月7万円で暮らしてみろと主張する生活保護は、どんな困難を抱えているのか
「月7万円で暮らしてみろ」
生活保護当事者の中には、こんな声をSNSで上げる方が時折いらっしゃいます。
前提として、この月7万円で生活してみろと言うのは
生活保護の生活扶助費月7万円で生活してみろ、つまり家賃も扶助される前提での話であり
生活保護水準の生活をしてみろ、家賃込みで11~12万円の生活をしてみろと
同じ意味の言葉となります。
月7万円で生活してみることの難易度
この言葉を向けられた側にとって、出来る出来ない論としてはどうなのか
結論から言うと、多くの人はできます。
国民を所得の階層で20%ずつ、5段階に
低所得層、低所得層2、中位層、中位層2、上位層と言う感じに
分ける考え方と、その前提で調査された統計があります。
そのうち、低所得層の消費支出額は生活保護となんら変わりません。
明日生活保護になっても何も変わらない人たちです。
そもそも生活保護の水準は、低所得層の生活水準に寄せられているので当然の結果ですね。
そして中間層も、消費支出額を見れば生活保護より月数万円多い程度で
生活保護と生活水準は大差ありません。
つまり6割の人にとって生活保護水準で暮らすと言うのは
既にできてしまっている、もしくはそこまで苦も無く達成できる水準であり
難しいことかどうかと問われると別に難しいことではありません。
残りの4割も、今より生活水準を落とすことにはなりますが
全員が全員達成できないと言い切るのも違うかと思います。
では、生活保護水準で暮らせと言われた方々が
どうやって生活保護水準で暮らすのかと言うと
コロナ前の話ですが
自炊メインの1人暮らしの食費は月2万円
外食メインの1人暮らしの食費は月5万円
というのがありまして
この差はコロナ、ウクライナ戦争を経た物価高の今も変わってはいません。
自分で出来ることは自分で、と言う話です。
自炊の話に限らず、人は時間があれば
歩けるけど歩くような暇がなかった場所へ
歩いていくことで交通費を節約したり
スマホや光回線のプランを複数比較検討し
自分に合ったプランを選びなおすことで通信料を減らしたり
100均で売ってるような便利グッズを不用品を使って自作したり
要するに、生活保護ということになり時間に余裕ができれば
食事やそのほかにも外にお金を払う事で得ていた便利なモノやサービスを
自分でなんとかするようになるので、出費は減ります。
これは決してハードルが高いものではないです。
そんな難しくもないことを、やってみろ!と恥ずかしげもなく言えてしまうのは
「月7万円でやりくりするのは私にも厳しいんだからあなたにも難しいはず」
という意識
もっと言うと「自身の能力は上位30%という無意識の前提」の上で
「自身に難しいのだから普通の人にも難しいと言う思い込み」があるからです。
但し、生活保護水準で暮らすのがさほど難しくないと言うのは
自分である程度の生産的な活動ができる人に限ります。
障害などがあり、ある程度の生産的な活動も出来なければ
時間が合ってもどうしようもなく
むしろ有り余る時間をつぶすためにお金を使ってしまいますが
そういう方々には、障害に対する手当が加算されるので
月7万円よりも多い金額を生活費に使えます。
障害を抱えて生活保護の月7万円で生きてみろ!
という大変なことにはならないように設計されているので大丈夫です。
生活保護の月7万円で生きてみろ!と投げかけることの何が問題なのか
「まず、生活保護の月7万円で生きてみろ」と投げかければ、相手からは
「そんな難しくも無い事自分にもできるけど、だから何なんだろう」
と思われ、投げかけた人は軽い存在として雑に扱われますが
そのこと自体はその場限りの大した問題でもない話です。
生活保護の月7万円で生きてみろ!と言い出す人の抱える問題は
自分にとって困難でも一般の人にとって難易度が高くもないものを
「自分にも難しいんだからあなたにも難しいはず」
と自分自身が決めつけて発言していることについて無自覚であること
つまり客観視ができないことです。
さらには、その場その場の判断や計画を、客観視できない自分を基準に
自身の能力を高く見積もった上で行うので
自身の判断がことごとく間違ったものになってしまうという人生上の困難を抱えています。
生活保護費ではお金が足りないと言うのは
人生上の困難が招いた結果にすぎません。
RPGで言えば、自分のステータス画面が高めに誤表示されながら戦闘に臨む状態であり
株式投資で言えば、自分の額面給与を手取り収入だと思っている状態であり
受験勉強で言えば、自分の学力・偏差値を実態より高く見積もっている状態です。
何かに向かって頑張る、目標を決めて動くと言うのは
自分と目標とのギャップを埋める作業で
自分について齟齬なく認識することが不可欠です。
自分のことを優良誤認しているようでは
人生を好転させるための計画や対策など立てようもないというか
誤った自己評価に基づいた計画など立てても意味がありません。
なので、何をやっても成功しませんし、ネタ枠以外の何者にもなれません。
「生活保護の月7万円で生きてみろ!」
こんなことを他人に対して、ネタや反応欲しさにわざと言うわけではなく
本気でそう思い、言い出すようになったら、
自分には客観視と言う能力が欠けていることを自覚し
自分の能力を無意識に過大評価していないか疑い
一度自らを振り返り、自分と向き合った方が良いです。
これを言い出す人が幸せに、人生を好転させるのに必要なのは、決してお金ではなく
「自分が能力的に優れた人間ではないことを受け入れる潔さ」
と
「自分が能力的に優れているわけではないなりにどう生きていくか」
という割り切った考えです。


