【小田急無差別殺傷】生活保護で自暴自棄になる理由
東京都世田谷区を走行中の小田急線の車内で男が刃物を振り回し乗客を襲った事件が発生しましたね。逮捕された対馬悠介容疑者は「数カ月前から生活保護を受けて生活していた」という趣旨の供述をしています。
【独自】「数か月前から生活保護」小田急切りつけ容疑者、大学中退後は職を転々…自暴自棄になったか
元生活保護受給者の私としては、ちょっとだけ生活保護下で自暴自棄になるまでの要因について、理解できる部分がありました。この事件と生活保護について述べてみようと思います。
生活保護受給者は暇な人が多い
生活保護受給者は時間が沢山あることが多く、時間が沢山あると思考活動に時間を使うことが出来ます。
勿論、生活保護受給者の中には働いている人もいます。割合で言えば3人に1人くらいが働いて勤労収入を得ています。とはいえ、例え働いているとしてもフルタイムで働いている割合は少なく、自由に使える時間が多くなりがちです。
対馬容疑者も日雇い派遣で不定期労働、もしくは労働していないかで、フルタイムで勤務している感じは無さそうでした。職を転々としていた頃と比較しても、間違いなく時間的な余裕はあったはずです。
そもそも思考する時間があるということは決して悪いことではないのですが、ずっと考えてばかりいると、極端な結論を考えることもありますよね。
そして、仕事などをしていれば極端な考えをリセットすることもできますが、仕事をしていないと考えをリセットする機会が少なくなります。仕事というよりは、他人と接する機会と言っても良いかもしれません。
対馬容疑者は「自分だけが不幸な人生だ」という考えに至っていました。世の中を見渡せばそんなことはなく、 対馬容疑者と比べて不細工であることにコンプレックスを抱えていたり、低収入に喘いでいる人で溢れています。もっとも、そんな分かりやすい例に限らず、大抵の人は置かれている立場で苦しく生きていますし、それを理解している人も多くいます。
私が派遣の日雇い労働をしていた時も、私は割と底辺にいると感じていましたが、周囲は私と似たり寄ったりの不幸そうな人が散見されました。このように、仕事に限らず他人と接していれば、極端な考えは極端だと気が付きます。
ですが仕事をしないと、他人と接する機会が目に見えて少なくなります。つまり頭の悪いことを考えても誰も突っ込み、修正を入れてくれませんし、自分で気が付く可能性も少なくなります。有り余る時間で思考を重ね「自分だけが不幸な人生だ」という偏った意見を省みることなく、肯定し続けることになります。
という形で、 対馬容疑者は生活保護下で豊富にある暇な時間を使い、勝手に自暴自棄になったのだろうと、対馬容疑者のことを想像で語ってみました。もちろん理解は出来ても共感は全くできませんでした。
だって生活保護世帯って現代日本では平均未満ではありますが、下の上、中の下くらいの生活水準ですし、自暴自棄になるほどではありません。 1人暮らし(単身世帯)の平均的な支出は月15万円 なので、生活保護と大差ないくらいです。
プライドを捨てて客観視すれば、そうそう悪い生活ではないです。
まあはっきり言って、この方は生活保護を利用していようといなかろうと、何か考え事をするまとまった時間&社会との孤立があれば自暴自棄になり、事件を起こしたんじゃないかと思います。
健康でも生活保護を受けざるを得ない人
なぜ対馬容疑者は36歳で健康そうなのに生活保護を受けられるのか、という意見に対しても答えておきます。
その意見の裏にあるのは、選ばなければ仕事はある、仕事を選んでいるのは甘えという意見ですね。これははっきり言って底辺人材を知らない人のたわ言で、現実はそんなに優しくありません。世の中には仕事に選ばれる人というのが現実に存在しています。
私にも当てはまるのですが、時給1000円の給料を貰っておきながら、1000円以上の利益を生み出せない人っていますよね。それどころか、仕事が雑で他のスタッフが後で手直しする必要がある人、接客に問題がありクレームが多発する人など、例え時給0円でも雇いたくない人が世の中にはいます。
介護などの職に就いたら、利用者と取り返しのつかないトラブルを起こすかもしれません。タクシーの運転手などしたら、上級国民のように人をひき殺す事故をおこすかもしれません。そんな奴いないだろと思っている方は、対馬容疑者が上記の仕事に就いて問題を起こさないか想像してみて下さい。
因みに対馬容疑者は中央大学というそこそこ良い大学を中退しています。ただ、学力と仕事をする能力はあまり比例しません。学力は仕事をするうえで必要なコミュニケーション能力など、一切必要としないからです。
そして、もしそんな底辺人材でも出来る仕事があるのなら、私も知りたいのでご意見を頂ければ幸いです。
勿論人には向き不向きがあります。介護職に絶望的に向いていなくても、タクシーの運転手には適性がある人もいます。ですので、底辺人材だとしても、色々な職を試してみて、底辺人材でも務まる職に出会うための挑戦をする意味はあります。
対馬容疑者も職を転々としているので、自身に務まる職を見つけるためのトライ&エラーをそこそこ繰り返したと推察できます。それでも自身に務まる職を見つけられなかったのなら、生活保護で生きていくのもやむを得ません。
因みに当サイトでは、私の体験談から底辺人材でも比較的務まる仕事として施設警備員や交通量調査を挙げています。もちろん施設警備員としての働き先はしっかり吟味した上での話になりますが、介護職よりは底辺人材でも務まりやすいと考えています。そんな形で色々な仕事に挑戦し、それでも食べて行けるだけの収入が得られない、どんな仕事も務まらなかったのであれば、生活保護を利用するのは当然の権利なので気にせず利用しましょう。