結婚するというなら止めません。

2人ならなんとかなるという甘いものでは決してないので、もし若年妊娠当事者の方がこちらをご覧いただいているのであれば、あまり夢ばかりを見ず、現実を見てください。

若年シングルマザーは貧困の始まり

さて、10代で結婚し、離婚し、仕事のスキルも無く子供を抱えてしまうとどうなるでしょうか?言うまでもありませんね、貧困予備軍の出来上がりです。特に高卒ならまだしも、妊娠・出産のために中卒という境遇になると、働き先も非常に限られてきます。

出来ることは何もなく、新卒でもなく、子供が居て就業には時間的な制限もある。雇う方も、この条件で雇用したいと思うところは少ないでしょう。当サイトでは生活保護をメインテーマとして取り上げていますが、片親で子供を抱えるということは、生活保護への階段を1歩登ったと言えます。

経済的な問題もですが、片親というのは家庭に対するマンパワーの不足でもあります。家事、育児にかけられる時間的リソースが、両親揃った家庭と比べて圧倒的に足りず、至らない点を出さないようにするように立ち回るのは大変です。

日本には例え貧困に陥り、仮に頼れる相手もいなくなり、自力でどうしようもなくなっても生活保護というリカバリー策はあります。ですので、死なない程度の生活水準で生きていくことは保障され、工夫すれば多少の娯楽を楽しむこともできます。

しかし、生活保護に頼って生きるというものは、自立とは正反対のところにあります。人生を、自分でやりたいことを選んで好きに生きるというものと定義するなら「自分の人生」はここで終わるかもしれません。

10代で結婚して離婚、シングルマザーというのはあくまで起こり得る可能性の一つですが、3人に1人が25歳までに離婚すると考えれば、無視できるほどのレアケースではありません。10代で妊娠、そして結婚するのは、自分の人生がどうなっても構わない、自分がこれから何者にもなれなくて構わないという覚悟の上でしましょう。

まとめ

まず、自暴自棄に生きているのでなければしっかり避妊してください。相手の良心、相手がちゃんと避妊してくれるだろうという性善説に任せるのは危険です。

特に避妊しないタイプの男は、結婚しても相手の事など考えていないので、経済DV、育児放棄、離婚後の養育費踏み倒しなど平気でやります。自分主導でちゃんと避妊できたかを確認し、場合によっては1万円使ってでも緊急避妊することをお勧めします。

というのは理想論で、実際に子供が出来ちゃってからどうすれば良いか悩む方が大半だと思います。もし結婚に悩んでいるなら、生活費がどれだけかかるか、家事育児にどれくらいの時間を割くか、想像ではなく具体的に数字を出して現実を理解してください。その上で結婚するか堕ろすか、ということになります。

自分の人生は自分のものなので、困った時は自分を最優先にして考えましょう。

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