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熱中症と生活保護夏季加算の実現可能性を考察

生活保護には冬季加算というものがあり、光熱費のかかる冬場は生活保護費に加算されます。
ですが、夏については特に加算があるわけではありません。
今回は、生活保護の夏季加算について、今後どうなっていくのか考えていきます。

目次
熱中症死亡者は近年増加している
気温は上がっている
夏季加算実現の可能性
夏季加算の実現と生活保護費増額は別
まとめに代えて

熱中症死亡者は近年増加している

まずはデータとして、近年の熱中症死亡者数の推移を見てみましょう。

年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移

事実として、熱中症で亡くなってしまう方は近年増加しています。

理由としては、気温の上昇と、熱中症に耐えられない高齢者層の増加です。

実は35歳以下の層なんて、25年ほど昔と比較しても熱中症による死者数は変わっていません。

ただ、高齢者に対象を絞ると、25年ほど昔と比較すれば熱中症の死者は非常に増えています。

高齢化が進み、純粋に高齢者の人口が増えたことで、熱中症に耐えられない高齢者も増加し、熱中症の問題が表面化してきたという話です。

気温は上がっている

区内の夏日・真夏日・猛暑日・熱帯夜の年間日数(1920-2019年)

これは千代田区の気温の推移になります。

35度以上の猛暑日、極端に暑い日が増えています。

20年ほど前は、猛暑日が年に10日を超える事など、10年に1回あるか無いかの話でした。

それが今では、2年に1回の割合で猛暑日が年に10日を超えるようになっています。

35度を超えるような気温は体温と変わりないので、放熱もうまくいかないようになり、熱中症が急増します。

夏季加算実現の可能性

実は2010年、民主党政権の時代に、夏季加算が検討されたことがありました。

生活保護に夏季加算を検討 厚労省、猛暑受け

政権次第ではありますが、今後も検討、その結果を受けて実現される可能性は十分にあります。

ただ、記事からも言えるように、夏季加算を実施するとなると、熱中症で大量に死者が出た時ではないでしょうか。

夏季加算がこんな形で実現されるのは嫌なので、実現されるなら熱中症で死者が大量に出る前に実現して欲しいですね。

夏季加算の実現と生活保護費増額は別

ここで梯子を外すようなことを述べますが、私はそもそも単純に夏季加算の実現=生活保護費の増額となるとは思っていません。

ちょっと、生活保護費の原理と言うか制度設計のお話をします。

生活保護費は、基本的に生活保護受給者がしっかりと家計管理をすることを前提にしています。
だから生活保護受給者の金銭管理をする自由を尊重し、現物支給などもされません。

なので月ごとの生活保護費が異なる点についても、春や10月は過ごしやすいよね、7、8月は大変だよねというところを平準化して、月によって生活費は変わるだろうけど、5~10月はこの生活保護費だから、その中でやりくりしてねという形になります。

つまり、夏季加算をして7、8月の生活保護費が増えるなら、5月など過ごしやすい時期の生活保護費が減額される可能性も否定できません。
5、6月で余ったお金を7、8月の光熱費に充てて貰おうという前提だったのであれば、7、8月の光熱費が加算されるなら余らせるためのお金を5、6月に用意する必要もないよねという話です。

また、夏の気温が上がっただけでなく、冬の気温も上がっているなら、冬季加算にも見直しが入るかもしれません。

夏季加算単体に限らず、生活保護費のトータルとしてどうなるかに注目したいところです。

まとめに代えて

以上、生活保護制度において夏季加算が実現されるか今後の展望を考えてみました。
個人的には、導入の可能性はそれなりにあると思っています。

話は変わりますが、夏においては光熱費もですが、エアコン絡みの問題もあります。
本格的に暑くなる前に、自宅のエアコンの冷房機能は無事に使えるかどうかは確かめておきましょう。

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