生活保護に関する考察

生活保護界隈におかしな主張がはびこるのはなぜなのか

私は生活保護を3年半利用した経験があり
生活保護を抜けた後もブログにて生活保護について発信し
2年ほどYoutubeへの投稿を続けてきました

ただ、生活保護界隈ではなんか変だと思う主張も幅を利かせています
そんな主張と、どうして生活保護界隈はおかしな主張がはびこるのかを考えていきます

動画にもしているので、合わせてご視聴いただけると嬉しいです

生活保護を利用できている人は必要としている人の2割
生活保護で不正受給する人は2%
生活保護は地域経済を回す
どうしておかしな主張達が幅を利かせるのか

生活保護を利用できている人は必要としている人の2割

生活保護界隈に身を置いていると、この主張に巡り合っているはずです

どういうことかと言いますと、生活保護の捕捉率という指標があります。
これは生活保護を利用する資格がある人のうち、実際に利用している人の割合という定義です。
そして、日本で所得が生活保護の基準を下回る世帯のうち保護を利用している世帯は22.9%と言う調査がありまして
だから残る8割は生活保護を利用する資格があるのに生活保護を利用できていないんだという話になります。

一見もっともらしく聞こえる主張ですが、少しでも生活保護を理解していれば違和感に襲われる話でして
そもそも、日本における生活保護の利用条件は何か、と問われると、一定基準の収入が無い事と、資産が無い事で、所得だけで決まるものではありません。

例え収入が年10万円であっても、資産額500万円の方は利用できないのです。

そんな低収入の資産保持者も生活保護を利用する資格があるのに利用できない人と定義することで、生活保護を利用できている人は必要としている人の2割という話になります。

因みに、低収入だけでなく、持ち家の有無や資産額まで考慮すると収入も資産も生活保護の条件を満たす人は、6~7割が生活保護を利用していると推計出来ます。
国民生活基礎調査から貯蓄額や所得金額分布状況を、住宅・土地統計調査からは持ち家の有無を調べることができまして、これらを参考にすれば、生活保護の要件を満たしている人数を推計することもできます。
手間がかかり面倒くさくはありますが、計算自体はそこまで難しくはありません。

彼らの言う「生活保護を利用する権利のある人」とはいったい何なのでしょうか

生活保護で不正受給する人は2%

生活保護の不正受給は多くの人に嫌われる話ですが、生活保護利用者はそんなに不正受給はしないという主張です

生活保護の不正受給の件数は年に3万件前後で、額にして100から150億円前後が不正な受給に充てられています。
そして現在の生活保護利用者は200万人前後、使われる生活保護費は3兆円前後です。
数字は年によって変動がありますが、毎年生活保護費の0.4%の金額が不正受給に当たり、件数にして2%前後の人が不正受給をしてます
ということで、生活保護で不正受給をする人は2%しかいないと言われています

ここで頭に入れないといけないのは「生活保護で不正受給する人」の定義です

生活保護で不正受給をする人は2%というのは、1年間の話です

「生活保護で1年間に不正受給する人の割合」なのか
それとも、「生活保護利用者200万人を集めたうちの不正受給の経験率」なのか
似ているようで意味は全く異なります

生活保護の平均利用期間は1年ではなく、6年半ほどとなっていまして
それを踏まえて、年間で2%の生活保護利用者が不正受給をするなら
生活保護利用者の内どれくらいが不正受給を行った経験のある人なのか
答えは10%超となります

例えば2年で考えてみましょう
去年に不正受給した人が2%、今年不正受給した人が2%です
反対に去年も今年も不正受給などしなかった人は
98%×98%で、96.1%です

3.9%が去年か今年、あるいはどちらも不正受給をしたことになります

これを6年半の期間で考えると
98%×98%×98%×98%×98%×98%×99%(半年分)
不正受給をしない人は87%となります

つまり13%が6年半のうちどこかで不正受給をする人になります
2回以上不正受給を行う人の存在を考慮すると、10%くらいとみなすのが妥当かと思います

つまり、現在の生活保護利用者200万人の内訳は

2%程の「今年不正受給をした人」
8%程の「過去に不正受給がばれたからもうしない人」
90%程の「不正受給などしない人」です

9割の人は不正受給をしない側ではあるのですが
生活保護利用者は98%が不正受給をしない良心的な人の集まりだと思っているなら、それは実態が全然見えていません。

生活保護は地域経済を回す

生活保護世帯は貯金もせずに消費をするから経済波及効果は高いんだ、生活保護世帯の消費によって、地域経済が支えられているという主張です。

しかしそのお金は果たして地域経済が回るように動いているのか、と言うところまで考えなければなりません。

農産物の肥料や電力資源、携帯電話、衣類に家電
現代の消費とは消費額の一定割合を海外に流すことを意味します。

日本の食料品輸入額は、10兆円前後になり
石油や天然ガスなどのエネルギーに関しては、30兆円を輸入しています。

そのお金は誰かが海外に物を売らなければ帰って来ませんし、そのためには誰かが働くしかありません。
できなければ円安が加速し、いずれ海外からこれまでと同じように物を買えなくなります。
まさか外国が無償で物品を提供してくれるわけもないですし

局地的に見れば、生活保護利用者がお金を落とすことで売り上げに寄与している事業もあります。
仮に、生活保護制度が無くなり生活保護利用者の生活保護費が売り上げになっていた商店や施設が潰れてもその関係者は別の仕事を探したり作り出すだけです。
それ以上困ることもありません。

どうしておかしな主張達が幅を利かせるのか

生活保護界隈で言われていることは、ちょっと考えるだけで怪訝に思うような主張に溢れています。
こんな主張を真面目にしている方々は、そんな思考力で今後の人生どう生きるんだろうと思うとゲロ吐きそうになります。
普通の界隈であればおかしな主張は検証され、間違いを指摘され、消えていきます。

どうして生活保護界隈においてはそうならないのか

まず、生活保護界隈は無責任に情報をバラまく人の集まりだからです

例えば、生活保護の捕捉率2割の話

これは「生活保護の捕捉率は2割と言われています」という書かれ方ばかりを見ています
「生活保護の捕捉率は2割です」と断定する文章を見ることが殆どありません

「言われています」とはどんな意味かというと、「誰かが言っていた」ということで、つまりは自分の意見でも考えでも何でもないのです

他人がそう言っていたからそれが事実なんだと、割と無責任に適当なことを言うのがこの界隈です。
これは生活保護の当事者だけでなく、この界隈に関わる自称弁護士や行政書士、ファイナンシャルプランナー等の専門家でさえ同じなのです。

また、生活保護について発信する人の中には生活保護利用者に気持ちよくなってもらう方向で発信する人がいます。
デタラメだと分かっていても、生活保護利用者を気持ちよくさせるための優しい嘘、おかしな主張をしても生活保護利用者が前向きになれれば正義
生活保護にはそういう一面もあるかもしれません。

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