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菅首相「最終的には生活保護がある」 その通りなので生活保護を利用しましょう

菅首相が「最終的には生活保護がある」という発言をして話題になっています。個人的には全く同意です。

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「最終的には生活保護がある」発言で見えた菅総理の「上級思想」

ただ、記事やコメントを読んでも菅総理の発言に懐疑的なものが多く、元生活保護利用者の私としてはちょっと意味の分からない意見が散見されました。特に生活保護を利用するハードルが高いという意見が多くありましたが、私は賛同できませんでした。拝見した意見をいくつか考察していきます。

・生活保護を利用するのは恥ずかしい
・親族への連絡(扶養照会)が嫌
・車も家も手放さないといけない
・借金があると生活保護を利用できない
・生活保護になったら抜け出せない
・それでも生活保護が嫌なら

・生活保護を利用するのは恥ずかしい

正直、何が恥ずかしいのか分かりません。

給付金を10万円貰うのと、生活保護を貰うのとでは、どちらも本質は同じ『税金による補填』です。そこに優劣、上下関係など無く、制度として別々のシステムがあるだけです。もっと言うと、障害年金や雇用保険など、公的制度を利用して食いつないでいる方もいらっしゃいます。

その中でなぜ生活保護だけがこうも忌み嫌われるのか、もしかして名前だけで無条件に悪いものだと判断していませんか?生活保護をバッシングし続けた結果、生活保護の本質・中身を見ずに、イメージだけで敬遠していませんか?もし生活保護と全く同じ仕組みで、『緊急特別生計支援制度』などのように名前だけ変えた別の制度が出来たら、喜んで使う人が続出するのではないかと思ってしまいます。

国の税金などで補助されるものは多くありますが、そんなことを都度気にしている方はほとんどいません。例えば国立大学だって国からの補助で、安い授業料で学ぶことが出来る以上、『税金による補填』であることは生活保護と同じです。でも国立の一橋大学を卒業された竹中平蔵さん、他の国公立大学出身者などを見ても、税金で学べたことを恥ずかしがっているようには微塵も見えませんよね?そう考えると、生活保護を利用するのは竹中平蔵さんと同じことをするだけなので、もっと堂々としていれば良いのです。

・親族への連絡(扶養照会)が嫌

生活保護を利用するにあたり、親族へ『生活保護を申請した人を助けてあげることは出来ないか』という連絡が行きます。これが扶養照会です。

扶養照会ということですから、そもそも別々に暮らしていますよね。折り合いが悪かったり、単に恥ずかしかったり、色々連絡が行くのが嫌な理由はあるかと思います。

まず折り合いが悪い場合、下手したらもう一生会わないような家族親戚に連絡が行って何か恥ずかしいのでしょうか?ぶっちゃけ他人も同然で、何をどう思われてもどうでもよくありませんか?逆に縁を切るいい機会だと思います。

折り合いは悪くないけど生活保護を利用することを知られるのが恥ずかしい、という意見もありますね。生活保護の利用を検討する程に困窮していることを、相手に伝えない程度の関係は、『うわべだけ良好な関係』にすぎません。もし相手側が生活保護の利用を検討しているくらい困窮しているなら、自分に伝えてくれても良いじゃないかと思いませんか?恥ずかしがらずにきっぱり伝えてしまいましょう。

因みに家族のDVから逃げてきて、連絡先を知らせたくないなどの理由があれば配慮して貰えます。

もしかしたら中には、お子さんに連絡が行くのが嫌という方がいらっしゃるかもしれませんね。それはご自身が、生活保護を利用すること=悪という価値観を、お子さんに伝えたことがあり、いざ自分が当事者となると恥ずかしく思うのではないでしょうか?ご自身の教育に問題があったと思われるので、これまでの生き方を振り返ればよいかと思います。

・車も家も手放さないといけない

生活保護は車も家も持っていない人しか利用できない、という意見がありますが、早とちりです。

車についてですが、コロナということもあり、保有については結構緩い条件になっています。生活保護利用中は車の利用は難しいですが、いずれコロナが収まり就職する段になったら通勤に利用するという展望などがあれば、車の処分は求められません。

家については売って生活が続けられるなら売ればよいと思います。別に賃貸でも生きていけますよね?逆に売れる家があるのにお金くれというのは、あまり共感を得られないのではないでしょうか?家を売っても多額のローンを抱えてる…という方は、収入に見合わない無茶なローンを組んでいただけですので、ご自身の安易な判断を責めてください。

そもそもですが、家を売らずに生活保護を利用している世帯もあります。家があればその分住宅に関する支出が減りますよね?そのため、持ち家世帯の生活保護費は賃貸世帯の生活保護費より安くなります。家を売って生活費の足しにしても、いずれ困窮して生活保護を利用することが見込まれる場合は、家を売らずに生活保護を利用する流れとなります。

ということで、車や家は保有していても生活保護が利用できる場合があります。
車も家も手放さないといけないと決めつけている方は、コロナ以降に生活保護の申請を試みたのでしょうか?もしかしてコロナ以前の古い時代のイメージを引きずっていませんか?時代も令和に変わっているので、いいかげん昭和・平成の経験は捨てましょう。とりあえず2020年以前のネガティブな生活保護申請体験談はすべて聞き流してください。

・借金があると生活保護を利用できない

よくある誤解です。正しくは、『生活保護費で借金の返済が出来ない』です。そのため生活保護の利用申請と同時に、法テラスなどを利用して、借金を整理するというのが主流です。

ただ、借金を整理しなくても生活保護を利用するための手段はあります。借金を返済しなければ良いので、借金を抱えていること自体は別にルール違反ではありません。なので、借金を借りたところへ連絡して『生活保護を利用することになったので返済を待って欲しい、待ってもらえないなら法的手続きして借金を整理しなければならない』と伝えましょう。貸し手としては借金を法的に踏み倒されるのが最悪なので、それよりはマシだということで生活保護利用中は返済を猶予してくれる可能性が高いです。

『借金がある人は生活保護の利用は出来ません』と断られたという意見もあるらしいですが誤りですので、そういう対応をされたら上位の機関(厚生労働省や県)にチクりましょう。他の間違った理由で生活保護の申請を拒否されたときも、上位の機関にチクるのは基本になります。

・生活保護になったら抜け出せない

国立社会保障・人口問題研究所の
「生活保護」に関する公的統計データ一覧

より
「保護廃止世帯数(理由、世帯類型、構造別)」

という資料から、生活保護を抜け出した世帯数と理由がデータとしてあります。この資料からは、ちゃんと生活を立て直し、生活保護から抜け出す方がいることが読み取れます。

私も元生活保護利用者で、3年半と長く利用してしまいましたが、無事に抜け出せました。生活保護を利用し始めてずっと抜け出せない方がいるのも事実ですが、反対に仕事を見つけさっさと抜けていく人がいるのも事実です。

ここまで菅総理に対する『生活保護を利用しにくい』という意見をまとめてみました。事実もありますが正直言って、生活保護制度のことをよく理解していない方が決めつけで発言している部分が多いです。生活保護制度については、厚生労働省などが情報発信していますので、まずは生活保護制度について正しく把握することからはじめましょう。

ただ1点だけ『すぐに生活保護を利用できるわけではない』『生活保護を利用できるまで時間がかかる』という意見は事実です。生活保護の利用申請したその日に生活保護費が支給されるわけでもなく、生活保護の利用申請から1週間から2週間、調査や手続きのための時間を要します。実際に私も生活保護の利用申請から初回の生活保護費の支給まで1週間要しました。そのため、もう明日まで持たないという状況まで生活保護の利用申請を粘るのではなく、『あと2週間持たないという状況になったら生活保護の利用申請をする』ことが大切です。生活保護について詳しく把握していない方もこれだけはしっかり覚えておいてください。

・それでも生活保護が嫌なら

それでも餓死した方がマシと思うなら、もう好きにしてくださいとしか言えません。人生をどう生きようがあなたの自由です。

ただ、誰かが死ぬことには数百万円単位の損害が出ます。まず単純に、葬儀代や手続きなどしなければなりませんね。孤独死して遺体が放置されたら、後々特殊清掃しなければなりません。アパートであれば事故物件となり、賃料もガタ落ちです。やらないと思いますが、列車に飛び込もうものなら最悪です。多大な迷惑が掛かります。遺族に全額は要求されませんが、損害額は億単位になります。

で、数百万単位で迷惑をかけるのに、それでも死んだ方がマシというなら好きにしてください。でもその前に、とりあえず厚生労働省のメッセージを見てみましょう。

厚生労働省HP_生活保護を申請したい方へ

『生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください。』というメッセージがあります。

国がちゃんと認めているのですから壁なんて勝手に感じずに生活保護を利用すればよいです。なんせ現在の総理大臣自ら「最終的には生活保護がある」と仰ったので、堂々と制度を利用しましょう。それでも恥ずかしい…周りに迷惑…という意見があるかもしれませんが、自分自身を大切にしてください。

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