株主優待改悪を避けるには【株主優待狙いの落とし穴】
少し前の話になりますが、私が保有していた『ひろぎんホールディングス』の株主優待が改悪されました。
悔しさと、株主優待改悪を掴んでしまった自分の判断力の無さに落ち込む限りです。
ということで今回は、株主優待の改悪をなるべく避けるために、銘柄を選ぶうえで注意できることを考えてみました。
結論を先に述べておきますが、私は「自社製品でない株主優待」「赤字企業の株主優待」には特に注意しています。
目次
株主優待品が自社商品・サービスと関係あるか
減益が続いたり、赤字になってはいないか
まとめに代えて
株主優待品が自社商品・サービスと関係あるか
株主優待品が自社製品か、そうでないかは、株主優待制度を続けるうえで非常に重要です。
特に自社製品でない、「カタログギフト」や「QUOカード」は廃止されやすいものの筆頭です。
これらが例えば2000円とすれば、2000円の株主優待を用意するために、2000円払ってカタログギフトを用意します。寧ろ、郵送費などを含めて、2000円以上の原価がかかっています。
逆に自社製品なら、株主優待を用意する元手もあまりかかりません。自社製品の中でも、元手がそれなりにかかるもの、ほとんどかからないものとばらつきはありますが、外部から仕入れるよりは株主優待経費が掛かりません。
株主優待の内容によりますが、500円のものを提供するためにかかる必要金額は、100円なり300円なりでしょう。例えば500円のクオカードのように、500円の価値の自社製品を、500円払って仕入れるようなことは無いです。
1000円相当の株主優待として、原価も販売価格も1000円のクオカードを用意するか、原価500円販売価格1000円の自社製品を用意するか、どっちが企業にとっては嬉しいかという話です。言うまでもなく原価の安い方です。
さらには製品のPRという意義も持たせられるため、株主の理解も得やすいです。
例えば私の保有している三井製糖では、株主優待に新製品を混ぜてきますし、なとりは色々な種類のおつまみを詰め合わせてくれます。どちらも株を保有していなければ、口にする機会などまず無かったです。そういった製品を、もし評価・リピートされれば会社の利益にもなります。
身も蓋もありませんが、株主優待とは株主を利用して試食会を行うようなもの、サンプルをバラまいていると考えれば、会社側にもメリットがあることが分かります。反対にカタログギフトやクオカードの商品に、PR効果があるかと言われれば全くありません。
また、株主優待の元手で判断するなら、製造業系では無くてサービス業系が強いと考えています。具体的には映画館やディズニーランドなどのレジャー施設です。
ここで、映画館やディズニーランドチケットを発行することで発生する(変動費)を考えてみましょう。純粋に、映画館やディズニーランドで、客が1人増えることに発生する費用が、株主優待を発行したために必要になる金額です。
色々意見があるかと思いますが、チケットの印刷代と郵送代など、200円にも満たないでしょう。
映画館やディズニーランドでお客様が1人、10人、100人増えたからと言って、サービスを変えるかと言われれば別に変わりませんし、そのために人件費も増えません。これらの業態は、施設という今あるもの、つまり(固定費)を主に提供するだけです。
こんな元手数百円の株主優待ですが、株主優待の評価額としては1800円だったり8000円だったりします。株主としても、株主優待の元手となる数百円を配当金として貰うより、評価額千円単位のチケットを貰う方がコスパ的に優れていることはご納得いただけるはずです。
そもそもですが、自社製品を株主優待として提供することで、自社社員の仕事を作り出せています。
このように、株主優待が自社製品のものは会社にとってもメリットも多く、株主優待制度が株主の理解を得やすいです。
特に、原価がかからないものについては、株主優待制度そのものの見直しがあっても最後まで生き残ると思っています。
逆にクオカードやカタログギフトは、原価がかかり、自社のPRにもなりません。実施メリットは株主満足だけですが、これは自社製品を株主優待とする企業でも同じです。
ということで、株主優待は自社製品かどうかという点が、株主優待実施コスト、株主優待実施意義という面で非常に大切です。
私は自社製品と関係ないカタログギフト、QUOカードなどを株主優待にしているところは基本的に信用しない(株主優待を廃止・改悪される可能性を捨てない)ことにしています。
例外もいくつかありまして、例えばオリックスです。株主優待が取引先企業商品で構成されるカタログギフトのようなものになっていますが、自社サービスも選択肢として提示されています。
すみだ水族館や京都水族館の年間パスポートや、オリックスバッファローズの野球観戦利用券です。
なので最悪ギフトカタログが無くなっても、すみだ水族館の年パス引換券(9200円相当)が残ってくれればいいかなと思っています。そう考えるとオリックスは例外でも何でもないですね。結局は自社サービスを株主優待として提供している企業です。
と高をくくっていましたが、2024年の株主優待を持って、オリックスの株主優待は廃止になることになりました。自分の見通しの甘さが恥ずかしいものです。
減益が続いたり、赤字になってはいないか
株主優待の原資は、言うまでもなく会社の利益からです。
自社製品を株主優待としていると言っても、会社に赤字が続けばいつまでも続けられるものではありません。
1株当たり利益5円、100株当たりでも500円の利益しか上げられない企業が、100株保有者に2000円の株主優待を提供できるのかと言う話です。
もちろん企業だってそれなりのため込みがあるので、1回や2回なら可能です。
ですが、5年以上にわたって利益が上げられない、もしくは赤字ながらも株主優待を提供し続けられるかと言われると、それは無理な話です。
そんなことを続けると、会社がいずれ倒産します。
なので、慢性的な業績不振が続く会社は、身の丈に合わない株主優待を一旦撤廃して再建を図ります。
株主優待が無くなったとしても、ずるずると身の丈に合わない株主優待を続けた結果倒産して、株が紙くずになるよりは数段マシです。
業績が復活すれば、株主優待も再び復活するかもしれませんし、配当金が増えるかもしれません。
なので、私個人の基準ですが、「3年以上営業利益や当期純利益が赤字」「コロナ前から赤字のサービス業」などの企業の株は、株主優待が魅力的でも保有を控えます。
まとめに代えて
以上、株主優待狙いの戦略を取るなら、株主優待が廃止にならないかどうかはよくよく検討が必要です。
私なりの戦略としては「自社製品でない株主優待」「赤字企業の株主優待」には特に注意しています。
これはひろぎんホールディングスの株主優待が改悪されたときの私の心の声なのですが
「あーひろぎんホールディングスの株主優待でもみじ饅頭貰って食べたかったなああああ」
こんな悲しみを味わうことの無いように、株主優待狙いの戦略を取るなら上手く立ち回ってください。