生活保護での生活

生活保護世帯の高校生アルバイトのバイト代の扱い【全額貯金できる場合もある】

生活保護世帯の高校生でしたら、アルバイトをしようと考える方も多いでしょう。

その場合、アルバイト代がどのような形で手元に残るのか、生活保護費はどうなるのかをしっかり理解しておく必要があります。

今回は生活保護世帯の高校生がアルバイトした場合のアルバイト代の扱いについて解説します。

目次
・将来の目的があれば全額貯金できる
・申告していなければ不正受給になる
・世の中は不公平
・アルバイトの注意点

将来の目的があれば全額貯金できる

前提知識として、生活保護を受給している世帯でアルバイト等の収入があれば、収入に応じて生活保護費が減額されます。

ただ、せっかく働いても何も残らなければ就労意欲は落ちます。そして、働くことで自由に使える時間が少なくなれば、時短のためにお金を使うようになり、他に出費もかさみます。自炊する時間が無いから総菜を買うなどがいい例ですね。

そこで、収入のうち一定金額は、生活保護費の減額に反映されないように配慮されます。この生活保護費が減額されない金額が、控除だと認識しておいてください。

その控除ですが、高校生のアルバイト代については、複雑な運用がされています。

まずは基礎控除です。これは、高校生だからという事情に限らず、誰にでも適用される控除分です。計算式が複雑ですが『月に1万5千円+1万5千円を超えたアルバイト代の10%』と思っておいてください。

次に、未成年者控除というものがあります。月額1万1600円です。高校生を含む未成年者ががアルバイトした場合、さらに収入として認定しない額が追加されます。

つまり、アルバイト代が基礎控除と未成年者控除を合わせた金額までは、アルバイトで得た金額がそのまま手元に残ります。ですので、家計を少しでも好転させるためにアルバイトするのであれば、この程度稼ぐというのが目標になります。

例えば3人家族で生活保護費が月に20万円だとします。アルバイトで控除の範囲内である月に2万6千円稼げば、その2万6千円が自由に使えるお金として手元に残ります。月に2万6千円あれば、色々なことが出来るようになるのは高校生でも分かると思います。

逆にこの控除分を超えるアルバイトの給料分は、原則として生活保護費から差し引かれます。なので、これ以上稼いでも生活は豊かにならないため、アルバイトに費やした時間の無駄になります。※後述しますが、原則なので例外があります。

後でもしつこく言いますが、アルバイトは絶対にケースワーカーへ報告してください。例え、ケースワーカー経由で親に伝われば親がバイト代を全額取り上げる、というようなクソみたいな事情があってもです。あとで収入未申告の生活保護不正受給認定され、お金を返すことになってしまうからです。

因みに生活のためと納得してバイトするなら良いですが、親が酒やパチスロのためにバイト代を使ってしまうなら、バイトなんて辞めておきましょう。生活保護から人生を好転させたいのであれば、バイトなどせず時間を勉強に全振りして、特待生待遇で大学や専門学校に合格することを目指す方がマシです。

話がそれましたが、高校生のアルバイト代は、さらに手元に残せる場合があります。基礎控除と未成年者控除をあわせた金額を超えても、将来の目標のために充てるためのお金と認められれば、生活保護費を減らされることなく、取っておくことが出来ます。

将来の目標の例としては
・大学進学のための受験料、入学関連費用
・大学や専門学校進学のための、学習塾費用
・高校卒業後就職するための、自動車免許取得費用
・高校卒業後に自立するための、引っ越し費用
などです。

このお金は生活費とは別にして、きちんと貯金・管理する必要があります。そして、これらの費用としてお金を取っておくことについては、福祉事務所の承認が必要です。事前にしっかりケースワーカーと相談しましょう。

参考として、神奈川県の生活保護世帯高校生向けHPのものを載せておきます

申告していなければ不正受給になる

アルバイト代について、きちんと申告していれば一定金額が手元に残ります。ですが、申告していなければ生活保護費の不正受給とみなされ、アルバイト代の一定割合が手元に残らないだけでなく、追加でお金を払うことにもなります。非常に重要なことなので忘れないでください。

実際に不正受給となり、返還を求められたケースはいくつもあります。何ならアルバイトをする前の段階で、ケースワーカーにアルバイトをする予定があることを伝えておきましょう。

世の中は不公平

高校生からアルバイトをして働くことについて、思う点は多々あるかと思います。

まずは、世の中は不公平であることを認識しましょう。

他の家庭に育った同級生は家計のためにアルバイトなんてしていないのに…と、不公平さを感じるかもしれません。

そして、生活保護世帯は千差万別で、親が少しでも働いているパターンから、全く働いていないパターンまであります。もし、自分が働いているのに親が働いていない状況になってしまえば、親を見るだけでイライラが収まらないようになるかもしれません。事情はどうあれ働かない親を見て、身体の大きな子供を抱えているようで複雑な気持ちになるかもしれません。

自分の人生ってなんなんだと思うかもしれません。

ですが、それもひっくるめて不公平、不平等であるのが人生です。

多くの人が社会に出てから世の中が不公平だと気付きますが、生活保護世帯で育てば高校生の段階で気が付くというだけの話です。

高校生でアルバイトをするようになれば、自分の力で生活に必要なお金を稼げるようになるのもそう遠くありません。

恵まれた境遇の同級生への嫉妬や、勉強や部活などとの両立など、嫌なことが沢山あります。ですがこの状況を乗り切れば、今後は今よりつらくなることは無いかと思います。ここが正念場だと割り切りましょう。

アルバイトの注意点

また、アルバイトをする際の注意点として、程々にするということを心がけましょう。大学生にもありがちですが、アルバイトが楽しくなり、大学を中退してアルバイトに専念するというものです。

仮に一人暮らしをするとして、すべて生活保護費で賄うなら、12万円前後必要です。税金なども考慮して、月に15万円稼ぐことが必要になります。この金額以上稼げるのであれば、生活保護よりフリーターとして独立し、家を出るほうが使えるお金が多くなります。1日8時間フルタイムで働けば、余裕で到達できる水準になります。

アルバイトをして稼ぐことで、具体的にどれほど頑張れば生きて行けるかが見えるようになります。ここで、生活保護世帯として育ったことに嫌気がさしていれば、学校をやめてさっさと独立したいと思うのも無理はありません。

ですが、損得で言うなら、高校や大学を中退してアルバイトに専念するのは大損です。高校を卒業し正社員として働けば、月収20万円以上の仕事を選ぶことが出来、経験を積むことによって月に30万円以上稼げるようになります。学歴の有無によって、選択肢が大きく変わってくることは留意してください。高校生の時は実感できないと思いますが、学歴(大卒か専門卒か高卒か中卒か)はかなり取り返しがつきません。

これは極端な例ですが、アルバイトに多くの時間を割き、勉強などに支障が出る例もあります。

目先の損得で考え、楽な選択肢を選び、安易な決断をしないようにしましょう。

もう一つの注意点として、バイト先で付き合う人間は選びましょう。バイト先では人生のお手本にしたくなる人と会えるかもしれない反面、人生をめちゃくちゃにするどうしようもない奴と出会う可能性もあります。

お金にだらしなかったり、交際相手を妊娠させて逃げたり、反社会的勢力とつながりがあるなど、どんな人が居るかわかりませんし、人間はどんな本性をしているかわかりません。

なんか変だな、と思うような人に対しては、深入りしないようにしましょう。なんなら変な人から離れるために、バイト先をさっさと変えるくらいのことはやって構いません。

生活保護という事情から、バイトをどんどん変えるのは抵抗あるかもしれませんが、バイトなんて幾らでもありますので、自分を最優先していきましょう。

2件のコメント

  • 17歳

    もやもやしてた心が、これを読んで落ちつきました。助かりました。ありがとうございます。

    • ぱんけーき

      何かお役に立てたのなら何よりです。
      世の中は不公平で私にできることは何もありませんが、良いことがありますように祈っております。

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