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生活保護世帯への10万円の臨時特別給付金はおかしいと言える理由

2022年に実施される住民税非課税世帯等に対する10万円の臨時特別給付金、生活保護世帯も対象となりましたね。生活保護世帯とは関わりない方の中には、なぜ生活保護世帯も給付金の対象としているか疑問に思ってはいないでしょうか?また、生活保護世帯の方においても、素直に受け取ってよいのかモヤモヤするところは無いでしょうか?今回は、この給付金、生活保護世帯へも対象とするのはおかしくないかという視点で考えてみます。

10万円の臨時特別給付金の趣旨

そもそも10万円の臨時特別給付金はなぜ支給されるのか、本件の給付金の趣旨を見てみましょう

給付金はどのような趣旨で支給されるものですか。
「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)では、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、様々な困難に直面した方々に対し、速やかに生活・暮らしの支援を行う観点から、住民税非課税世帯等に対して、1世帯あたり 10 万円を支給するものです。

住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金に関するよくあるご質問

引用内容が全てですが、様々な困難に直面した方への生活、暮らしの支援のために10万円の臨時特別給付金があるということになっています。

生活保護世帯への給付金を出すことがおかしいと言える理由

結論だけ言うなら、『新型コロナウイルス感染症の影響で、様々な困難に直面した方々』に該当しない生活保護世帯の方が給付金を貰うのはおかしいというのが私の考えになります。

給付金の趣旨というか建前を読んで、少し生活保護制度に詳しい方は疑問を抱くのではないでしょうか。生活保護世帯が、新型コロナウィルス感染症により、具体的にどんな困難に直面したのか?という疑問です。

まず、生活保護費というものは一定なので、別にコロナと言えど収入が無くなるわけでも大きく減るわけでもありません。一応付け足すと、生活保護下でもアルバイトをしている方が、コロナで仕事が減った、全くなくなったなどの場合など考えられます。ですがその場合も、生活保護費のシステム上、実際に手元に残るお金は大して減りません。アルバイト代が減ったところで生活保護費で補填されますし、そもそも控除の関係でアルバイト代は手元にあまり残りません。
※逆に言うと、生活保護のシステム上、アルバイトなどをした場合に手元に残るお金は少し増えますが、あくまで少しです。大して増えません。

もっと言うと、生活保護世帯の住んでいる場所や家族構成によっては、住民税課税世帯相当の収入にあたる生活保護費を得ている場合もあります。東京都では、単身世帯の生活保護世帯が月に12~13万円の生活保護費を受け取っていますが、手取りで月に12万円貰うには月収16万円、年収190万円稼ぐ必要があります。年収190万円、なんなら年収150万円あれば普通に住民税の課税対象です。例え生活保護世帯より手取りが少なくとも、住民税の課税対象です。
そう考えてしまうと、今回の給付金では月に12万円受け取れる生活保護世帯よりさらに困っている世帯、例えば単身で年収150万円、月の手取り10万円になるような世帯を取りこぼしています。

新型コロナウイルス感染症の影響で失業し、生活保護を利用するようになった方がいるかもしれません。これは、困難に直面したことは事実ですが、生活保護を利用することになった時点で解決・終わりになります。

ここまでは、生活保護制度を基にした一般論です。個別具体的に見れば、生活保護世帯で困窮している世帯はそれなりの割合で居るでしょう。

ただ、生活保護制度は建前上、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」によって運用されています。仮に生活保護世帯が給付金を必要とするほど追いつめられているなら、コロナ以前の問題で、そもそも生活保護費が少なすぎたのが理由です。

もしくは、お金の使い方に問題を抱えているんじゃないかという話になります。生活保護費と言うのは少し余裕を持たせた金額になっており、少しずつ貯金していざという時に備えようという建前になっています。例えば家賃を除いた生活費が7万円になるような地域でも、生活保護費は7万5千円と、もしもの時を考えて少し余裕が出るように設計されています。

と言う前提があるので、お金を毎月使い切ってコロナのタイミングで給付金を必要としたなら、お金を管理できていないという話になります。

これでは「生活保護利用者はお金を適切に管理することも出来ないから、現物支給にした方が生活保護利用者のためになる。だってお金を使いすぎちゃうでしょ?」と言われても反論できません。

普通に生活保護の立場から考えれば、一時的に受け取る10万円より、生活保護費が月に3000円くらい引き上げられる方が嬉しくないですか?生活保護制度とはもしかしたら10年、あるいは一生関わるかもしれません。何より、ある基準日を決めて給付金を出すやり方は、この基準日で生活保護世帯でない人(2022年の1月などに生活保護世帯になった人)への救いがありません。

生活保護世帯が困窮する状況になっているのなら、必要なのは給付金ではなく、生活保護費や制度の見直しです。

以上、様々な視点から考えてみましたが、私の中では給付金の趣旨と生活保護世帯を給付金の対象とすることの整合性がとれませんでした。生活保護世帯へも給付金を支給することについて、妥当な理由を用意して欲しかったかなと思います。

例えばですが

・給付金の目的を、低所得層の購買力活性化による経済対策だと記載する
・収入的に生活保護世帯と変わらない水準(単身なら年収200万円程まで)を給付対象にしておく

このように、給付金の対象や目的がもう少し整合性を取ったものであったなら、今回の給付金対象に生活保護世帯が含まれていても何もおかしくないわけです。

もし自分が生活保護世帯であれば

今回の給付金、もし自分が貰う立場であれば、ちょっと引っ掛かるものがあります。自分自身に対して、こういった理由で給付金を受け取っても良いのだという納得を、させることが出来ないと感じました。生活保護利用者で物事を真面目に考えるタイプの方も、内心戸惑う部分があるのではないでしょうか?給付金は嬉しいものの、本当に貰ってい良いのか複雑な気持ちにならないでしょうか?

仮に私が「どうして生活保護でも給付金を受け取れるの?」と聞かれたら、適当に「なんでだろうね~」と軽く流し、心の中で「政府が決めたことだからこういうものだと割り切って欲しい」と考えます。そして給付金は受取り有効活用させて頂きます。特に罪悪感は感じません。


そもそも本件の住民税非課税世帯等に対する10万円の臨時特別給付金は、全国民に給付などしたくない、けれど参院選挙に向けて良い感じにやった感を出したいという、自民公明党の妥協から生まれた産物です。生活保護世帯がどれ程困窮しているのか、他に困窮している世帯は無いかなど、全体的に整合性が見られません。頭空っぽで作られた給付金です。つまり考えても仕方がないので、こちらも頭空っぽにして素直に給付金受け取ればいいのです。給付金を罪悪感なく受け取る理由なんて、政府が受け取って欲しいと思っているからで十分です。

ここまで今回の給付金については否定的な意見を述べましたが、経済政策的な意味合いもあるので、受け取って利用しても何の問題もなく、政府がそうだと決めたことなので、罪悪感を感じる必要もありません。この給付金は税金という形で回収されますが、この給付金で経済の一部でも活性化すればそれでいいんじゃないかとも思います。

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