生活保護受給者が議員等に立候補することは出来るのか【被選挙権と生活保護】
東京都では都議会議員選挙が始まります。今回もまた、まともな候補者からしょうもない候補者まで集まって、選挙がコンテンツ化してきたなと感じます。
では、生活保護受給者がそんな候補者の一人として、選挙に立候補することは出来るのでしょうか?
結論から言えば、立候補できます。
今回は生活保護受給者が議員や市区長へ立候補することについて、掘り下げていきたいと思います。
目次
・生活保護受給者の立候補を阻む法律はない
・立候補と就労指導
・生活保護受給者の選挙資金と収入認定
・生活保護受給者が選挙に出る条件
生活保護受給者の立候補を阻む法律はない
まずは、議員や市長なとに立候補するための被選挙権について、
・日本国民であること
・所定の年齢を満たすこと
・犯罪により、被選挙権が停止されていないこと
以上です。
所得の有無や就労の有無、生活保護かどうかなどは明記されていません。その他、生活保護受給者が議員等に立候補することを禁止する法律はありません。
理論上は生活保護受給者でも議員や市長になることが可能です。
立候補と就労指導
働いているならともかく、働いていない生活保護受給者の方が議員等に立候補することを、おかしいと思う方も多いかと思います。実際に働いていない生活保護受給者の方が議員等に立候補することに問題は無いのでしょうか?
結論は、『問題あり』です。
これについては、生活保護に関する事例に対してどう判断するかをまとめた『生活保護手帳(別冊問答集) 』にも答えがあります。
選挙は投票という過程があるので、立候補しても必ず当選するとは限りません。そのため、選挙に立候補しても就労活動とはみなされず、選挙を理由に働かないことは認められていません。
生計維持に関する努力義務(仕事、就職活動)を放棄していないことが、選挙に立候補する条件となります。
仕事をやめて選挙活動する、という一般の議員候補者が行うようなことは認められていません。
仮に生活保護受給者が無職で選挙に立候補するなら、相応に厳しい就労指導が入るかと思います。だって選挙活動できる程度の能力があるとご自身で証明しているのですから。
生活保護受給者の選挙資金と収入認定
選挙のためには、立候補の際に必要な供託金、実際に選挙活動にかかる選挙運動資金というお金がかかります。
その選挙費用は収入認定されません。
例え自分の貯金でなく、支援者から受け取ったお金であっても、家計と区別され、選挙に実際に使われているのであれば収入とはみなされません。
因みに供託金は、2021年時点、最も少ない町村議会議員で15万円です。市区議会議員で50万円、都道府県知事や衆議院参議院議員で300万円です。
生活保護だからと免除されることは無く、貯金や支援者からの支援でなんとかする必要があります。選挙運動資金も同様に、自分でなんとかする必要があります。
逆に言えば、支援者等がなんとかしてくれるのであれば、選挙にかかる金銭的な問題は解決されます。
生活保護受給者が選挙に出る条件
以上、生活保護受給者が議員等に立候補することについて、法的には認められていることをご紹介しました。
とはいえ、議員等に立候補することで生計維持に関する努力義務(仕事、就職活動)を放棄していない、というのはなかなか解釈が難しいです。
『今既にフルタイムで働いているものの、年収が150万~200万程度で生活保護を利用せざるを得ない』
という方であれば、ケチのつけようがないので問題ないんじゃないかと私は考えます。
もちろん、就労指導が厳しくなったりすることを覚悟の上で、議員等に立候補することは何の問題もありません。
社会に訴えたい何かがある方、議員になって何かをしたい方は、現在生活保護受給者であっても議員等に立候補することはできます。
選択肢の一つとして覚えておくと何かの役に立つかもしれません。