生活保護での生活

生活保護受給者はペット(犬や猫)を飼っても大丈夫?【法律上は飼えます】

犬や猫、うさぎや小鳥など、一緒にいると癒されますね。生活保護受給者でも犬や猫などのペットを飼いたい、とお考えの方もいらっしゃるかと思います。しかし現実問題として、ペットを飼うにはお金がかかります。そして、ペットを飼うには様々な責任も伴います。生活保護受給者が犬や猫などのペットを飼う妥当性について、述べていきます。

目次
・生活保護受給者がペットを飼うことを禁じる法律はない
・ペットを飼う費用を捻出できるか
・ペットにもしものことが起こった場合、責任を持てるか
・ペットが何かしてしまった場合、責任を取れるか
・ペットを飼うための転居は認められない
・まとめ

生活保護受給者がペットを飼うことを禁じる法律はない

他人がどう思うかの感情はさておき、現在の法律上は生活保護受給者がペットを飼うことに言及した法律はありません。飼ってはダメとも定められていませんし、飼ってよいとも明言されていません。また、生活保護の受給要件として、ペットに関する規定もありません。そのため、犬や猫などのペットを飼うかどうかは、当人の考え方に委ねられることになります。

ペットを飼う費用を捻出できるか

当然ですが、ペットを飼うには費用が掛かります。ペット本体の費用に、飼育機器、餌代などです。ですが生活保護費は、ペットを飼う前提の金額にはなっていません。ペットを飼いたい場合は、生活保護費からやりくりして捻出することになります。そもそも最低限度の生活を営む程度の生活保護費なので、やりくりの難易度は高めです。難易度高めなだけで出来る人は出来る水準でもあります。

ペットにもしものことが起こった場合、責任を持てるか

ペットは生き物で、病気になったりけがをしてしまうこともあります。その際に、十分な治療を用意できるでしょうか?ペットの治療は日本国民が医療を受けるように国民健康保険などで支援されず、すべて自己負担なので高額になります。

ペットの保険もありますが、決して安くはなく、全額保証されるとも限りません。何より、ペットの入院などで入ったお金は収入申告の対象になる場合があります。例えばペットの病気治療に10万円かかり、7万円の保険金が出たとすると、7万円は収入申告の対象になります。そうなると、ペットの保険に加入する意味がそもそもありません。

なのでペットに万一のことが起こった場合には、貯金でなんとかすることになります。家計の余裕は無いと思いますが、しっかり貯金しておきましょう。それが出来なければ、治療費が払えないためにペットを助けられない…ということも覚悟のうえで飼うことになります。

ペットを飼っている生活保護受給者の方は、生活保護になる前から飼っていたペットをそのまま飼っている場合もあるかと思います。手放すのもある意味優しさになります。それでも飼い続ける場合は、色々覚悟しておきましょう。

ペットが何かしてしまった場合、責任を取れるか

民法第718条に『動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。』という規定があります。動物が他人に何かしたら、責任を取らなければならないのです。

例えば飼い犬が散歩中に誰かに噛みつき怪我をさせてしまいます。そして、治療費が50万円程かかってしまったとします。当然飼い主として治療費の支払い義務は発生します。裁判になり、生活保護だからと言って免除されることはありえません。ここまでが法律上のルールです。

しかし、生活保護受給者は支払いに充てる資力が無いということで、支払いを強制されることはありません。生活保護費は最低限度の生活を営むだけの金額なので、生活保護費から賠償してしまうと、生活保護受給者が生活できなくなってしまうからです。支払い義務はあるものの、支払いを保留されている状態です。

これは、けがをさせられた相手から見ればたまったものではありません。事実、生活保護受給者のペットに噛まれ、泣き寝入りするしかない事例もあります。この理由だけで『生活保護受給者がペットを飼うのは禁止』と法律で定められても、反論の余地がないなと思うところです。

せめてペットが他人に危害を加えることがあっても責任を取れるように、賠償責任保険には加入しておきましょう。ペットが他人に怪我をさせた時などに、保険金を相手に支払う保険です。

と言いたいところですが、賠償責任保険の加入をケースワーカーが認めるかは分かりません。賠償責任保険に加入しても、保険金が収入申告の対象となるかもしれません。勝手に加入するのはトラブルの元なので、保険金の扱いを含めてケースワーカーに確認をしておきましょう。生活保護受給者に限りませんが、飼い主として責任を取れないならペットを飼うべきではありません。

ペットを飼うための転居は認められない

ペットを飼うことは最低限度の生活に必須ではありません。飼っても飼わなくてもどちらでも良いものです。そのため、現在の住居がペット不可で、ペットを飼うために転居したいということは必要性が認められません。それでも引っ越ししたければ自力で引っ越し費用を捻出することになりますが、引っ越し費用の貯金があるならと生活保護を打ち切られる可能性もあります。現在の住居がペット不可であれば、素直にあきらめるべきかと思います。

まとめ

ここまでペットを飼うのに否定的なことを述べましたが、ペット次第です。犬や猫を飼育するのは大変ですが、小鳥やハムスター、爬虫類は生活保護受給者という立場でも飼いやすいと思います。少なくともペットを家から出さなければ、他人に迷惑をかけてしまう可能性は大きく減ります。生活保護受給者に限りませんが、ペットを飼う場合は相応の責任を持って飼うべきです。ペットを飼うことで精神的な安定を得られるというのは否定できないので、他人に迷惑をかけない、責任を取れる範囲で飼うことには文句も出ません。

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