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竹中平蔵氏に学ぶ月7万円生活は実践可能か【ベーシックインカム賛成?反対?】

竹中平蔵氏が9月23日のBS-TBSの報道1930に出演して、自身の考えるベーシックインカム論を提案しました。

・国民全員に毎月7万円支給
・生活保護は不要
・年金の廃止

という主張です。

竹中平蔵氏が提案する「月7万円」のベーシックインカム論がヤバすぎる

現役勤労世代で普通に勤労可能な人は、ベーシックインカムに加えて労働収入があります。竹中氏もベーシックインカムだけで生活しろと言ってるわけではありません。しかし個々人の事情から、ベーシックインカムだけで生活せざるを得ない人も出てくるはずです。

なお、竹中氏を擁護するわけではありませんが、ベーシックインカムの金額は『一人当たり』月7万円です。4人家族であれば月28万円になるので、1人暮らしでなければ工夫すればベーシックインカムだけでもなんとかなる水準でもあります。

一人で生きていけなければ助け合って生きて行けということでしょうか。共助の考え方ですね。

それでは今回の主題です。共助が見込めない単身者世帯が月7万円しか使えなければどう暮らしてくべきでしょうか。そもそも暮らしていけるのか具体的に検証してみましょう。竹中平蔵は月7万円で暮らしてみろとSNSなどで盛り上がっていますが、月7万円の生活とはどのようなものになるでしょうか。

・月7万円の生活費配分

まずは月7万円で生活する計画を立ててみましょう。
1ヶ月の予算は次のようになります。

家賃    15000円
食費    20000円
水道光熱費 10000円
通信費    5000円
日用品費   5000円
医療費    5000円
娯楽費    5000円
予備費(貯金) 5000円

合計     70000円

生きていく最低限としてこれだけかなと思います。家賃は東京都などにお住いの方には想像出来ないかもしれませんが、地方に移住すれば2万円を切ることは不可能ではありません。食費は月に1万円だろという方もいらっしゃるのでしょうが、少しは余裕を持たせて現実的な数字を出したつもりです。予備費も必ず確保しないといけません。突発的な出費があった場合破綻します。衣類については、靴下や下着などは日用品から、外出用の服は娯楽費からの出費を想定しています。なお、全体でこの水準が守れないなら、娯楽一切なし、スマホを解約して通信費を一切発生させないようにするなどの、思い切った生活が必要になります。

以下、月7万円で暮らしていくための具体的条件を検証しましょう。

・持ち家か公営住宅の入居は必須条件

公営住宅の家賃は所得に応じて減免制度があり、地方都市の公営住宅では家賃が1万円を切る場合もあります。1Rのアパートでも2万円は厳しいように見えますが、地方に目を向ければ1万円で住める物件も無くはないです。勿論、ウォッシュレットなど望んではいけません。下手するとエアコンもないかもしれません。当たり前ですが、月7万円の収入源しかないのに東京23区に住もうと考えてはいけません。

家賃は妥協しても2万円まで、理想は1万5千円までです。これ以上になると破綻します。なお家賃を2万円に抑えられてもすでに予算オーバーのため、他の費用から総額5千円を節約します。

これらの手段が取れなければ田舎でシェアハウスが現実的かもしれません。

シェアハウスを運営して、劣悪な住宅に入居者を集め、家賃、食費、光熱費として月に4~5万円を入金させる貧困ビジネスもはやりそうですね。派遣労働者を大量に生みだしたうえでパソナの会長に就任した竹中氏なので、自分でルールを作ってそのルールに乗る前例があります。次はシェアハウスが好まれる社会を作り、シェアハウスを新しいビジネスとして運営しようと考えているのではないかと穿ってしまいます。考えすぎですよね、きっと。もしパソナなどの竹中平蔵氏関連企業が、淡路島で低所得者向けシェアハウスの運営を始めたらさすがに擁護はできませんが、そんなことはしないと信じております。

・自炊は必須条件

食費は多くても月2万円までに抑えたいところです。2万円で栄養価の高い食事をするには、自分で手間をかけるしかありません。もし食費を削った結果、栄養を軽視して不健康になれば、医療費がかさんで月7万円生活は破綻します。一応自炊オンリーであれば、食費月2万円とそれなりの栄養バランスを満たす食生活は容易に達成できます。

因みに現在の単身者世帯生活保護受給者の1ヶ月の食費は2.5~3万円超です。大半の生活保護受給者は、暮らしを変えなければこのままでは生活できなくなることになります。

しかし生活保護受給者の中には、能力・気力の問題から毎回自炊することができずに、中食や外食で食費がかさんでいる方もいます。そんな方が月7万円生活を実践するとどうなるかは、ちょっと想像したくありません。

・健康は必須条件

医療費を5千円としましたが、体調を崩せば5千円は簡単に超えてしまいます。また、介護についてはどうにもならないため、介護が必須になった段階で詰みます。健康でなければ月7万円生活は無理なのです。

高額医療の限度額があるとしても月に数万円の出費が降ってくる場合もあります。そうなれば、という事態はちょっと想像したくありません。

・車を所有したり宿泊を伴う旅行は無理

車の所有(運転)には月に数万円単位でお金がかかります。旅行も、宿泊を伴うのであれば1万円を下回るのは難しいかと思います。月7万円で生活するなら諦めましょう。移動は自転車が基本になると思ってください。1年に1回くらいなら、旅行も出来なくはありませんが、ここまで紹介したよりもワンランク上の節約をすることが必須になります。

・7万円で生活出来る人・出来ない人

以上、7万円で生活できないことはありませんが、この生活を送るには健康と自炊能力(生活能力)が必須条件です。その上で、持ち家か地方に移住して家賃を2万円以下に抑え、さらに節約を意識することで実現できます。

つまり、誰でも出来ることではありません。何かが欠けるだけで破綻します。

ベーシックインカムだけで生活せざるを得ない現在の年金受給者、生活保護受給者が、この無駄なところにお金を割かず、自分の健康・気力を資本にして、徹底的に節約のための創意工夫をする生活を実践出来るとは思いませんでした。

私も、現在なら地方に引っ越せば月7万円でも生存できるとは思っています。しかし生活保護を受給していた頃のように、気力・判断力が低下している状況なら月7万円では生活できないと思います。健康と生活能力が無ければ、今日は自炊しなくていいや、スマホの安いプランへの乗り換えは来月でいいや…などと考え、月7万円などすぐに無くなります。月7万円で生活できるということ自体、既にちゃんと自立している方でなければ達成できない目標設定です。

ベーシックインカムの構想自体は日本にあっていると思いますが、生活保護、年金を廃止して一人当たり月7万円という竹中案は非常に無理があるのではないでしょうか。

・ベーシックインカムには賛成です

自分一人で生きるしかないが、支援が無ければ生きていけない人がいます。つまり、自助も出来ず共助も無く公助に頼っていた方がいますが、その方から公助も取り上げる結果になりそうですね。素人の私は竹中氏の提案するベーシックインカムについてそう思いました。

しかし、竹中氏は経済に明るく、パソナの会長やオリックスの役員、東洋大学教授や慶應義塾大学名誉教授を務めています。

じょうじんにはおもいもよらないちみつなけいさんと、たけなかしきべーしっくいんかむをていあんするだけのこんきょがあるのだとおもいます。

勿論、現在しっかりと自立している方にとっては、竹中氏のベーシックインカムは全く悪い制度ではないと思います。どんな時でも生きていけるだけの最低限の収入があるというのは、活動の選択肢が非常に広がると思います。いざ自立できなくなった時に生存できる未来が全く見えませんが、自立できているいるうちにお金を蓄えるなりしてなんとかしろという考えなのでしょう。問題となる、ベーシックインカム開始時点で『はじめから自立できていない』層はどうすれば良いか全く分かりませんので、これが解決されるならベーシックインカム自体には賛成です。

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