奨学金の返済猶予のすすめと返還猶予のやり方、猶予願の書き方
このタイトルを目にして記事をご覧いただいている方の多くは、学生支援機構の奨学金返済で頭を抱えている方かとお察しします。
近年、学生支援機構においても給付型の奨学金というものが運用されていますね。
「あー返還をしなくていいなんて羨ましい。私の時代にもあったら良かったなー」
と私の本音が漏れてしまうのですが、愚痴っても状況が好転するわけではなく、迫ってくる奨学金に対してなんとか対応しないといけません。
今回は、とりあえずの奨学金返済を何とかする方法として、もし返済が相当に苦しいなら奨学金の返還猶予という手段があることをお話しします。
目次
奨学金の返還猶予とは
奨学金の返還猶予が認められる基準
返還猶予のやり方
猶予願の特記事項の書き方
自己破産
生活保護での返還猶予
まとめに代えて
奨学金の返還猶予とは
奨学金の返済が金銭的な事情で苦しい時、申請することで一定期間返済を待ってもらいます。基本的には通算で10年まで猶予が可能になります。なお、生活保護であることを理由にして猶予をしてもらう場合は、猶予可能年数の上限はありません。
返済を猶予してもらったからと言って、返済残高そのものが減ることはありませんが、ひとまず返済を止めることによって生活に余裕が出ることがあります。
収入が少なく、貯金もほぼ無い状態で奨学金を返済しているなら、その場しのぎの手段として頭に入れておきましょう。特に奨学金の返済のために働きすぎて健康を阻害してそうであれば、ひとまず返済を休んだ方が良いです。
猶予申請から承認されるまでには2~3か月かかるので、いざ奨学金が返済不可能なことになっても迷っているなら早く申請することを薦めます。奨学金は猶予の逆に繰り上げ返済もできるので、ひとまず返済を待ってもらい、余裕が生まれたら大目に返す形で何の問題もありません。
他に、月々の返還額を半額にするなどの申請も出来ます。
奨学金の返還猶予が認められる基準
奨学金の返還猶予が認められる事由としては、経済困難、失業中、傷病、災害、生活保護受給中、その他です。
経済困難の具体基準としては、税込み年収額が300万円以下です。
これはあくまで目安です。これ以下でも認められない場合もありますし、これ以上でも認められる場合もあります。
例えば同居している両親が共に働けないうえ、年金額も少なく、生活費を自分が負担しているため返済余裕がないという状況だってあります。そんな状況では、年収350万円あっても返還猶予が認められる場合もあります。
返還猶予のやり方
奨学金返還期限猶予願を『 〒119-0385 独立行政法人 日本学生支援機構 猶予減額受付窓口』に送ることで申請になります。住所とか書いてないように見えますが、専用郵便番号なのでこれで届きます。
提出する書類は、日本学生支援機構HPの『奨学金返還期限猶予願・チェックシート』からダウンロードできます。
記入例もこちらにあります。
猶予願を記入し、マイナンバーカードの写し、もしくは最新の所得証明書か住民税非課税証明書を添えて郵送します。特に専用封筒とかないので、適当な封筒に先ほどの住所を書いて送ってください。
詳しい申請方法は日本学生支援機構のホームページからも確認できます。
猶予願の特記事項の書き方
はじめに言っておきますが、特記事項を書かなくても所得などの要件を満たしていれば返還猶予は通ることは通ります。生活保護受給中であれば、その部分にチェックを入れればそれで良いです。所得が幾らかなどは、どうせマイナンバーでわかります。ただ、失業や傷病、災害などに遭ったことはマイナンバーから追えない部分もあるため、特記事項に書いておきましょう。基本的にマイナンバーでは前年の所得を見るので、前年の余裕があるときの収入で判断される場合があります。
特別な理由が無くても、特記事項と言う枠があれば書かないといけないものだと考えますよね。ですが日々の仕事に追われて頭が回っていない時って、こういう文章を考えるのも一苦労です。
なので、一応特記事項を書いて猶予が通りやすくしたい方のために、特記事項の例文を書いておきます。因みに私は経済困難を理由にして2回、他に生活保護利用時にも、奨学金返還期限猶予願を提出したことがあります。
『大学卒業後、正社員としての勤務を長く続けることができず、現在はアルバイトで生活費を賄っております。
手取りの収入はおよそ月16万円程になり、家賃、光熱費、通信費、食費、交通費、雑費で月13万円程かかります。
奨学金の返済が困難なため、奨学金の返還猶予をお願いします。』
『今年正社員として転職をし、現在手取りの収入はおよそ月18万円程で働いております。
家賃、光熱費、通信費、食費、交通費、雑費で月14万円程かかります。
転職したばかりで生活が安定しておらず、貯金もありません。
奨学金の返済が困難なため、奨学金の返還猶予をお願いします。』
と言う感じで過去に書きました。文章的にはこんなもんでOKです。
今の手取りが幾らであるか、出費は幾らであるかを記載して、客観的に判断して貰うのがポイントです。
生活保護を利用していた時もこんな感じで3回書きました(生活保護で返済を猶予してもらうなら、別に特記事項書かなくても良いです)
『大学卒業後、正社員としての勤務を長く続けることができず、現在はアルバイトと不足分を生活保護で補う形で生活費を賄っております。
合わせて月13万円程になり、家賃、光熱費、通信費、食費、交通費、雑費で月12万円程かかります。
奨学金の返済が困難なため、奨学金の返還猶予をお願いします。
今年中には所得を増やし、生活保護を脱却して、返済を再開できればと思っております。』
今後の展望を記載しておくのがポイントです。
私は3年以上生活保護を利用したため、3回ともこんな感じで書いて2回くらい嘘ついちゃったことになりますが、まあ人生ってそういうものですよね。別に反省はしていません。別に現在働いていなくても、まずは体調を直して~とか、前向きなことを書いておけばOKです。
手取り収入が月16万円で支出が月13万円なら、一見返せる余裕があるように見えるかもしれませんが、差し引き3~4万円くらいなら余裕なしという判断をされます。臨時の支出とかありますし、たまに賃貸の更新とかする時ってあるので、3~4万円くらいは余裕資金でもなんでもないです。その余裕資金から奨学金を返済すると、余裕はほとんど無くなります。
余裕が4万円あっても猶予は認められたので、手取りが月18万円以下、奨学金を返済する前の余裕が4万円以下であれば、まず猶予は認められると思ってください。
私もさすがに正社員として働いて2年目からは貯金もでき、安定してきたので、返済を再開しました。
※もしこんな場合の例文を考えて欲しいという要望がありましたら、リクエストいただければ考えます。
自己破産
一応、自己破産することで奨学金の返済が免除されることについても触れておきます。
あくまで最終手段ですが、奨学金も法律上は借金であり、自己破産によって清算することは出来ます。
ただ、自己破産で認められるのはあくまで自分の債務です。
連帯保証人に親などを設定している場合、自分の自己破産が認められても親の自己破産として認められるわけでありません。そのため、自己破産の結果、親などの連帯保証人が奨学金を返済することになります。
このため、万人に勧められる方法ではなく、デメリットもありますが、自己破産という方法もあるということです。
生活保護での返還猶予
生活保護であることを理由にして猶予をしてもらう場合は、猶予可能年数の上限はないことをさらっと触れました。
もし亡くなるまで生活保護を受け続けるとどうなるかという話ですが、奨学金は本人の死亡をもって返済義務が無くなるため、返済の必要は無くなります。
連帯保証人に迷惑がかかることもありません。
まとめに代えて
以上、奨学金の返済について返還猶予という方法を紹介しました。奨学金は健康や日々の生活を犠牲にしてまで必ず返さないといけないものでもないです。
なお記事を書いた私は、2022/3月時点で奨学金借入残高575万円のうち、残り120万円程の返済残があります。返せるときに返す、返せない時は潔く猶予してもらう形でダラダラやってきました。こんな生き方をしている人間もいるので、奨学金の返済で生活が困るようであれば、別に罪悪感を感じたりする必要もないので奨学金の返還猶予も検討してみましょう。