生活保護に関する考察

生活保護世帯はなぜ冬季加算や期末一時扶助を貰えるのか

1年が過ぎるのも早いもので、12月になりました。
生活保護と言う制度においては、冬季には冬季加算、12月には年末一時金、期末一時扶助ということで、通常の生活保護費に加え貰える生活保護費の総額が増えます。

私自身もそれらの一時金を漫然と受け取っていましたが、冬季加算や年末一時金は何故支給されるのかを掘り下げてみました。
考えのまとめとして、生活保護の制度設計思想を語っていこうと思います。

動画にもしました、良ければご視聴いただけると嬉しいです

生活保護費は低所得世帯の消費額を参考にしている

生活保護費は様々な要因で決定されます。
物価や収入と言った指標もありますが、生活保護費を決める際の特に重視される要因が低所得世帯の生活ぶりです。
具体的には、「所得が下位20%ほどの世帯のその月の支出額」です。
これが生活保護世帯の支出額と均衡がとれるように、という水準になっています。
例えば低所得世帯の支出額が月11万円であれば、生活保護費もこれくらいだよねという考え方で、水準均衡方式と呼ばれるものです。

つまり、低所得世帯の出費がかさんでしまう時期については最低生活費も高くなるため、一時金や加算の形で調整しようということになります。
普段は月11万円の出費が基準でも、ある特定の月が月12万円の出費になってしまうなら、その月においては1万円の一時金で補填しようという思想です。
この最低生活費の調整が、年末一時金であり冬季加算です。

年末や冬の支出額について

では、そもそも年末年始や冬季は本当に消費支出額が多くなっているのかという疑問は無いでしょうか。
消費支出について統計的なものがあるので見ていきましょう。
家計調査報告と言う、政府が行っている調査があります。
結果が分かりやすいので、2人以上世帯について取り上げます。
単身者世帯には数値や金額的に馴染まないかもしれませんが、季節傾向としては同じです。

総務省 家計調査報告-2024年(令和6年)9月分 https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

12月は出費が他の月と比べて非常に増えていることがわかります。
他の月の消費支出額が28から30万円程度で推移している中、12月だけ32万円と頭一つ飛びぬけています。
主要因は食費で、12月の食料品への支出が他の月と比べ桁が変わっています。
クリスマスであったり年末年始の食材の買い込みであったり、1年の内でもっとも食費がかさむ時期です。
これは他の月と同じ金額で生活しろと言うのは酷なので、12月に期末一時扶助をぶつけて補填するしかありません。

また、高熱水道費と言うものがあります。
この2022年以降は、資源価格の変動や補助金の有無で、光熱費も大きく動いていまるので参考程度に見るものであることはご認識ください。
それでも平均して、冬場はそのほかの季節と比較して、光熱費が高くなっています。
エアコンと、お湯を作り出すためのガス・電気代のせいと言うことは疑いようがないですね。
これも冬とそれ以外で無理があるため、冬季加算で補填する必要があります。

因みにこの表を見る時の注意として、支出額とはあくまでその月の出費額を見ています。
例えば2023年1月の光熱費、33465円は、12月に利用した分の支払いが計上される、つまり1か月のずれがあります。

このように、最低生活費が高い時期が存在するからその分支給されるお金が多くなっています。
これが、生活保護において冬季加算や年末一時金が存在する根拠です。

おわりに

以上、生活保護費になぜ冬季加算や期末一時扶助があるのかというお話でした。
現在生活保護を利用中の方のみならず、もしかしたら、自分で生活がどうにもならないと思う時が来るかもしれません。
生活保護と言う制度を頭の片隅に置いておいて頂ければと思います。

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